瑣事加減

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林真理子『葡萄が目にしみる』(1)

・角川文庫6369(1)

葡萄が目にしみる (角川文庫)

葡萄が目にしみる (角川文庫)

 林氏の著作は読んだことがないのだが、カバーが違うので比べて見た。
【五版】昭和六十一年三月十日初版発行・昭和六十二年四月三十日五版発行・定価300円・234頁
【十四版】昭和六十一年三月十日初版発行・平成元年六月十日十四版発行・定価340円・234頁
【十五版】昭和六十一年三月十日初版発行・平成元年十二月二十日十五版発行・定価340円・234頁
【三十六版】昭和六十一年三月十日初版発行・平成六年六月十五日三十六版発行・定価438円・234頁
 この他に「発見!角川文庫2010」の早見あかりのカバー、そして現在Amazon詳細ページに表示される漫画風イラストのカバーがある。画像検索すればこの5種を閲覧することが出来る。早見氏のカバーは平成22年(2010)6月23日発売で、他に赤川次郎三毛猫ホームズの推理川端康成伊豆の踊子中勘助銀の匙ヘルマン・ヘッセ車輪の下に』三島由紀夫『不道徳教育講座』の、計6点。本屋に行かないので気付かなかった。行ってもオッサンがまじまじと見るのは憚られるのだけれども。
 本体234頁までは一致。
 奥付、【五版】は子持枠の中の鳳凰が羽を銜え翼と脚を広げたもの、これは扉も同じで、以下、私の見た三十六版まで同版のようである*1。「〒一〇二 振替東京③一九五二〇八」、「落丁・乱丁本はお取替えいたします。/定価はカバーに明記してあります。」1字空けて横転した「Printed in Japan」。匡郭の外は下辺の下・右寄せにカバー裏表紙に同じISBNコードとCコード。
 【十四版】【十五版】のレイアウトは五版に同じ、但し十五版は発行日の2行が五版・十四版に比してゆったりと組まれている。その他に五版との異同としては「電話〈編集部/営業部〉」の番号が9桁であるのは同じだが市外局番(〇三)の次の3桁が「二三八―」から「八一七―」に変わっていること(下4桁は一致)、五版「製本所――多摩文庫」が十四版「製本所――本間製本」十五版「製本所―― 千曲堂」に変わっていること、そして匡郭下辺の下左寄せに「は 4-8」が新たに加えられていることである。
 【三十六版】は文字が一回り大きくなっている。それぞれの発行日、発行者が兄から弟へ、電話番号が市外局番(〇三)の次に「三」が加えられて10桁に、郵便番号・振替・印刷所・製本所・装幀者は十五版に同じ、残りは「本書の無断複写・複製・転載を禁じます。/落丁・乱丁本はご面倒でも小社角川ブック・サービス宛に/お送りください。送料は小社負担でお取り替えいたしします。」1行空けて1字下げ「定価はカバーに明記してあります。」匡郭下辺の上右寄せに「©Printed in Japan」、下辺の下は十五版に同じ*2
 奥付の裏「角川文庫発刊に際して」は同版に見える。
 目録類、【五版】は4頁、3段組(1段21点)の「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)1987年1月」の(30)(31)頁と1頁10点の「角川文庫 最新刊」の(49)(50)頁。
 【十四版】は上半分に飾り枠があって縦長ゴシック体「角川文庫 最新刊」とある目録が4頁、1頁に6点(1点1冊)、標題は明朝体太字、ゴシック体で著者名、下部に明朝体3行(1行10字)の紹介文。
 【十五版】は「角川文庫最新刊 」が4頁、1頁に6点(1点1冊)、標題は明朝体太字、ゴシック体で著者名、下部に明朝体3行(1行10字)の紹介文。
 【三十六版】は「角川文庫の名作/語り継がれる一冊がある。」が4頁*3
 カバー表紙、【五版】は上部に青ゴシック体横組みで標題と著者名、上部は水色で空、下部は紫色で地面、地上に黄色と赤で人影、左の少年と右の少女は左を向いて自転車を押しており、中央の少女は手ぶらで右の少女の方を振り返っているように見える。
 【十四版】【十五版】は空のような背景に巨峰の粒が14個浮かび、その中の上部に赤いドレスの少女が、下部に半袖のワイシャツにスラックスの少年が、それぞれ自転車に乗っている。文字は明朝体太字で、左上に縦組みで「林真理子葡萄が目にしみる」右下に横組みで「角川文庫」とある。
 【三十六版】は当時の林氏の作品に共通の装幀で、金色の角切の匡郭(12.9×9.3cm)があって、上から2.5cmのところに横線、この上の枠に横組みの金文字で標題、下から1.5cmのところに横線、この下の枠にやはり金文字で「林 真理子」とある。この間の枠(8.9×9.3cm)に絵が嵌め込まれている。青〜緑の背景に1房の葡萄、白や淡い黄緑、赤紫に紫など様々な色の大小17粒。
 カバー表紙折返しはいづれも白地、五版・十四版・十五版の上部の紹介文と最下部右寄りの「カバー 奥村靫正」は一致。その間にある「月刊カドカワ」の広告は十四版と十五版は一致。すなわち十四版と十五版は一致している。紹介文については後述。
 【三十六版】は上部に淡い緑色の角切枠(3.0×3.0cm)に白黒の顔写真、その下に横組み、淡い緑色で、表紙の金文字と同じ字体で「林真理子はやし まりこ」とあって、同じ色と字体で7行の略歴。左下を破線で三角に仕切って淡い緑色地にして林氏の似顔絵が描かれているらしいが、ブックコートフィルムを掛けるために一部切除されている。最下部中央に黒の表紙の金文字と同じ字体で「イラストレーション|国分智英美/カバーデザイン|鈴木成一デザイン室」とある。当時の林氏の角川文庫は同様のデザインの色違いで統一されていた(らしい)。いづれ完全なものを見る機会を得て、詳細に及ぶことにする(かも知れない)。
 現行のカバーと早見氏のカバーは未見。(以下続稿)

*1:6月14日追記6月14日付(2)に追加した四十三版・四十五版は翼を広げ、脚を揃えた鳳凰

*2:6月14日追記】四十三版・四十五版について、三十六版と比較して見た。それぞれの発行日の他、四十三版は電話の市外局番の次が「三八一七―」から「三二三八―」に、下4桁は「編集部」のみ「八四五一」から「八五五五」に変わっている。郵便番号が7桁になり、また振替番号が12桁になったため、三十六版では1行だったのが2行になっている。これまで「印刷所――大日本印刷」だったのが「印刷所――暁印刷 」に、製本所は四十三版「コオトブックライン」四十五版「本間製本」、「落丁・乱丁本」の宛先が「小社営業部受注センター読者係に」といった異同がある。四十五版は発行所の住所と電話番号が、四十三版では住所の方が1字分上までで終わっていたのが、四十五版では揃っている。すなわち組み直されているが、基本的なレイアウトやここに指摘した以外は四十三版に同じ。

*3:私の見た本は最後の2頁が外れかけており、或いは既に落丁した頁があるかも知れない。【6月14日追記】四十三版と四十五版は1頁7点の「角川文庫ベストセラー」が4頁。