瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

樋口一葉『たけくらべ』の文庫本(4)

・角川文庫829『たけくらべにごりえ』(2)
 8月20日付(3)の続き。
 三十六版と四十二版を見た。
【三十六版】昭和四十三年七月三十日初版発行・平成九年四月一日三十六版発行・定価340円・259頁
【四十二版】昭和四十三年七月三十日初版発行・平成十五年二月二十五日四十二版発行・定価362円・259頁
 今、この2冊を三十五版と並べている。適宜三十五版にも言及しつつ異同をメモして置く。
 カバー表紙は一致。
 カバー背表紙は最上部が白地でQRコード、そのすぐ下から三十六版は淡い水色地で「||1-1|Y340|樋口一葉 で囲われている。半角分空けて明朝体で標題「たけくらべにごりえ」、下部にゴシック体で「角川文庫 |■」四十二版はごく淡い緑色地で、マークの色は青紫色()、文字は定価を示す「Y362」が異なるのみ。
 カバー裏表紙、左上のバーコード1つめは三十五版に一致、2つめの下4桁は三十五版「3506」三十六版「3406」四十二版「3628」、右上、1行めISBNコードは10桁で三十五版に一致、2行めのCコードは一致、次が三十六版「\340E」四十二版「\362E」、3行めはゴシック体で「定価本体340円(税別)」、四十二版は数字が「362」になった他の文字も組み直し。
 中央の紹介文は同文。ゴシック体10行で、

古い浅草吉原の四季のうつりか/わりのなかに、美登利、真如、/正太郎ら少年少女の日常と幼い/恋心を、女流作家ならではの肌/理細かな観察と流麗な筆致で浮/き彫りにした、明治文学不朽の/名作「たけくらべ」。ほかに「大つ/ごもり」「にごりえ」「十三夜」「わ/かれ道」「われから」を収め一葉文/学の代表的作品集とした。

とある。なお、三十五版までのカバー表紙折返し上部にあった紹介文は、以下のようであった。

たけくらべにごりえ
 「たけくらべ」は、古い浅草吉原の四/季のうつりかわりと生活の中に、美登/利、真如、正太郎ら少年少女の幼き恋/を女流の肌理細かな観察と流麗な筆致/で浮き彫りしたもの。いうまでもなく、/明治文学中での屈指の名作である。ほ/かに、「大つごもり」「にごりえ」「十三夜」/「わかれ道」「われから」を加え、一葉文/学の代表的作品集とした。


 内容は同じだが少々もたもたしていた。
 三十六版と四十二版のカバー表紙折返しは一致、三十五版とは違って上部に縦組みで「樋口一葉(ひぐち いちよう)」と題して明朝体9行で略伝、

明治五年(一八七二)、東京生まれ。本/名なつ。萩の舎塾で和歌を学ぶ。二十/二年の父の死と残された負債のため、/一家の支柱として針仕事などをこなし/ながら、作家として立つことを決意。/半井桃水に師事する。「文学界」に『大つ/ごもり』等を発表。『たけくらべ』は鴎外、/露伴らの激賞を受けた。二十九年、肺/結核により急逝。享年二十五歳。


 6行めと7行めの二重鍵括弧『』は半角だが、そうでない文字も他の行よりも詰まっている。
 カバー裏表紙折返し同じ、上部に縦組みで「角川文庫樋口一葉の本――――――――――――」レーベル名は明朝体の太字、●は○で囲われている。少し空けて「たけくらべにごりえ和田芳恵 編注/一葉青春日記/和田芳恵 編注/一葉恋愛日記」、下部は右隅にKBマークのみ。
 本体259頁まで一致。
 奥付、子持枠のところは三十五版に同じ。縦組みの箇所、異同はそれぞれの発行日、三十五版・三十六版「発行者――角川歴彦」四十二版「福田峰夫」、三十五版・三十六版「電話〈編集部/営業部〉」四十二版「電話〈営業/編集〉」番号はほぼ同じで三十五版・三十六版「編集部」下4桁「―八四五一」が、「編集」下4桁「―八五五五」、三十五版・三十六版「〒一〇二 振替」12桁を1行に収めていたのが、四十二版「〒一〇二―八一七七/振替」12桁は同じで2行になっている。三十五版「大谷製本」三十六版「多摩文庫」四十二版「コオトブックライン」、三十五版・三十六版「小社角川ブック・サービス宛に/」四十二版「小社受注センター読者係に」、匡郭下辺の左下、三十五版・三十六版「CL ひ 1-1」四十二版「ひ 1-1」、すなわち三十五版と三十六版の異同はそれぞれの発行日と「製本所――」のみ。
 「角川文庫発刊に際して」は同版(双郭11.2×7.4cm)。
 目録、三十六版は前回見た三十五版に一致。四十二版は1頁7点の「角川文庫ベストセラー」が10点。