瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

樋口一葉『たけくらべ』の文庫本(3)

・角川文庫829『たけくらべにごりえ』(1)
・昭和四十三年七月三十日改版初版発行
・昭和五十四年七月三十日改版二十版発行*1(259頁)¥220
・昭和六十三年二月二十日改版三十版発行(259頁)定価300円
・平成二年五月三十日改版三十二版発行(259頁)定価301円
・平成八年六月二十日三十五版発行(259頁)定価340円

 現行のカバー表紙は未見。三十五版の奥付では「改版初版発行」の「改版」も外されている。すなわち同じ版(259頁)の三十版・三十二版・三十五版である。
 私の見た諸版のカバー表紙は一致。画像検索すると幾つかヒットするが、何なのだか、青紫色に見える板塀、すなわち暗夜に濡れた板塀に照明が反射しているように見える。違うかも知れないが。下部に明朝体で「たけくらべにごりえ樋口一葉岡田八千代校註」最下部にゴシック体で小さく「角川文庫」とある。
 カバー表紙折返し、上部の紹介文と右下のゴシック体横組み「カバー 中井博子」は一致、下部の広告、改版三十版は「月刊カドカワ」の「毎月5日発売」とのみあって定価のない型、改版三十二版は「野性時代」の広告の③、三十五版は空白となっている。
 カバー背表紙、改版三十版は白地に明朝体で上部に標題「たけくらべにごりえ」、中央やや下に著者名、下部にゴシック体で「角川文庫 緑 七 1  300」。改版三十二版は水色地で上部にゴシック体で小さく「ひ|1-1」半角分の空白を置いて秀英初号明朝で標題「たけくらべにごりえ」中央やや下に著者名、下部にゴシック体で「角川文庫●310」●に白抜き「P」。三十五版は上部は白地、最上部にゴシック体で「CLひ1-1」すぐ下に楷書体で標題「たけくらべにごりえ」中央やや下にゴシック体で著者名、下部4.6cmは青紫地でその上部ににゴシック体白抜きで「角川文庫クラシックス」とある。この青紫地のすぐ上にゴシック体で小さく「ひ|1-1 350」とある。
 カバー裏表紙は白地で、改版三十版は上部に「ISBN4-01-1007001-1 C0193 \300E 定価300円」、改版三十二版は同じ1行の後半部が「P310E 定価310円」となっており、定価のすぐ下にやや小さくゴシック体で「(本体301円)」とある。三十五版は左上にバーコード2つ、1つめの下1桁「3」、2つめの下4桁「3506」、右上の1行めは改版三十版・改版三十二版と同じISBNコード、2行めは「C0193 P350E 定価350円」定価のすぐ下に「(本体340円)」とある。
 カバー裏表紙折返しは一致。白地で左下に明朝体横組みで小さく「カバー 暁美術印刷」右下にKBマーク。
 扉、鳳凰が改版三十版・改版三十二版が羽を銜えて翼と脚を広げていたのが、三十五版は脚を揃えて翼を広げているものに変わっている他は同じ。
 奥付、改版三十版は匡郭が繋がっていなかったが、改版三十二版は綺麗に組み直されている。
 子持枠の内、標題が改版三十版「たけくらべにごりえ」から改版三十二版・三十五版「たけくらべにごりえ」となっており、また鳳凰が改版三十版・改版三十二版が羽を銜えて翼と脚を広げていたのが、三十五版は脚を揃えて翼を広げているものに変わっている。
 発行者は改版三十二版から三十五版の間に兄から弟に変わっている。
 電話〈編集部/営業部〉は改版三十版と改版三十二版はともに9桁だが、市外局番(〇三)の次が改版三十版「二三八―」だったのが改版三十二版「八一七―」になっている。三十五版は市外局番の次が「三二三八―」になっており、改版三十版の番号に「三」が冠せられた恰好である。下4桁は一致。その次の郵便番号3桁と振替番号の間の空白、改版三十版は半角、改版三十二版は全角で「振替東京③一九五二〇八」、三十五版は半角で「振替〇〇一三〇―九―一九五二〇八」。「製本所――」が改版三十版「本間製本」から改版三十二版・三十五版「大谷製本」。
 改版三十版・改版三十二版は装幀者の次に「落丁・乱丁本はお取替えいたします。/定価はカバーに明記してあります。」半行分空けて右が上に横転して「Printed in Japan」とあったのが、三十五版は「本書の無断複写・複製・転載を禁じます。/落丁・乱丁本はご面倒でも小社角川ブック・サービス宛に/お送りください。送料は小社負担でお取り替えいたします。」半行分空けて1字下げ「定価はカバーに明記してあります。」匡郭下辺の上右寄せに「©Printed in Japan」。匡郭外、下辺左寄せに改版三十二版「ひ 1-1」、三十五版「CL ひ 1-1」、右寄せにカバー裏表紙と同じISBNコードとCコードがある。
 「角川文庫発刊に際して」は改版三十版と改版三十二版の間で組み直されている。
 目録、改版三十版「角川文庫 最新刊」1頁10点が(49)(50)の2頁、改版三十二版は飾り枠のある「角川文庫 最新刊」1頁6点、その裏が「海音寺潮五郎の作品 」。三十五版には「作品案内/あなたは角川文庫クラシックスを何冊読みましたか?」が10頁、1頁めは扉、2頁めから1頁7点でまず「中村 稔編」として「●新編 宮沢賢治詩集/風の又三郎」が挙がり、武者小路実篤2点、村上知行訳1点5冊、森鴎外2点。3頁めは1点めが永井荷風、2点めが本書、堀辰雄北条民雄各1点、宮沢賢治3点。してみると、『風の又三郎』が「中村 稔編」というのもおかしいので、この2頁めの最後の3点の続きが1頁めの最初2点で、『新編 宮沢賢治詩集』のみが「中村 稔編」なのであろう。4頁めは與謝野晶子2点4冊とアンデルセン1点、ヴェルヌ3点、ウェブスター1点、5頁めはオーウェル1点、キャロル2点、キプリングシェイクスピアシェリー、スティーヴンソン各1点。6頁めはスタインベック、チョーサー、A・デュマ、ドストエフスキー、トランボ、ハーン、J・M・バリ各1点。7頁めはE・ブロンテ1点、フィッツジェラルド2点、ヘッセ、O・ヘンリー、ヘミングウェイ、ポーター各1点、8頁めの最初の2点は前の頁の最後の続き、以下ボーモン夫人、ホーソンモーム各1点、モンゴメリ2点。9頁めは著者名が入っていないが「●虞美人草/●三四郎/●それから/●門/●彼岸過迄/●行人/●こゝろ」の7点なので8頁めの続きではない。10頁めの最初の4点は「●道草/●明暗/●文鳥夢十夜・永日小品/●硝子戸の中」でこれは9頁めの続き。残りは中勘助銀の匙中島敦『李陵・山月記・弟子・名人伝』そして河上徹太郎編『中原中也詩集』。この配列の基準と乱れは何なのだろう。(以下続稿)

*1:2018年3月18日追加。