瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

『加賀乙彦 自伝』(1)

加賀乙彦加賀乙彦 自伝』2013年3月10日第1刷発行・定価2000円・293頁・四六判上製本

加賀乙彦 自伝

加賀乙彦 自伝

 版元はカバー裏表紙に「発行/ホーム社 発売/集英社」とあり、奥付に「発行所 株式会社ホーム社」「発売元 株式会社集英社」とあるが、カバー背表紙最下部には横組みで、扉の下部には縦組みで「集英社」とあるのみである。
 本書の成立事情と意図するところは、274〜275頁「あとがき」の1段落めに説明されている。274頁2〜8行め、

 この本は私の初めての自伝である。わが生涯についての、増子信一さんの問いに対して私が/正直に答え、それに註をつけ写真を示し、年譜を補って成ったものである。結果として、あり/のままの自伝になった。最近、『永遠の都』と『雲の都』という自伝的長編小説を上梓したが、/この二つの作品は、自伝ではなく、あくまでフィクションに力点を置いた小説である。あれら/の長編を読んだ読者から、加賀乙彦は、あんなに奇妙な男であったのかという質問が絶えなかっ/たので、小説と自伝とは、全く違った態度と方法で書かれたものだと、はっきり言明しておき/たい。


 ここに挙がっている加賀乙彦(1929.4.22生)の自伝的長篇小説のうち前者については、7月31日付「加賀乙彦『永遠の都』(1)」に新潮文庫の書影を示し、8月1日付「加賀乙彦『永遠の都』(2)」にそのカバー表紙折返しに示されている「主要登場人物」を一覧に纏めて置いた。――8月14日付「ネタバレと引用」に「これから読む人に」対して書いているのではなく、「読んでしまった人に」向けて書いているのだ、といったようなことを書いてしまったのだが、これらの記事は「これから読む自分」の準備であって、そのまま未だに読んでいない。……他の本の記事も、こういうものの方が多いことを忘れて、いい加減なことを書いていた。御免なさい。
 従って、本書を先に読んでいるのも、やはり「これから読む」ための準備ということに、なるのである。
 それから、もっと具体的に本書の由来を示しているのは奥付の前の頁(頁付なし)で、明朝体縦組みで小さく、右上に

※本書は、「すばる」2011年8月号・11月号、2012年7月号に掲載の/
 「加賀乙彦インタビュー」をもとに、大幅に加筆したものです。
※年譜・著書目録は、講談社文芸文庫版『湿原 下』(2010年1月刊)の/
 巻末の「年譜・著書目録」(文芸文庫編集部編)をもとに、加筆したものです。

とあり、左下に

インタビュー・構成=増子信一
装幀=菊地信義
本文・口絵レイアウト=松田行正+山田知子

とある。(以下続稿)