今回の投稿は、古い草稿に、形を整える程度の加筆修正を行ったものである。
すなわち「赤いマント」の連載を続けていた2013年12月28日から準備していたものだが、この本に気付いたのと同じ図書館の参考資料室で取った岩崎京子(1922.10.26生)の略歴のメモ書きを失くしてしまい、そうすると、探せば出て来るはずなのだから改めてメモを取りに行くのも億劫で、そのうち赤マントからも遠ざかったのでこれもそのままになってしまったのである。
けれども見付けていながらまだ報告していない赤マントの回想の類も多々あるので、もうそろそろ再開させようと思い立ち、まずほぼ出来上がっている草稿を上げて置こうと思ったのである。
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・怪談レストラン42『紫ババアレストラン』童心社・142頁
・上製本(2006年5月15日第1刷発行・定価1000円)
怪談レストラン(42)紫ババアレストラン[図書館版] (怪談レストラン[図書館版])
- 発売日: 2006/05/15
- メディア: 単行本
・2008年4月7日第4刷発行
・2010年3月18日第5刷発行
・2011年10月3日第7刷発行
・並製本(2006年5月15日第1刷発行・定価600円)・2006年6月2日第2刷発行*1
・2008年4月7日第5刷発行*2
・2010年1月6日第8刷発行
・2010年1月27日第9刷発行
・2010年4月22日第10刷発行
ISBNコードが第1刷・上製本第3刷は10桁だったが、上製本第4刷・並製本第8刷・第9刷・第10刷では13桁になっている他、版元の住所が新宿区三栄町から上製本第3刷の時点で文京区千石に(電話番号は同じ)変わっている。
上製本と並製本の第1刷を比較してみよう。
カバー表紙は同じ。
カバー背表紙、並製本は最上部を白く人魂型に抜いてゴシック体で「42」とある。
カバー裏表紙、左上のバーコード1つめ下5桁、上製本「11544」並製本「11490」、2つめ下5桁、上製本「10003」並製本「06006」、右上のISBNコード下6桁、上製本「-01154-1」並製本「-01149-5」、2行め「C8293」の次、上製本「\1000E」並製本「\600E」。
カバー折返しは一致*3。
上製本のカバーの異同は第4刷・第5刷「定価 本体1,000円(税別)」第7刷「定価 本体1000円(税別)」ここだけ。本体の異同はそれぞれの発行日。
上製本は見返しに合計4図、並製本にはない。
本体は一致、異同は奥付の下から2行めの後半、上製本「ISBN4-494-01154-1 NDC913 144p 17.9×12.9cm」並製本「ISBN4-494-01149-5 NDC913 144p 17.3×12.3cm」、目録類はない。
59〜66頁に岩崎京子「赤マント」が収録されている。その内容を見る前に、138〜142頁、常光徹「解説」の冒頭を引いてみよう。138頁2〜8行め、
松谷みよ子さんの『現代民話考―学校』を読むと、「赤い紙・青い紙」「白い手・赤/い手」「赤いはんてん」など、色にまつわる学校の怪談がたくさん収録されています。/色が妖怪話や怪異現象とふかくかかわって語られるのは、子どもたちの伝承のひと/つの特徴ではないかとおもわれます。*4
さまざまな色の組み合わせがみられますが、なかでも赤は基本的な色で、ひんぱん/に登場します。赤の背景には、おそらく血のイメージがよこたわっているのでしょ/う。今回は色をテーマにした怪談でまとめてみました。*5
以下、収録順に解説を加えて行くが、140頁1〜4行め、
一九七九年の夏に、口さけ女のうわさが日本列島をかけぬけ、当時の小学生をふ/るえあがらせました。「赤マント」はそれより四十年以上まえにはやった話です。い/つの時代でも子どもたちは、こわい話題にふるえながら、そのいっぽうではスリルを/楽しんでいるのでしょう。*6
実はちょうど40年前の昭和14年(1939)なのだが、常光氏も「赤マント」を執筆している岩崎氏ももう少し前のことと捉えているようだ。昭和14年よりも前に赤マントの噂がなかったとは言わないが、縷々述べてきたように大きな騒ぎになったのは昭和14年である。戦後生れの常光氏はもちろん体験していない訳だが、体験していてもおかしくない岩崎氏の記述が、どうも、おかしいのである。(以下続稿)