・ギンティ小林『新耳袋大逆転』(2)
2月13日付(05)の続き。――「不思議ナックルズ」からの依頼を受けて、単行本『新耳袋大逆転』93頁7〜12行め、文庫版『新耳袋殴り込み 第二夜』81頁1〜6行め、
「ギンティ、一緒にサリーちゃんの取材をしないか」
二十年の時を経てサリーちゃんを探す旅がはじまった。
中学時代、僕の近辺を騒然とさせたサリーちゃんにまつわる目撃談はヒートアップし|て虚実が入り/混じっていた。
「もう一度、ギンティの同級生たちの見たサリーちゃんの目撃情報を検証し直すところ|からはじめよ/うか」
ということになります。
ここでこれまで後回しにしていましたが、『新耳袋大逆転』に於ける小林氏の回想を見て置くことにしましょう。
単行本「第二十七話」文庫版「第二十三話」の「サリーちゃんとの出会い」の冒頭、単行本86頁2〜8行め、文庫版74頁2〜8行め、改行位置は単行本「/」文庫版「|」で示しました。
一九八七年年*1の九月、僕が中学三年生のときのこと。
いつものように登校すると、教室内の女子たちが騒ぎ立てている。
「それ! ワタシも見た!」
「怖くて泣きそうになっちゃった!」
昨日の夕方、地元の駅構内にこの世のものとは思えない姿をした女が出没したらしい。|でも、僕は/信じなかった。なぜなら騒いでいる女子の大半がこっくりさんの亜流「ラブ|様」に夢中になっていた/連中*2だ。‥‥
私も2012年7月5日付「コックリさん(1)」に述べたようにこの手の遊びをやったことはありますが、私には「ラブ様」という呼称は記憶にありません。しかし1学年12学級もある中学でしたから、校舎の反対側のクラスではどうだったか、分かりません。
それはともかく、――ところが、単行本86頁10〜15行め、文庫版74頁10〜15行め、
「小林*3、女子たちの言っていること本当だぞ……」
友人Tも見たという。
それは、セーラー服を着た片脚の女だったという。頭には金髪のカツラを被*4り、顔に|はお面をして/いる。女はカツンカツンと松葉杖*5を突きながら歩いていた。
そんな得体の知れない怪人が自分の生活圏に現れたなんて……。この日の授業はいつ|も以上に身が/入らなかった。この頃の僕は画期的な恐がりであった。
そして、小林氏は自分が当時「画期的な恐がりであった」ことを示すために、あるCMにまつわる都市伝説を、例に引くのです。(以下続稿)