瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

北杜夫『マンボウ響躁曲』(3)

・単行本と文庫版の比較
 前回見たように1頁19行、1行43字と云う組み方は単行本・文庫版も同じである。文春文庫の扉も頁に含まれるため、単行本の頁付に2頁足したものが文庫版の頁付になっている、――はずなのであるが、そう単純でもないのである。
 以下しばらく、1頁ずつ比較して行く。ルビの追加のみの頁は「=」とした。改変のある頁は「→」とした。一字一句漏らさず確かめたのではないので、見落しもあるかも知れない。
・単行本7頁=文庫版9頁、8行め「真似」にルビ「ま ね 」追加。
・単行本8頁5行め「彼の生れた広島の生家」→文庫版10頁5行め「彼の広島の生家」。
・単行本9頁=文庫版11頁、3行め「無智蒙昧」にルビ「む ち もうまい」。
・単行本10頁7~8行め「暴走とか。/(笑)」→文庫版10頁7~8行め「暴走と/か。(笑)」。
・単行本11頁=文庫版13頁。
・単行本12頁=文庫版14頁、3行め「酩酊」にルビ「めいてい」、5行め「箸」にルビ「はし」、6行め「叩」にルビ「たた」、17行め「諦」にルビ「あきら」、18行め「羨」にルビ「うらや」追加。
・単行本13頁=文庫版15頁、2行め「経」にルビ「た 」、4行め「洩」にルビ「も 」、10行め「貰」にルビ「もら」追加。
・単行本14頁=文庫版16頁。
・単行本15頁=文庫版17頁、3行め「驚愕」にルビ「きようがく」、9行め「紐」にルビ「ひも」追加。
・単行本16頁=文庫版18頁。
・単行本17頁=文庫版19頁、2行め「茹」にルビ「ゆ 」、7行め「閑」にルビ「ひま」、9行め「躁」にルビ「そう」、14行め「蒙」にルビ「こうむ」追加。
・単行本18頁=文庫版20頁。
・単行本19頁=文庫版21頁、2行め「惨憺」にルビ「さんたん」「喧嘩」にルビ「けんか 」、5行め「些細」にルビ「さ さい」、9行め「霞」にルビ「かすみ」、15行め「断乎」にルビ「だんこ 」追加。
・単行本20頁=文庫版22頁。
・単行本21頁=文庫版23頁、1行め「憶」にルビ「おも」、7行め「心算」にルビ「つ も り」、14行め「狼狽」にルビ「ろうばい」、16行め「訊」にルビ「き」追加。
・単行本22頁=文庫版24頁、18行め「訳柄」にルビ「わけがら」追加。
・単行本23頁=文庫版25頁、1行め「発」にルビ「た 」、3行め「噂」にルビ「うわさ」「旱魃」にルビ「かんばつ」、16行め「明瞭」にルビ「めいりよう」追加。
・単行本24頁=文庫版26頁、1行め「爽快」にルビ「そうかい」、10行め「愉」にルビ「たの」追加。
・単行本25頁=文庫版27頁、1行め「凄」にルビ「すご」追加。
・単行本26頁=文庫版28頁、3行め「稀」にルビ「まれ」、5行め「糞」にルビ「くそ」追加。
・単行本27頁3行め「なんでも、/」→文庫版29頁3~4行め「なんで/も、」、4行め「嘔吐」にルビ「おうと 」追加。
・単行本28頁=文庫版30頁、13行め「嬉」にルビ「うれ」、15行め「葡萄」にルビ「ぶ ど う」追加。
・単行本29頁=文庫版31頁、15行め「服」にルビ「の 」「喉」にルビ「のど」追加。
・単行本30頁=文庫版32頁、1行め「挨拶」にルビ「あいさつ」追加。
・単行本31頁=文庫版33頁。
・単行本32頁10行め「言ったが、/」→文庫版34頁10行め「いったが、/」、5行め「服」にルビ「の 」追加。
 この単行本32頁19行め、全角だった読点2つと二重鉤括弧を文庫版34頁19行めでは半角にしたことで、単行本33頁1行めが「う」」の2字だけだったのを文庫版では34頁19行めに追い込んだため、ここから単行本と文庫版が1行ズレている。
 これ以降は行がズレてしまうために一々確認して行くと煩雑になる。幾つか気付いたところもあるのだけれども割愛することとしよう。
 そんな訳で細かい比較は一旦ここまでにして、以下、若干気付いたところをメモして置くに止めて置く。(以下続稿)