瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

新人物往来社『東京都の不思議事典』(3)

 それでは文庫版の「新編集」振りを窺うべく、手始めに「文学編」を比較して見よう。
 単行本『東京都の不思議事典』では「文学編」は下巻15〜55頁に41項あったが、文庫版『東京都謎解き散歩 23区編』61〜96頁「第2章 文学編」では12項、文庫版『東京都謎解き散歩 武蔵野・多摩・島しょ編』125〜152頁「第3章 文学編」では9項で、文庫版には21項しか再録されていない。
 単行本では項の見出しは目次は明朝体で算用数字で番号が打たれており、本文ではゴシック体で番号はない。文庫版はカラー印刷で、項の見出しは強調したい語句をその章に割り当てられた色で印刷しており、目次は明朝体、本文は強調された語句は明朝体で大きく、それ以外はゴシック体になっている。
 ここでは単行本と文庫版で見出しが異なるものは別々に示したが、一致するものについては単行本目次の番号と、強調語句の色を合成した見出しを示した。さらに各項目の末尾にやや小さい括弧に示されている執筆者名(単行本では明朝体で括弧は全角、文庫版はゴシック体で括弧は半角)を添えた。
 単行本と文庫版の頁を添えたが、文庫版は使用されている色で『23区編』と『武蔵野・多摩・島しょ編』の区別が付くはずなので一々区別せず文庫版とした。
1 多摩川布を晒していたのは誰!?*1(林 精一) 単行本15〜16頁上段11行め・文庫版126〜128頁
5 在原業平はなぜ、どこまで東国にやってきたのか?*2(林 精一) 単行本19頁上段2行め〜20頁上段7行め・文庫版62〜64頁
6 小野小町伝説と東国の向かいの岡とはどこ?*3 単行本20頁上段8行め〜21頁上段9行め
小野小町伝説――東国のむかひの岡とはどこ?(林 精一) 文庫版129〜131頁
8 芭蕉がいたから芭蕉*4(平賀 徹) 単行本22頁上段6行め〜23頁上段6行め・文庫版65〜67頁
9 江戸初めての職業作家は誰?(平賀 徹) 単行本23頁上段7行め24頁上段4行め・文庫版68〜70頁
13 芥川龍之介死の真相は?(峯村純夫) 単行本27頁上段4行め〜28頁上段4行め・文庫版71〜73頁
16 『こころ』の奥さんの実家はどこ?(峯村純夫) 単行本29頁下段17行め〜30頁下段16行め・文庫版76〜78頁
17 太宰治の墓はなぜ三鷹にあるのか?*5 単行本30頁下段17行め〜31頁下段7行め
太宰治の墓三鷹にある理由とは(峯村純夫) 文庫版132〜134頁
19 『破戒』の陰には娘の犠牲があった?(増渕利夫) 単行本32頁下段10行め〜33頁下段5行め・文庫版74〜75頁
20 大菩薩峠』の「義賊七兵衛」って実在の人物なの?*6(増渕利夫) 単行本33頁下段6行め〜34頁上段・文庫版135〜137頁
22 「南瓜最中」の由来は?*7 単行本35頁下段8行め〜36頁上段
「南瓜最中」の由来とは(増渕利夫) 文庫版138〜140頁
23 『新・平家物語』の里ってどこなの?(増渕利夫) 単行本36頁下段〜37頁上段15行め・文庫版144〜145頁
25 北村透谷はなぜ八王子川口村へ四度も行ったのか?*8 単行本38頁上段11行め〜39頁上段15行め
八王子川口村へ四度も行った北村透谷(佐々木啓之) 文庫版141〜143頁
27 失恋が生んだ? 名著、国木田独歩の「武蔵野」*9 単行本40頁上段11行め〜41頁上段4行め
失恋が生んだ? 国木田独歩の名著『武蔵野』(佐々木啓之) 文庫版150〜152頁
28 森鴎外夏目漱石同じ家に住んでいた?(佐々木啓之) 単行本41頁上段5行め〜42頁上段9行め・文庫版79〜81頁
29 徳冨蘆花「武蔵野の一隅」とはどこか?*10(増渕利夫) 単行本42頁上段10行め〜43頁上段3行め・文庫版82〜84頁
31 文学者が止宿した「本郷菊富士ホテル」とは?*11(佐々木啓之) 単行本43頁下段17行め〜44頁下段・文庫版85〜87頁
33 田端文士村には誰がいたのか?(平賀 徹) 単行本46頁上段5行め〜下段・文庫版88〜90頁
35 根岸庵のガラス戸をいちばん喜んだ人は? 単行本48頁上段11行め〜49頁上段14行め
子規庵のガラス戸をいちばん喜んだ人は?(平賀 徹) 文庫版91〜93頁
37 若山牧水は、なぜ日暮れ時に百草園を訪れたのか?*12(林 精一) 単行本50頁下段〜51頁上段15行め・文庫版146〜149頁
41 尾崎放哉は、なぜ芳哉の号を捨てたのか?*13(林 精一) 単行本54頁上段2行め〜55頁上段6行め・文庫版94〜96頁
 単行本のみの項目も含めて全て挙げる予定であったが取り敢えず再録分をまとめた。(以下続稿)

*1:単行本ルビ「さら」。

*2:単行本ルビ「ありはらのなりひら」。

*3:ルビ「おののこまち」。

*4:単行本ルビ「ばしよう」。

*5:ルビ「だざいおさむ」。

*6:単行本ルビ「だいぼさつとうげ」。単行本の目次は鍵括弧なし。

*7:ルビ「かぼちやもなか」。

*8:ルビ「きたむらとうこく」。

*9:ルビ「くにきだどつぽ」。目次は二重鍵括弧。

*10:単行本ルビ「とくとみろか」。

*11:単行本ルビ「ししゆく」。単行本目次は鍵括弧なし。

*12:単行本ルビ「わかやまぼくすい・もぐさえん」。

*13:「芳」に傍点「」あり。単行本ルビ「おざきほうさい」。