瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

山中恒『なんだかへんて子』(10)

偕成社文庫2082(4)
 7月8日付(08)にて引いたように、偕成社文庫版は「一九七五年に偕成社から単行本として刊行されたものの文庫版」ということになっているけれども、実は6月10日付(03)及び6月11日付(04)にて行った単行本の15刷(新選創作どうわ10)と20刷(山中恒みんなの童話3)の比較からも分かるように、昭和50年(1975)の1刷のままではなく、昭和57年(1982)15刷と昭和60年(1985)18刷の間に行われたシリーズ編成替えに伴ってカラー挿絵の削除とモノクロ挿絵の追加がなされており、6月18日付(06)に比較したように改装もされているのだが、偕成社文庫版はその改装後のカバー絵を、表紙も裏表紙もそのまま、カバーに使用しているのである。
 そこで、偕成社文庫版(3刷)の内容を見て行くに際し、単行本(山中恒みんなの童話3)21刷と比較しつつ述べることにした。単行本の2色刷や橙色のイラストは、偕成社文庫版では黒で、縮小して刷られている。
 3頁(頁付なし)偕成社文庫の扉。ちなみに本体表紙が1頁になる勘定である。
 5頁(頁付なし)「も く じ」の扉、イラストは単行本7頁(頁付なし)中扉の2色刷イラストを使用。
 6〜7頁(頁付なし)見開きの下半分には単行本4〜5頁と同じイラスト。上半分には単行本にあった「もくじ」の文字はなく(目次の扉に移されている)、6頁に6章、7頁に5章*1、さらに半行分空けて単行本にない1行が追加されている。11章めと追加の1行を抜いて見よう。

いつかまた あいつとどこかで …………151

解  説 …………………大 林 宣彦……166*2


 8頁(頁付なし)下部中央に縦組みで小さく「さし絵長尾みのる*3」とある。
 なお、単行本6頁(頁付なし)「筆 者 紹 介」には山中氏と長尾氏の紹介があったが、偕成社文庫版では山中氏の紹介は後述するように奥付の上部、長尾氏の紹介はなくなっている。
 以下本文になるが、ここまでのところで偕成社文庫版に引き継がれていない箇所を挙げると、単行本1頁(頁付なし)扉のイラスト、3頁(頁付なし)上半分の作者からの呼び掛けらしき文句と下半分のイラストである。
 3頁の文句を引用して置こう。

 きみのまわりに、なんだかへん/てこな子がいないだろうか。*4
 しょっちゅう見かけているよう/な、よくしっているような子なの/に、よく見ると、ぜんぜん見たこ/とがなくて、よくかんがえてみる/と、その子のことは、なんにもわ/からない。まてよ。もしかすると/きみのともだちは、みんな、なん/だかへんて子かもしれないぞ!*5


 イラストはぼさぼさのオカッパ頭で、舌を出したへんて子で、袖が手首まであるセーターを着(首はない)、両手は肘までは真横に、その先は上に上げて指4本を拡げ、ズボンを穿いた脚はがに股で、宙に浮いているらしく下に少し離れて影がある。この1頁が偕成社文庫版に再録されなかったのは、なくても良いという作者の判断なのだろうけれども、あっても良いと思うのである。(以下続稿)

*1:単行本には6月11日付(04)に列挙した本文の章題と同じ振仮名が「もくじ」にも附されている(「一」を除く全ての漢字に振仮名)が、偕成社文庫版は6章め「ハハウエ」7章め「こ・たなか」8章め「よ」のみ。章題の途中にある空白は単行本の「もくじ」では全角であったが、偕成社文庫版は「もくじ」及び本文ともに、単行本本文と同じく半角である。

*2:ルビ「かい せつ・おおばやしのぶひこ」。

*3:ルビ「ながお」。

*4:ルビ「/こ」。

*5:ルビ「み/こ/み・み//こ///こ」。