瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

淡谷のり子『酒・うた・男』(1)

 8月16日付「淡谷のり子「私の幽霊ブルース」考証(1)」に指摘した、淡谷氏が昭和30年代前半に書いた自伝を見て置こう。
 この自伝には、以下の4つの版があるようだ。
①『酒・うた・男 わが放浪の記 春陽堂書店・244頁・B6判上製本
昭和32年10月3日 第1刷発行・昭和32年10月7日 第2刷発行・¥240
② 潮文社新書『酒・うた・男 わが放浪の記
 未見。昭和37年(1962)刊。
③ 潮文社新書『わが放浪記』
 未見。昭和44年(1969)刊。
人間の記録16『淡谷のり子 「わが放浪記」 日本図書センター・224頁・四六判上製本

・1997年2月25日第1刷発行・定価1,800円
 書名は奥付に拠る。
 私が見たのはの2つであるが、この4つが同じものであろうと考えた根拠は、国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、「国立国会図書館内限定」公開のため本文はネットでは閲覧出来ないが、「目次」を見るに、の頁は完全に一致している。が新書判だとすると、の縮刷かと思われるのである。それからの4頁(頁付なし)「凡  例」4項目のうち2項めに、

2 本書の底本は、淡谷のり子著『わが放浪記』(一九六九年、潮文社)によった。

とあってを底本にしているのだが、内容は(細部までの比較はしていないが)と一致するのである。すなわち、標題や版元が変わっているものの、からまで内容には変更が加えられていないと判断されるのである。
 なお、平成9年(1997)3月25日から4月25日まで開催された国立国会図書館第79回常設展示「流行歌に見る世相と大衆のこころ―昭和のはじめから東京オリンピックまで―」には、

9.酒・うた・男 わが放浪の記 淡谷のり子<767.8-A973s-t> 東京 潮文社 昭37(1962)

としてが展示されている。にしなかったのは、何か理由があるのであろうか。(以下続稿)