この夏、久し振りに本書を借りたのは、後述するように久しく前からだらだらと取り上げている、作家の幽霊体験記に触れていることに気付いたからだったが、結局記事にしなかった。先日改めて本書を手にして、今まさに記事にしつつある話題が取り上げられていることを知って、当ブログを始めた頃に通読したはずなのだが、改めてしっかり内容を確認して置こうと思ったのである。
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まづ薄い紫色の見返し(遊紙)があって、アート紙の扉と口絵、扉は白地で上部左寄りに明朝体横組みで、黒で大きく標題、その下に濃い桃色で著者名、中央から下にリアルではないが、不気味な青ざめた顔のイラストがあり、その下に火の玉と舟、右下と左下に紺と白を使って顔のように見えるモノが描かれている。次いでカラー口絵が3頁、地色は淡い水色、まづ見開きに大きく錦絵、「源義經都を打立ち西國へ押渡らん/とせし折から大物の沖にて難風に/逢給ひしに平家の亡霊あらはれて/判官主従に恨みをなす*1」と題する大判三枚続の、題の入っている右の1枚を省いて左と中の2枚を掲出し、左頁の下、画中にゴシック体白抜き横組みで「兵庫県,大物浦にあらわれた平家の怨霊(歌川国芳画)」とキャプション。口絵の3頁めは右上と左下に幽霊画。左上の余白上部右寄りに横組みで「雪翁の筆による幽霊▼/(全生庵蔵) 」とキャプション、▼は右向き。右下の余白下部左寄りに横組みで「▲鰭崎英朋の筆による/ 「牡丹灯籠」の幽霊(全生庵蔵) 」とキャプション、▲は左向き。
1〜2頁(頁付なし)「はじめに」は怖がりの読者に細やかな配慮を示した、教訓的な名文なのであるが、私は本書の全体を論評するつもりはないので、差当り、今後の検討に必要な最後の部分(2頁10〜13行め)を抜いて置こう。
この本をまとめるにあたって、非常にたくさんの資料集や参考書、各雑誌、新聞などを使わせて/いただきました。また、若い読者むけの本なので、引用の文章も、多くは自由にあらためました。/お礼とともにおわびいたします。
昭和四十七年 月おくれ盆 今 野 圓 輔*2
3〜7頁(頁付なし)「も く じ」。形式を示すために、序章と第一章の1節めを抜いて置こう。明朝体の章題は一回り大きい。
序 章 いない幽霊がなぜ見える*3 9
カエルのおとむらい 幽霊はもういない*4 幽霊が見えた*5
第一章 日本の幽霊*6
船幽霊*7 20
ホレホレがでた 足だけが闇の船上に*8 しつっこかったまぼろしの舟/
感ちがいでほんものにドシン アヤカシのいましめ おぼれた人のタ/
タリ 正体見やぶる股のぞき*9 あごをかけにくる亡霊*10 海底からの/
悲痛なさけび*11 東京湾の亡霊*12 まぼろしの大波と火の海
以下は内容を詳しく紹介する際に見て行くことにする。
8頁(頁付なし)は横組み、上と左を空けて、
著者紹介
今野圓輔*13
大正3年(1914)福島県相馬市に生まれる。
慶応義塾大学文学部卒業。
毎日新聞社勤務,民俗学研究所理事,東京/教育大学,山梨県立女子短期大学各講師を/へて,現在,日本民俗学会監事,女子聖学/院短期大学教授,毎日新聞社名誉職員。
著 書
『檜枝岐民俗誌』 刀江書院
『馬娘婚姻譚』 岩崎美術社
『日本迷信集』 河出書房
『日本人の習俗・迷信』 岩崎書店
『現代の迷信』 社会思想社
『季節のまつり』 河出書房
『日本の行事と風俗』 偕成社
『怪 談』 社会思想社
『日本怪談集―幽霊篇―』 社会思想社
箱・表紙のレイアウト
藤沢友一
扉・イラスト
鈴木琢磨
資料提供 (敬称略)
秋田県物産観光 オーストリア大使館 今/野圓輔 サンケイ新聞社 鈴木重三 全生/庵 美術出版社
とある。(以下続稿)