瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

鉄道人身事故の怪異(13)

ミステリーゾーン 体験実話シリーズ「水をくれ」(1)
 鉄道事故で身体を轢断された人が追い掛けてくると云う話は、TBSラジオの「ミステリーゾーン」という番組でも取り上げられていた。私は1人でラジオを聞く習慣がなかった*1のでこの番組のことも知らなかったが、怪奇小説やリスナーから寄せられた怪談をラジオドラマ仕立てにした番組で、細目や放送日時まで明確にしたサイトはネット上にはまだ存在しないようだが、*2武藤直樹のHP「武藤の大冒険」の「夜のミステリー」が最も充実しているようだ*3。番組名や放送時間の変遷については、掲示板「ヘリコニア談話室」の2013年6月20日投稿、ムトウナオキ「「夜のミステリー」「ミステリーゾーン」について」に、簡潔に纏められている*4

1975年10月に「ミステリーゾーン」のタイトルで始まった平日(月〜金)放送、正味10分程のラジオドラマです。
1976年4月に一慶・美雄の「夜はともだち」の内包番組になって「夜のミステリー」に改題されました。
1977年10月からは日曜深夜の30分番組(正味25分くらい)に変更されて、1979年3月に最終回の「幽霊屋敷」が放送されました。
1986年に再び「ミステリーゾーン」のタイトルで平日(月〜金)放送の正味10分ほどのラジオドラマとして復活。1989年3月が最終回。


 脚本データベースで検索すると、川崎市民ミュージアム所蔵の台本が2冊ヒットし、表紙を閲覧出来る。
 1冊は「ミステリーゾーン/体験実話シリーズ    (第一回〜第五回)」と題して、右に「放送日 昭和六十一年十月二十七日(月)〜十月三十一日(金)PM10・00〜10・15/録音日 昭和六十一年十月十七日(金)PM4・30〜(1スタ)」収録日の「七」はペンで修正。和文タイプでは「八」と誤っていたようだ。左下に「脚色・津川泉/雁田昇/清水東」主な出演は梨羽由記子、樋浦勉村松克己。
 「ミステリーゾーン」として復活してから初めての「体験実話シリーズ」の台本なのであろう。
 もう1冊、赤い表紙に「ミステリーゾーン体験実話シリーズ/何かがフイにやってくる((1)〜(5))」と題して、右に「放送日 昭和六十二年二月二十三日(月)〜二月二十七日(金)PM10・00〜10・15/録音日 昭和六十二年二月十三日(金)PM4・00〜 (1スタ)」左下に「脚色・雁田昇/津川泉/吉岡友治」主な出演は花房徹、樋浦勉、新井純。
 第5回の録音が某動画サイトに上がっており、それに拠ると「なお、来週からは3週にわたって、小泉八雲怪談シリーズをお送りします。出演は江守徹白石加代子のお2人です。どうぞお楽しみに」と予告している。細かくチェックして行けば放送順や内容などももう少し明らかになるであろうが、いづれ武藤氏が作成するはずの完全版リストに、エアチェックしていた当時のリスナーの方々が協力されることを期待して、何も手持ちの材料がない私は中途半端に手を出さないで置く。
 さて、問題の鉄道事故を扱った回は「動画の説明」に、

ミステリーゾーン・体験実話シリーズ「水をくれ」
1987年6月頃放送
出演:廣瀬昌亮、花房徹、信漱石、平沢智子

とある(武藤氏のリストには現時点では入っていない)。廣瀬昌亮(1946.1.7〜1999.3.7)と花房徹(1950.12.3〜2014.10.7)は晩年までの俳優活動が知られているが、他の2人は活動期間が短かったらしく、ネット検索では殆どヒットしない。テレビドラマデータベースで検索するに、信漱石は昭和63年(1988)から平成2年(1990)まで、平沢智子は昭和54年(1979)から平成元年(1989)までの出演が確認出来る。平沢氏は昭和61年(1986)10月10日に「めぞん一刻」と同時上映で公開された松田優作監督の映画「ア・ホーマンス」にも出演しているが、信氏は映画には出演していないようだ。配役であるが平沢氏は姉役、他の3人で男の登場人物5人を分担していることになるが、聞き覚えがないので(動画サイトで3氏の出演番組を視聴して聞き慣れれば見当が付けられるかも知れないが)判断出来ない。
 さて、まづナレーターが「このドラマは、葛飾区にお住まいの、タカハシマサオさんのお便りをもとに、構成しました」と断って、ドラマに入る。
 オカルトマニアの高校生*5マサオが、今年度から同級生になった「怖い話知ってる」と言うナカムラを自宅に招いて話を聞く。ナカムラは「怖いって云うか、気味が悪いな」と言って語り始める。
 蒸気機関車の釜焚き(機関助士)をしていたナカムラのオジサンの若い頃の話。雪の積もった東北の山間で、乗務していた機関車が人を轢いてしまう。上半身と下半身に轢断された10代の男性の死体が雪の上に転がっている。先輩の運転士は次の駅に連絡しに機関車を運転して去ってしまい、オジサンが一人現場に残る。すると「水をくれ」と云う声がする。死んだと思っていた上半身が喋ったのだ。吃驚して逃げると、凄い勢いで上半身が「水をくれ」と言って追い掛けてくる。
 運転士が駅員や駐在を乗せて再び機関車を運転して戻ってきたとき、オジサンは線路から遠く離れた電柱の上で震えていた。電柱の下では上半身だけの死体がオジサンの方に手を伸ばして息絶えていた。
 ――ちょうど話が終わったところに、マサオの姉が水を持ってやってくる。「水をくれ」と言われたから持って来てやった、と言うので、そんなことは頼んでいない、それは話の中の台詞なのだと説明して収まりそうになったが、今度はマサオがコップが3つあることに気付いてしまう。すると姉が、もう1人はどこに行ったのか、と聞く。――もう1人、お前たちの後から、床の上を這い擦ってこの部屋に入った子がいたろ、と。
 そして最後にナレーターが、出演と「脚色石井信之、音楽サワダノブオ」を読み上げる。(以下続稿)

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 今朝は、2011年4月15日付「港屋主人「劇塲怪談噺」(3)」及び2014年9月30日付「「ヒカルさん」の絵(1)」に続き三度「羮に懲りて膾を吹く」と云いたくなった。海近くの住人が念のため、ちょっと高いところに移動すれば十分なので、挙って高台に避難する必要なんてなかったろう。報道も大袈裟である。震災の教訓が生きたの生きないのと云うような地震でもなければ津波でもなかった。

*1:高校までは、朝と、夕方帰宅してしばらくの間、母が食事の支度をしながら聞いていたラジオ番組を聞いていた。小学5年生まで、兄と同じ部屋だった頃には、兄が聞く夜のラジオ番組を付き合わされて聞いていたが、部屋が別になってからは私の部屋には音が鳴るものがなく、静かに過ごしていたのである。

*2:2017年1月28日追記】「ようだ。」と言い切っていたのを「ようだが、」と修正。

*3:2022年10月14日追記】投稿当初のリンク「武藤直樹のHP「武藤の大冒険」の「夜のミステリー」」がリンク切れになっていたので、現行の物に変更した。

*4:2022年10月14日追記】「ヘリコニア談話室」は teacup. サービス終了に伴って閲覧出来なくなっている。よって、リンクを外して「ヘリコニア談話室」2013年6月分の過去ログ「ヘリコニア過去ログ1306」のリンクに貼り直して置いた。参考までに投稿当初のリンクも保存して置く。「掲示板「ヘリコニア談話室」の2013年6月20日投稿、ムトウナオキ「「夜のミステリー」「ミステリーゾーン」について」」。

*5:明示されないが中学生ではなさそうだ。