瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

祖母の蔵書(16)平岩弓枝④

 祖母のクローゼットに詰め込まれていた文庫本の、第1列には他にも平岩氏の小説が何冊かあった。
・文春文庫
168―7『藍の季節』1978年10月25日 第1刷・1979年10月1日 第4刷・定価 280円・264頁

168―10『下町の女』1979年9月25日 第1刷・定価 280円・269頁ひ 1 13『女の旅』1980年5月25日 第1刷・1992年4月5日 第27刷・定価 388円・268頁 いづれも現代小説である。『下町の女』と『女の旅』には2010年代に新装版が出ている。――今から眺めると懐かしい感じもあり、少々、手放すのが惜しいような気もするが、残念ながらそうも言っていられない。
集英社文庫
45|C『この町の人』昭和53年12月30日 第1刷・¥200・230頁ひ 1 8『釣女――花房一平捕物夜話1983年12月25日 第1刷・1997年12月10日 第28刷・定価429円・246頁※ 書名は奥付に拠る。
※ 帯あり「創刊20周年チャレンジセールビッグサポート/歴史・時代小説フェア」『女櫛』と同じもの。
ひ 1 9『女櫛―花房一平捕物夜話―』1984年2月25日 第1刷・1997年12月10日 第25刷・定価429円・245頁※ 書名は奥付に拠る。
※ 帯あり「創刊20周年チャレンジセールビッグサポート/歴史・時代小説フェア」『釣女』と同じもの。
『花房一平捕物夜話』は全2冊12篇で揃い。何故か『女櫛』だけ改装されたものが出ている。参考までに書影を貼付して置く。 文春文庫『女の旅』と集英社文庫の3冊の「解説」を書いている伊東昌輝は平岩氏の夫である。『この町の人』の解説では原作であるTVドラマの台本との異同を実例を挙げ、『釣女』の解説では初出と再録、配列順について簡潔に纏めてあって、参考になる。
 なお「NHK放送史」には「土曜ドラマ 平岩弓枝シリーズ「この町の人」ひだまり」があって5分ほど視聴出来る。しかしその「詳細」に、

大阪大学理学部卒業という異色の経歴をもつ脚本家・砂田量爾が手がけた単発ドラマ。集団見合いで知り合った若者とのほほえましいやりとりの、ユーモアとウィットのある作品。三代目・實川延若 を主人公に、ミヤコ蝶々金田龍之介など、大阪ドラマには欠かせないコテコテの俳優たちが演じた。(全1話)

とあって、これでは連作ではないようだ。かつ、これに続いて「脚本:平岩弓枝 音楽:川口真」とあるから、「脚本家」の砂田氏が「手がけた」のが何なのかが、分からない。演出だろうか。それとも、この記述自体、何か別の作品との混同があるのだろうか。
 この辺り、伊東氏の223~230頁「解説」から放送に関する箇所を抜いて置こう。227頁13行め~228頁1行め、

 テレビの放送は、昭和五十年十一月八日から同じ月の二十九日まで、毎週土曜日の夜、七十分/間ずつ四回にわたって行なわれた。
 ちなみに、その時の配役は、野沢秋がミヤコ蝶々、藤田良二が西村晃、娘の初子が由美かおる/などで、毎回ゲストとして、「日だまり」の加島雄吉に森繁久彌、「帰雁」の野沢悦子に三田佳子、/【227】「芋粥」の三輪千吉に緒形拳、「満月」の若月けいに杉村春子が登場し好評だった。


 NHKには、きっちり調べて出して欲しい、と言いたい。残り3話が保存されていないとしても。(以下続稿)
追記①】「NHK放送史」の「ドラマ 平岩弓枝シリーズ「この町の人」ひだまり」の「主な出演者(クリックで主な出演番組を表示)」には、ミヤコ蝶々西村晃森繁久弥由美かおるあいざき進也谷啓久里千春三遊亭円楽*1の8名が挙がるが、これでは先に引いた「詳細」にあった「三代目・實川延若 を主人公に、ミヤコ蝶々金田龍之介など、大阪ドラマには欠かせないコテコテの俳優たち」のうちミヤコ蝶々しか重なっていない。そこで「日だまり 集団見合い」で検索して見るに、「テレビドラマデータベース」にて、別のNHKのTVドラマ「日だまり」がヒットした。昭和58年(1983)10月8日(土)20:00~21:15放送の単発ドラマで「集団見合いで知り合った若者とのほほえましいやりとりの、ユーモアとウィットのある作品。【参考文献:川上潔・著「ブラウン管の裏側から映像美術の世界」(1987/09/10青雲書房刊)】」と紹介されている、「主な出演」は實川延若ミヤコ蝶々金田龍之介・下元勉、脚本は砂田量爾、演出は根本仁、美術は川上潔。
 しかし、題名とミヤコ蝶々しか重なっていない。そもそも「平岩弓枝シリーズ」なのに「脚本家・砂田量爾が手がけた単発ドラマ」とは妙ではないか。NHK大河ドラマ『新・平家物語』や、大ヒットした民放ドラマ『ありがとう』や『肝っ玉かあさん』の脚本家である平岩氏のシリーズだと云うのに、砂田氏の脚本である訳がない。――どうも、世の中にはこの程度の一致で強引に無関係のものを結び付けてしまう手合いが多いから、混乱の種が尽きない。さればこそ「霊感商法」などと云うものが成り立ってしまうのだけれども。
追記②】「NHKクロニクル」にてもう少し詳しく見て置こう。平岩弓枝シリーズ「この町の人」は昭和50年(1975)11月22日から12月13日まで毎週土曜日の20:00~21:10に放送されている。伊東昌輝「解説」と放送日が半月異なるが、当初11月に4回放送する予定で、伊東氏が「解説」執筆に当たって参照した台本にもそう記載されていたのが、何らかの事情で半月ズレたのであろう。
 11月22日放送「土曜ドラマ平岩弓枝シリーズ(1)― 「この町の人」―日だまり―」の出演者はミヤコ蝶々西村晃森繁久弥由美かおるあいざき進也谷啓久里千春三遊亭円楽平岩弓枝脚本と川口真音楽は全4回共通、この回の演出は清水満。
 11月29日放送「土曜ドラマ平岩弓枝シリーズ―(2) 「この町の人」―帰雁―」の出演者は三田佳子ミヤコ蝶々西村晃由美かおるあいざき進也谷啓久里千春赤座美代子、演出は宮沢俊樹。
 12月6日放送「土曜ドラマ平岩弓枝シリーズ―(3) 「この町の人」―芋粥―」の出演者はミヤコ蝶々西村晃緒形拳由美かおるあいざき進也西川峰子谷啓久里千春、演出は岡田勝。
 12月13日放送「土曜ドラマ平岩弓枝シリーズ―(4) 「この町の人」―満月―」の出演者はミヤコ蝶々西村晃杉村春子由美かおるあいざき進也西川峰子谷啓久里千春、演出は清水満。
2024年3月18日追記】客間クローゼット左側1段めより。
・角川文庫6820/ひ 4-6『江戸の娘』昭和六十二年七月二十五日 初 版 発 行・平成 七 年六月 三 十 日 十七版発行・定価485円・角川書店・277頁

※ 栞あり「角川文庫」反対面「KADOKAWA NOVELS」
 他に「こ・こ・ろ/豊かに実ります。」との惹句を斜体の丸ゴシック体茶色で刷った「全国共通図書券/図書カード」の栞挟まる。
 次の本は客間クローゼット右側の1段めか2段めにあったと思う。
新潮文庫2700/草241=1『風子』昭和五十六年 二 月二十五日 発  行・昭和五十八年 三 月 五 日 八  刷・定価320円・新潮社・315頁※ 帯あり、やや桃色がかった赤地で表紙側上半分、明朝体白抜き横組み「私の時間が咲きました。 /  美しい春の開幕です。」とあって下半分「新潮文庫[私の時間]」後半は角の丸い青の長方形にゴシック体白抜き。背表紙側は白抜きで、カバー背表紙の「新潮文庫」の位置に角の丸い青の長方形にゴシック体「私の時間」、「新潮文庫」は上に小さく入れ、下の「〔草〕二四一=1=A320」はカバー背表紙とほぼ同じ位置で、異同はカバーの方が「=1=」が大きいが「1」ではなく真っ直ぐの縦棒、「A」は帯の方が大きい。裏表紙側も文字は全てゴシック体白抜きで右端に斜めにリボン型に青地にして「最新刊14冊」以下白線の枠で囲って細い縦線で仕切って14点、その左は2段組で上は7点9冊、下は7点7冊で2点めに本書、さらに下寄せで小さく「その他15冊」と添える。最下部のみ横組み、OCRーBとゴシック体で「ISBN4-10-124101-1 C0193 ¥320E 定価320円」とあって、カバー裏表紙の、若干高い位置にも同様の記載があるが「ISBN4-10-124101-5」でこれは奥付の最下部も同じ、帯が誤りである。折返しは少し地色が侵入しているが白地、裏表紙側折返しの白地の左下隅、ゴシック体縦組みでごく小さく赤で標題。
 カバー表紙折返し「新潮古代美術館全14巻」の「第8回 発売中/日本美術の完成」。

*1:六代目三遊亭圓楽(1950.2.8生)の写真を掲出しているが、当時楽太郎だった六代目ではなく五代目三遊亭圓楽(1932.12.29~2009.10.29)であろう。