瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

岡本綺堂の文庫本(3)

・『女魔術師』(1)
光文社文庫(光文社時代小説文庫)
『女魔術師 傑作情話集』2015年11月20日初版1刷発行・定価660円・313頁

女魔術師 (光文社時代小説文庫)

女魔術師 (光文社時代小説文庫)

 カバー裏表紙の紹介文に以下のようにある。

女魔術師岡本綺堂*1
岡本綺堂といえば“半七捕物帳”に代表される/怪奇趣味が横溢する探偵譚が挙げられるが、そ/の非凡な才筆は人情の機微を描かせても超一流/であった。――突如改易を申し渡され、流浪の/身となった武士一家が辿る凄絶な冒険譚「海賊/船」、大正期に曲芸団を率いて諸国を旅する美貌/の女座長の数奇な運命を綴った表題作など、ほ/とんどが初文庫化となる傑作七編を収録。*2


 解説等の編集について説明する文章がないが、新たに文庫未収録の作品を中心に寄せ集めて編んだものらしい。313頁の裏(頁付なし)に、

底本出典一覧
海 賊 船   『う す 雪』大正八年四月二十六日 文泉堂刊
磯部のやどり 『両国の秋』昭和四年七月二十日 資文堂書店刊
子供役者の死 『両国の秋』昭和四年七月二十日 資文堂書店刊
怪談一夜草紙 「日曜報知」昭和八年三月十二日 報知新聞社
庄内の仇討  『両国の秋』昭和四年七月二十日 資文堂書店刊
岩井紫妻の死 「新 演 藝」大正十二年三月一日 玄文社刊
女魔術師   『女魔術師』大正六年三月三十日 春陽堂

とある。このうち「子供役者の死」は、2011年6月19日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(10)」等に触れたように、これを表題作とした作品集が大正10年(1921)に刊行されている。すなわち、初出誌に拠るものもあるが、可能な限り早い本に拠ったと云う訳でもない。この『子供役者の死』と云う本に就いては、きちんと紹介しようと思いながらそのままになっている。
 1頁(頁付なし)扉、3頁(頁付なし)「目次」楷書体太字、1行分空けて楷書体太字で7題、短くて4字分空けて明朝体漢数字で頁。
 5頁(頁付なし)「海 賊 船」の扉で上部中央に楷書体太字縦組み。6頁から本文、101頁まで。
 103頁(頁付なし)「磯部のやどり」の扉。本文104〜121頁。
 123頁(頁付なし)「子供役者の死」の扉。本文124〜138頁。
 139頁(頁付なし)「怪談一夜草紙」の扉。本文140〜155頁。
 157頁(頁付なし)「庄内の仇討」の扉。本文158〜176頁。
 177頁(頁付なし)「岩井紫妻の死*3」の扉。本文178〜192頁。
 193頁(頁付なし)「女魔術師」の扉。本文194〜313頁。
 頁付があるのはここまで。ついで「◎底本出典一覧」が1頁、校訂方針や差別的な言葉についての〔光文社文庫編集部〕による注意書きが1頁、1頁白紙、奥付、奥付の裏は光文社文庫編集部お願い」、最後の2頁、表は「岡本綺堂/半七捕物帳/新装版 全六巻」の広告、裏は光文社文庫岡本綺堂作品集」8冊の広告で下段4点めが本書。
 収録作の「ほとんどが初文庫化」と云うのだが、確かに「怪談一夜草紙」は他の文庫版で見た記憶がある。(以下続稿)

*1:明朝体太字で標題はやや大きい。ルビ「おんなまじゅつし・おかもときどう」。薄い紫のは白の×で四分割されている。

*2:ルビ「/おういつ/きび/かいえき・るろう/さむらい・たど・せいぜつ・かいぞく/ぶね/すうき・つづ/」。

*3:ルビ「しづま」。「目次」にもルビあり。