瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Théophile Gautierの文庫本(3)

・現代教養文庫社会思想社)テオフィル・ゴーチエ著/小柳保義訳
 今はなき現代教養文庫から「フランス幻想小説」のシリーズ名で、以下の3冊が刊行されていた。
・現代教養文庫1391『フランス幻想小説 魔眼』1991年6月30日初版第1刷発行・定価583円・295頁

魔眼 (現代教養文庫)

魔眼 (現代教養文庫)

・現代教養文庫1431『フランス幻想小説 吸血女の恋』1992年5月30日初版第1刷発行・定価466円・231頁
・現代教養文庫1499『フランス幻想小説 変(へんげ)化』1993年9月30日初版第1刷発行・定価544円・260頁
 書影が表示出来るのは『魔眼』のみであるが、他の2冊も同じレイアウトで、『吸血女の恋』の標題は赤紫で影を付け、シリーズ名は標題の上に添える。やはり人形の写真である。『変(へんげ)化』の標題には青紫の影が付いており、読みは青紫で間に挟まる。シリーズ名はやはり上に添える。人形の写真ではなく茶色を基調にした油絵で、柱状のコート掛けに掛かった茶色いコートから白い袖が出ており、波形になった袖口から手が出てヴァイオリンを演奏している。しかし胴体も頭もなくコート掛けの木柱があるばかりである。
 カバー表紙折返しは白地で、太線(11.3cm)2本に挟まれた間(4.2cm)に明朝体縦組み7行もしくは8行の紹介文がある。『魔眼』は7行で、

 マルセイユからの汽船がナポリに入港した。この地で療養中の恋人アリシヤ/を訪ねてきたフランス人青年ポール・ダスプルモンが悠然と下りたった。
 凄絶なまでの美貌、だが異様に鋭い眼光――魔眼か! 本人の意志とは無関/係に、見つめる相手に危害を与える凶器だ……。
 ポールとアリシヤの恋の運命は?
 ほかに、ギリシャの遊女と美少年の恋を描いた「金の鎖」、命がけで女王から/一夜の情けを受けた若者の物語「クレオパトラの一夜」の短編二編を収録。

とある。『吸血女の恋』は8行で、

 純潔な神学生が絶世の美女の魅力に呪縛される。実は彼女は娼婦で、しかも/死ぬたびに甦っては愛する男の血をすする吸血鬼。だが彼女の正体を知ったの/ちもイヨイヨ熱情につのらせて、昼は謹厳な司祭で、夜は妖女との愛欲におぼ/れる遊蕩児に変身する青年僧の奇妙な二重生活を描く『吸血女の恋』。
 ほかに、王妃の艶麗なヌードシーンを家臣にのぞき見させたために命を落と/す王の話『カンダウレス王』、アラビヤン・ナイトのエキゾチックで夢幻的な/情緒を盛った大人の童話『千二夜物語』、吉凶の双つ星のもとに生まれた若者/が自分の分身と戦って幸運をかちとる『双つ星の騎士』、の三篇を収録する。

とある(句読点の前の二重鍵括弧閉じは半角)。『変化』も8行で、

 人妻のポーランド美人に横恋慕したフランス人青年が、あろうことか、魂交/換という想像を絶したインド妖術に訴えて、首尾よく彼女の夫になりすます。/彼女に迫る貞操の危機……。そして、邪恋の行く末は……? 破天荒なゴーチ/エの幻想が生み出した奇妙キテレツの物語『変化(へんげ)』。
 ほかに、二千年前のヴェスヴィオ噴火で見事な乳房の形を泥灰に残して死ん/だ美女が奇しくも現代によみがえってフランスの若者と愛を交わす『ポンペイ/の幻』と、これも四千年前に死んだエジプトの王女が、悪人に切り取られた自/分の足を求めて霊界から訪れる『ミイラの足』を収録。

とある(句読点の前の二重鍵括弧閉じは半角)。
 左の太線の左側、下詰めで小さく、『魔眼』には「カバー写真=秋山まほこ人形作品(『ANGE』TREVILLE刊より)」とある(二重鍵括弧開きは半角、アルファベットは横転)。『吸血女の恋』には「カバー写真=秋山まほこ人形作品」、『変化』には「装画 ベルナール・ルエダン」とある。(以下続稿)