瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

織田作之助『夫婦善哉』の文庫本(1)

 織田作之助夫婦善哉」を収録した本は、これまでに2014年5月20日付「織田作之助「續夫婦善哉」(1)」に岩波文庫31-185-2『夫婦善哉 正続 他十二篇』を、2014年7月16日付「織田作之助「續夫婦善哉」(2)」及び2014年7月17日付「織田作之助「續夫婦善哉」(3)」に雄松堂出版の『夫婦善哉 完全版上製本並製本を取り上げた。
 実は「續夫婦善哉」を収録していない『夫婦善哉』の文庫本から始めて、上記「續夫婦善哉」を収録する諸本に及ぶつもりであったのだが、『夫婦善哉』を収録する文庫本と云うのが、都内の図書館には意外に少ないのである。
 従って2013年3月4日から始めた草稿を、7月23日まで加筆していたものの、その後、四十八刷改版との異同も拾わないまま放置していた。結局平成12年(2000)改版より以前の版は見ないままで、これと平成25年(2013)改版の2種しか見ていない。草稿には平成12年改版の四十一刷改版と四十五刷の異同を拾ったのみである。前後の刷を見てから投稿しようと考えているうちに、平成25年改版も今は絶版になってしまった。
 差当り今、手許にある四十五刷と四十八刷改版を参照しつつ、草稿に適宜手を入れて、投稿して置く。

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新潮文庫6557(1)

夫婦善哉 (新潮文庫)

夫婦善哉 (新潮文庫)

①昭和二十五年一月二十五日発行
○平成十二年九月二十五日四十一刷改版(243頁)定価400円
・平成二十年三月十五日四十五刷 定価400円
○平成二十五年一月二十五日四十八刷改版(264頁)定価430円
・平成二十五年七月五日四十九刷 定価430円*1
 四十一刷改版と四十五刷を比較するに、カバー表紙、表紙折返し、背表紙は一致。
 カバー裏表紙、横線の上は一致、ISBNコードは四十一刷改版は10桁で下1桁「-9」、四十五刷は13桁で下1桁「-1」。
 カバー裏表紙折返しは「|新潮文庫 日本の近代文学|」で四十一刷改版は30人、四十五刷は28人、四十一刷改版にあって四十五刷にないのは14番め「獅子文六  てんやわんや」19番め「徳田秋声  あらくれ」26番め「火野葦平  土と兵隊・麦と兵隊」30番め「横光利一  機械・春は馬車に乗って」、四十五刷に追加されたのは3つめ「内田百輭  百鬼園随筆百鬼園随筆」と23番め「橋本 治  「三島由紀夫」とはなにものだったのか」。28人のものは、2012年2月10日付「中島敦の文庫本(13)」の追記に取り上げた新潮文庫1895『李陵・山月記』の七十刷・七十一刷・七十三刷に、また2012年12月9日付「伊藤左千夫『野菊の墓』(2)」の【2013年2月25日追記】に挙げた③百十二刷に一致。
 本体、243頁の裏(頁付なし)に小さな明朝体で縦組み3行、3行め末尾(下寄せ)に「(新潮文庫編集部)」とある断書きがある。中央に位置しているのは同じだが四十一刷は上寄せ、四十五刷は下寄せとなっている。四十一刷は冒頭「なお本作品中には、……」となっていたが四十五刷は「本作品中には、……」で始まっている。以下は同文だが行移りの位置が「散見しま/すが、著者自身に」が「散見しますが、/著者自身に」に、「また著者が/すでに故人である」が「また著者がすでに/故人である」と、ズレている。
 目録、1頁め2〜3点め、石川達三から井上ひさしに、4点め井伏鱒二から井上靖に、2頁め4つめ「谷川俊太郎 母の恋文/谷川徹三・多喜子の手紙―」が「三浦哲郎 忍ぶ川芥川賞受賞作」に、3頁め2〜3点め、江藤淳尾崎士郎開高健に、4頁め4点め「徳田秋声 あらくれ」が「井形慶子 古くて豊かなイギリスの家/ 便利で貧しい日本の家」に、5頁め4点め「源氏鶏太 三等重役」が「水上勉 ブンナよ、/木からおりてこい」、6頁め2点め、「小島信夫 アメリカン・スクール/芥川賞受賞」が「小林秀雄 ドストエフスキイ/の生活/文学界賞受賞」に、6つめ「沢村貞子 貝のうた」が「夏目漱石 彼岸過迄」に、7頁め4点め「柴田錬三郎 剣は知っていた/(上・下)」が「北方謙三 棒の哀しみ」に、8頁め5点め「田中英光 オリンポスの果実池谷賞受賞」が「檀 一雄著 火宅の人/読売文学賞・日本文学大賞受賞(上・下)」、「新潮文庫最新刊」3頁。
 奥付、四十五刷の発行日と電話の次にHPアドレスを追加、ISBNコードはカバーに同じ。(以下続稿)

*1:2019年1月4日追加。【2019年1月25日追記】四十九刷との異同は奥付の四十九刷発行日1行追加のみ。