昨日取り上げた「映画『砂の器』シネマ・コンサート」だが、過去にも似たような催しがあったらしい。
・樋口尚文『『砂の器』と『日本沈没』70年代日本の超大作映画』 2004年3月20日初版第1刷発行・定価1700円・筑摩書房・255頁・四六判並製本
- 作者: 樋口尚文
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2004/03/19
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それはともかく、見ていなくても、監督や俳優について全くの無知と云う訳でもないし、樋口氏の文章は軽快なツッコミ調なのですらすら読めてしまう。
前置きが長くなったが、15〜44頁「[第一章] 泣かせと旅情の文芸大作『砂の器』」に、今回の「シネマ・コンサート」に類似の催しについての記述がある。20頁1〜11行め、
‥‥、名画/座だとかリバイバルの再映だとか、本当にこの映画は日本のあちこちでよく上映されていて、し/かもその都度劇場には熱心な観客がたくさん詰めかけているのであった。今どき地方の映画館な/どいつも空いているのに、公開当時の九州の封切り館も、二〇年を経た北海道の名画座も、この/作品の後半の演奏会場となった埼玉会館のそばにあった名画座も、開館記念にこの作品をかけた/淺草の松竹も、今やない銀座の並木座も、どこもたいへん混みあっていた。そして、その満場の/観客が、いつしか鼻をすすって泣きだしたあげく、真っ赤な目をしてそそくさと小屋を出ていく/のである。こうしてディープなファンをつかんだ『砂の器』は、なんと作品中に登場する東京交/響楽団の楽曲演奏つきでのホール上映という、アベル・ガンスの『ナポレオン』も真っ青のイベ/ントも催されたが、こういうときなどリピーターの観客の熱気はもうただごとではなかったよう/である。
この催しは、樋口氏がインタビュアーを務める「映画『砂の器』シネマ・コンサート」特設WEBサイトに、7月24日に掲載された「砂の器シネマ・コンサート開催記念特別インタビュー/“伝説の名子役・春田和秀(少年・本浦秀夫役)がはじめて語る『砂の器』の現場”後編」の、締め括りの3章め「色んな形で“次の世代” に思いを繋げられたらいいなと」にて、
そしてまた今回のこのシネマコンサート、今までってそれこそ、最近は西本智実さんが、昔は東京交響楽団も組曲「宿命」だけはコンサートもやってましたけど、劇中音楽の隅々まで全部演奏するっていうのは、ファン的には夢のような出来事ですごいなと思うんです。‥‥
と樋口氏が述べている「昔は東京交響楽団も‥‥」に当たるのではないかと思うのだけれども「組曲「宿命」だけ」の「コンサート」では、とても「アベル・ガンスの『ナポレオン』も真っ青のイベント」とは云えないだろう。それとも、映画を上映しながら「「宿命」だけ」生演奏したのであろうか。
西本氏指揮の「宿命」は、映画を流しながらの演奏ではないようだ。
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春田氏のインタビューは、今月下旬発売の樋口氏編著の次の本*2に収録されるとのことなので、本筋からは外れるけれども出来ればこの点をはっきりさせて欲しい*3。
- 作者: 樋口尚文
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