瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

吹奏樂部の思ひ出(2)

 常勤講師は身分が保障されていない専任教諭みたいな存在で、担任を持たされたり部活の副顧問をしたり、専任教諭と同等の勤務になる(そして待遇が悪い)*1が、非常勤講師は担当授業だけの勤務で、もちろん授業準備や採点など授業以外にも仕事をしないと追い付かないが、それだけに体育・芸術等実技系の科目を担当しない限り、最近、まるでブラックバイトだと評判の悪い部活までやらされることは、流石にないのである。常勤だから放課後も勤務時間中だから手当が月1000円(と聞いたことがある)でも仕方がないが、私ら非常勤は授業しか働いていない勘定だから放課後、講師室で採点をしているのは実はサービス残業みたいなものなのである*2
 だから、学校行事に全く参加しない人もいる。私も最初の共学高の講師室の同僚たちが行事に参加していないらしく、学校側からも特に声が掛かってもいなかったようなので、そもそも学校行事に顔を出そうなどと云う発想そのものを持ち得なかった。次の男子高は2017年12月12日付「手で書かずに変換する(2)」に述べたように講師室がなく、職員室の一隅に固まって座っていたので、講師だけで親しく話す機会もなく、同僚たちがその学校に何年いたのかもよく分からなかった。話さなかったから同僚たちの中で行事に参加している人がいたとしても私には声が掛からなかったろうし、そもそも同僚たちが参加していたかどうかも全く分からないのである。
 しかし、この学校では1度だけ私はそういう行事に参加したことがある。冬だったと思うが、音楽の男性講師が1年生の合唱会を講堂で催して、その案内を講師も含め教員全員の机の上に配布したことがある。2017年12月11日付「手で書かずに変換する(1)」に述べたように私は1年生の古典を3クラス担当していたので、全員が音楽を選択している訳ではないが必ず教え子がいるはずで、担当授業のない空き時間だったので見に行ったのである。どのくらい客がいたか、覚えていないが、多くはなかったことは確かである*3
 そして、あるクラスで、態度が悪くて私を手子摺らせていた男子が華麗に伴奏のピアノを弾きこなすのを見て、高1から古典の成績の悪い奴は他の科目の成績も良くはないものだが、それもこれも生徒の一面に過ぎないことに思い至ったのである。――いや、私自身が成績度外視の高校生活を送っていた生徒だったではないか。
 恐らくこのことがきっかけとなって、次の短期代講した女子高で、高3を10月から担当して、高3の授業は1月で終了だから既に契約は切れていたものの3月に卒業式に駆けつけて、生徒にそれなりに歓迎されて(但し3クラス担当したうちの1クラスだけ*4)私でもそれなりに生徒に伝え得ているのだと云う自信を持つとともに、そういう授業では窺われない生徒の側面を知るためには学校行事にもなるべく参加するべきだ、と、――当時、確信するに到るほど強く思わなかったまでも、そういう、何というか、感覚くらいは、何となく持つこととなったように、今にして考えるに、思われるのである。
 そしてその先に、とにかく学校行事には積極的に参加した、件の女子高での生活が来るのである。(以下続稿)

*1:専任教諭にする前の試用期間である場合が多いかと思うのだが、これも学校によってまちまちだろう。

*2:雇用保険加入を避けるために授業時間だけで計算するのである。確かに、採点や授業準備は人によって時間差があるから一概に決められないのではあるけれども。1コマ当りの時給は、その分も見込んで高く設定されてはいる。しかし授業のフォローに時間を掛ければ掛けるほど実際の時給は低くなってしまう。

*3:その後も同じような感想を抱かされることが多かったことは確かである。

*4:2019年3月10日追記】このことは2019年3月9日付「卒業式の思ひ出(1)」にやや詳しく述べた。