瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

上方落語「三年酒」の原話(09)

 昨日の続きで、都家歌六『落語レコード八十年史』について。同書の内容は1月15日付「都家歌六『落語レコード八十年史』(1)」に示してある。
 さて、1月17日付(05)の初めに引いた「演題別索引」に見える頁のうち、(上)144頁と345頁に触れていなかった。
 27〜158頁「SP時代――――――――明治・大正篇」は26の節から成るが、24節めまではレーベル名を題にして、まづその概要を述べ、吹込みをしている落語家ごとにタイトルと発売年月、番号を列挙する。最後の2節は152〜154頁「二代目三木助三年酒余話」155〜158頁「レコードこぼれ話」と云うコラムである。
 24節め、135頁8行め〜151頁(4行め)「ツバメ印ニットー」の前置き(135頁9行め〜136頁6行め)の前半を抜いて置こう。

 さて、いよいよ大正旧吹込時代のしめくくりとして、前記オリエントと並んで落語レコードの一/大宝庫といえる同じく関西の大手メーカー、ツバメ印日東レコードの登場となる。
 大正九年三月大阪にて設立され、永年の旧盤時代を経て、昭和の新録音に入っても、更にその歴【135】史は継続されていった。


 新録音(電気吹込)のツバメ印ニットーについては、159〜294頁「SP時代――――――――昭和篇」の11節のうち5節め、234〜257頁10行め「ニットーとタイヘイ」に記述されている。
 それはともかく、136頁7行めから146頁1行めに大阪落語家が13人、146頁2〜7行めは3人の「噺家の掛合茶番劇」、続いて146頁8行め〜に148頁9行めに東京落語家8人、148頁10行め〜149頁3行めに講談が1名「特筆すべきものとして」挙げてあり、149頁4〜7行め、音曲部門等については人名のみ8名が挙がる。この節の最後は別に、149頁8行めに3行取り1字下げ「日東の長時間レコード」と題して、大阪落語家3名と講談1名を挙げる。
 さて、大阪落語家の9人めに144頁9〜10行め、

   ○二代目桂三木助
     三年酒(二枚)               (昭・2・10) 二六六一・二 

と、これは1月17日(05)に引いた「<二代目・桂三木助 ディスコグラフィ>」をレーベル側から記述したものである。
 315〜426頁「LP時代」の大半(324頁12行め〜421頁10行め)を占める「落語LPレコード演者別一覧(五十音順)  (括弧内は発売年月、*印がSP原盤によるものである。)」の、344頁2行め〜347頁4行め「○桂米朝(中川清/一九二五―)」の項に、345頁3行め、『桂米朝上方落語大全集』の1つとして、

   くやみ/兵庫船/三年酒/馬の田楽/正月丁稚(第十九集)          (昭・51・7)

が挙がる。
 「演題別索引」に見える頁は以上であるが、実は本書にはもう1箇所「三年酒」に触れるところがある。すなわち(上)295〜313頁「正岡容の『寄席古音盤探求』」に、正岡容(1904.12.20〜1958.12.7)が質に置いて流してしまったレコードとして、特に8人8種を列挙した中(306頁4〜11行め)に、3つめ、

桂三木助  三年酒(ニットー)

と見えているのであるが、索引には拾われていない*1。(以下続稿)

*1:索引の漏れは、どうもこれに限らないようである。――索引を作成し直し、1月15日付の最後に述べたように文字起こしも再度確認し直した上で、ちくま学芸文庫辺りで再刊しないものだろうか。