瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

睡眠不足(2)

 今の家に越してきて10年になるが、来た当座、庭は乾き切って埃っぽかった。椿と紫陽花、そして梅が植わっていたが、乾燥が酷いので木に力がなく、瀕死の状態だった。椿には毛虫が着いて、私は平気だったが1度だけ庭に出た家人は飛んできた毛にかぶれた。発疹が出て痒いので、皮膚科で診てもらったら毛虫だろうと言われたのである。しかし毛虫には触れていないし、椿に近付いてもいないので、どうやら毛にやられたらしい。以後3年か4年、毎年毛虫が着いたので、ホームセンターで殺虫剤を買って来て、風の強い日に背黄青鸚哥を屋内に入れてから噴霧した。葉の裏に着いているのがぽとぽと落ちる。梅も枝振りが悪く葉も枯れたような按配だった。
 そこを、鸚哥の水入れや籠を掃除した水や、米の磨ぎ汁、風呂の残り湯(もちろん冷ました水)を毎日朝晩撒いて、乾かないよう努めた。腐りかけた里芋を植えたら3年ほど収穫出来た。青紫蘇も3年ばかり、1mほどの高さに繁茂した。しかしこれらは以後、生えなくなった。乾かなくなってからは、茶殻などの葉っぱの生ゴミを庭木の根元に棄てるようにした。団子虫が大量発生して、今も庭をうようよ這い回っている。すっかり土質が改善(?)して、今は窓から水道までの通路が踏み固められている他は、足首までめり込むくらい柔らかくなっている。それでは困るので古くなったプラスチックの爼を踏み石代わりに使っている。私の踏まないところには、表面に団子虫と若干の草履虫が、そして土中には蚯蚓が、蟻も大きいのと小さいのがいて、蟇も大きいのと小さいのがいる。鼠か土竜か、地面に穴を掘るのが棲息しているのだが、見たことはない。しかし、雨が3日降らないくらいでは乾かなくなった。庭木も強くなって、使い途のなくなった殺虫剤の処分に困っている。
 ところが最近、穴熊が出没するようになって、1羽だけになってしまったアルビノ(羽が白くて目が赤い)の背黄青鸚哥の籠に襲い掛かった。3日ほど前、雨の前に初めて襲来されたときには日付の変わる前だったこともあって気付いて追い払ったのだが、昨晩は丑三つ時だったものか、全く気付かなかった。今朝見るに、水入れの水が殆ど零れ、籠の底が割れていた。余程飛び回ったのだろう、流血はしなかったようだが羽が手乗り鸚哥を跳べなくするために鋏を入れたときのように短くなっていた。それで今晩から暗くなる前に屋内に入れることにした。しかしいったいどこから出て来るのだろう。
 そして、梅だが、6年ほど前から小粒の実を付けるようになった。熟れた実を口にしたところ、甘みも酸味も薄いが食べられなくはない。しかし小粒な上に果肉が少ないので、そのまま食べても美味くはないのを手間なだけである。そこで蜂蜜漬けにしてみた。甘酸っぱいシロップがたくさん出来て、実も十分に甘くなって小粒だけれども食べ応えがある。
 そこで、以後毎年蜂蜜漬けにしているのだが、豊作と凶作があって、今年は豊作なのだが、それが大変なのである。漬けてしばらくすると、ガスが発生する。実がパンパンに膨らむのである。それでうっかりしていると、硝子瓶から溢れてしまう。ガス抜きのためにかき混ぜて気を抜いたこともあったが、これもあるとき、調子に乗ってかき混ぜているうち、炭酸飲料や麦酒を勢いよく注いだときのように泡が沸き立って溢れてしまった。――なかなか大変なのである。それで、もともと睡眠時間が短い方なのに、ここ半月ばかり、朝と、帰宅後と、寝る前にガス抜きをしないといけないので、帰宅後に十分抜いたつもりなのだが、寝る前に見ると蓋に近付いているのである。それでまた杓子で掻き混ぜてガスを抜く。しかし、自然にガスが抜けるのを待つのでは追い付かなくなって、今日からはガスでパンパンに膨らんだ実に爪楊枝を刺して潰すことにした。しかしこれも合計18リットルだかの硝子瓶に1000粒だか2000粒(全部がパンパンに膨らむ訳ではないが)あるから、なかなか追い付かないのである。(以下続稿)