瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Paul Heyse “L’Arrabbiata” (3)

岩波文庫2999―3000『改訳 片意地娘 他三篇』(1)
 第一六刷を第19刷と比較して見た。第19刷については2017年6月16日付(2)に第18刷と比較しつつメモしている。
 第一六刷は現行の分類番号ではなく★の番号になっている。すなわち本書は「定価★★」で、岩波文庫として2999番めと3000番めの★と云うことになる*1
 カバーは掛かっていない。本体表紙のレイアウトは同じだが組み直されており、第19刷が一回り大きい。大きな違いは下線のある2行め、第一六刷は下線(1.7cm)に「2999―3000」、第19刷は下線(1.5cm)に「32-426-1」、7〜8行め、第一六刷は「パウル・ハイゼ作/関  泰 祐 訳」と中黒点が全角であったのが第19刷は「パウル・ハイゼ作/関  泰 祐 訳」と半角になっていること(中黒点の真下に「泰」の字。)。本体背表紙の文字も第一六刷はやや小さい。割書になっている作者/訳者の字配りは表紙に同じ。
 私の見た第一六刷は帯が背表紙側のみ保存されてるが、それは背表紙の文字も茶色で地色に紛れて標題が見えづらいので、桃色に黒のゴシック体で「七七一 片 意 地 娘」と(漢数字は半角)してあるのを見せているのである。数字の上と標題の下にはラベルが貼付されていて、下の記号等は見えない。
 書影であるが2017年5月4日付(1)に貼付した2点のうち、1つめが第一六刷に近いもののようである。
 1頁(頁付なし)扉も組み直されている。匡郭は第一六刷()第19刷(10.5×6.5cm)異同は表紙に同じで、表紙との違いは2行めの下線の第19刷の寸法(1.4cm)と数字の字体、それから第19刷の作者・訳者の字配り(中黒点の下の「泰」の字が右に寄る)。
 3頁(頁付なし)「目  次」からは192頁まで同版。
 奥付以降は全く異なっている。
 奥付の文字は全て明朝体で、第一六刷は縦組み、中央やや下に四隅の切れた匡郭(7.0×5.0cm)があって、右側に小さく、

昭和二八年一二月二五日 第 一 刷発行  改訳 片 意 地 娘
昭和四五年一二月二〇日 第一六刷発行

とあり、続いて3行めは下寄せでやや小さく「定 価 ★ ★」とある。
 中央下寄りに、

訳   者     関     泰   祐*2
  東京都千代田区一ツ橋二丁目五番五号
発 行 者     岩  波  雄 二 郎
  東京都青梅市根ヶ布一丁目三八五番地
印 刷 者     白  井  倉 之 助

とあって住所は次の行と詰まる。この下の下辺の下に横組みで小さく「精興社印刷・桂川製本」とある。
 この左に縦線(4.9cm)があって、

発 行 所 〈東京都千代田区/一ツ橋 二ノ五ノ五*3〉 〈株式/会社〉 岩  波  書  店

とある。左辺の左、下詰めで小さく「落丁本・乱丁本はお取替いたします 」とある。
 岩波茂雄「読書子に寄す/――岩波文庫発刊に際して――」の匡郭(11.7×7.3cm)はやはり四隅が切れる。
 第一六刷の最後は2段組の目録、匡郭(11.6×8.3cm)の中間を横線で仕切る。上辺の上に明朝体横組みで小さく「考える人――岩波文庫より」とあり、下辺の下、中央に小さく頁付「S1(〜S6)」。縦組みで1段に8点収まるがS1の上段はまず2点分を取って「 学問の精神/   〔選者〕湯川秀樹大塚久雄」選者名は下寄せ、S2の上段4点めまで18点、次に「 国家とは何か/   〔選者〕丸山真男日高六郎福田歓一」S3の上段5点めまで15点、次に「 人間の解放/   〔選者〕宇野弘蔵中野重治松田道雄」がS4の上段まで17点、4番めに「 人  生/   〔選者〕吉川幸次郎中野好夫」がS5の下段4点めまで18点、最後に「 生きるよろこび/   〔選者〕桑原武夫/久 野 収」が、S6は1段に9点と詰めて下段6点めまでで17点、最後の3点分に3字半下げで小さくこの選の説明。

 これは、岩波文庫創刊四十周年を記念して、/現代に生きるわれわれが当面している問題、探/求しなければならない問題を五つのテーマにし/ぼって選んだ読書のすすめです。これらのテー/マについて解説した小冊子『考える人』を用意/しました。御希望の場合は、岩波書店宣伝課宛/にお申しこみ下さい。   (一九六七年六月) 


 この「考える人――岩波文庫より」については、2016年10月19日付「Hans Carossa“Rumänisches Tagebuch”(2)」に取り上げた岩波文庫4869-4870『ルーマニア日記』第九刷にもあったが、追って異同等について検討することとしたい。(以下続稿)

*1:尤も、刊行予定で★が割り振られていたものの、中絶・未刊に終わったケースもあるので、本当に3000番めの★かどうかは分からない。

*2:ルビ「せき たい すけ」。

*3:丁目以下の漢数字3つは半角。