瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

ゴーゴリの文庫本(4)

岩波文庫32-605-3『外套・鼻』(4)
 平成18年(2006)の改版の前後の本体及びカバーを比較して見る。
 岩波文庫は、第33刷の時点では未だカバーを掛けていない。本体背表紙、上部に1字強空けて茶色で「外  套 ・ 鼻 平 井 肇 訳」とあり、下部に「赤 六〇五-三」とあってその下はめ5字分ほどあって★があると思うのだが分類表貼付のため見えない。
 この背表紙上部が、第47刷のカバー背表紙では1字半空けて「外套・鼻 ゴーゴリ作」作者名はやや小さい。本体背表紙を隙間から覗くに標題の下に第33刷よりは大きく「平 井 肇 訳」とある(下部に「赤 六〇五-三」とあってその下には何もない)。
 改版後のカバー背表紙は標題が大きくなり1字弱空けて「外套・鼻 」とありその下に割書で「ゴーゴリ作/平井 肇訳 」とあって、本体背表紙も同じ位置に茶色で入っているようだ。
 カバー表紙のゴシック体横組みの紹介文は、改版前は以下のようになっていた。

小役人アカーキエウィッチにとって,外套を新調することは生涯の大事件であるの心は裁縫師の一針一針に怪しく燃え上った。運命に辱められた不幸な人々への憐憫の情溢れる「外套」。/ある日突然顔から抜け出し,歩き廻り出した自分の鼻を追って狂奔する下級役人を描く幻想的な物語「鼻」ゴーゴリ(180952)の代表的短篇


 改版後は次のようになっている。

ある日,鼻が顔か/ら抜け出してひと/り歩きを始めた…/写実主義的筆致で/描かれる奇妙きて/れつなナンセンス/譚『鼻』。運命と/人に辱められる一/人の貧しき下級官吏への限りなき憐憫の情に満ちた/『外套』。ゴーゴリ(1809-1852)の名翻訳者として知/られる平井肇(1896-1946)の訳文は、ゴーゴリの魅/力を伝えてやまない。*1


 1頁(頁付なし)扉は組み直されているが同じ。改版前は第33刷から第70刷まで匡郭(10.5×6.7cm)の左下が付いている他は隙間があり、特に左上が広く空いていた。改版後の匡郭(10.6×6.6cm)には隙間はない。
 2頁(頁付なし)上部に中央揃えでキリル文字横組み、改版前「《Шинель》,《Нос》/Николай Васильевич Гоголь」二重山括弧は半角。改版後「Николай Васильевич Гоголь/Шинель/Нос」。
 3頁「目  次」改版前は頁付なし、改版後は左上に「3   目  次」とあり。内容はほぼ同じで異同は題目と半角漢数字の頁の間を繋ぐ「…」の数が改版後は改版後の半分くらいになっていることと1字下げの4〜6行め、4行め「訳  注」は改版後も「訳 注」で担当者を示さないが、5行め「解  題」は改版後は「解 題(平井 肇)」となっていること、6行め「あとがき(横田瑞穂)」は同じ。
 5頁(頁付なし)「外  套」の扉で上部中央に縦組み。
 本文は改版前は6頁からで冒頭2行分空白。改版後は7頁からで冒頭3行分空白。改版前は1頁17行、1行43字。改版後は1頁15行、1行39字。「外套」の本文は改版前57頁4行めまでで5行めには下寄せで「一八四〇年作   」とあった。改版後は69頁9行めまでで「一八四〇年作」の1行はない。
 改版前59頁・改版後71頁「鼻」の扉(頁付なし)。
 本文冒頭、改版前(60頁)は2行分空けて6字下げ2行取りでゴシック体の章番号「」。改版後(73頁)は1行分空けて6字下げ3行取りでゴシック体の章番号「」。
」改版前66頁4行め・改版後80頁8行め(〜117頁14行め)。
」改版前96頁14行め()・改版後118頁1行め。
 末尾、改版前は101頁10行めに下寄せ「一八三三―一八三五年作   」とあったが改版後(本文末123頁12行め)にはない。(以下続稿)

*1:二重鍵括弧は『鼻』の開きのみ全角で残り3つは半角。