瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

吉行淳之介『贋食物誌』(2)

吉行淳之介の誕生日(1)
 吉行淳之介の年譜としては、当初、近所の市立図書館等で目にした次の本に載るものを参照していた。
・新潮現代文学42『砂の上の植物群・夕暮まで』 昭和五十四年六月 十 日 印刷・昭和五十四年六月十五日 発行・定価一二〇〇円・402頁・四六判上製本

新潮現代文学〈42〉吉行淳之介 (1979年)

新潮現代文学〈42〉吉行淳之介 (1979年)

新潮現代文学 42 砂の上の植物群,夕暮まで 他

新潮現代文学 42 砂の上の植物群,夕暮まで 他

 図書館蔵書には函がないので挿画や帯についても記述出来ない。それはともかく、巻末、399~402頁「年 譜」は、末尾(402頁下段24行め)に、前を2行分空け*1、2字下げで「* この年譜は青山毅氏の資料をもとに編集部で作成しました。」とある。399頁上段2行め~下段1行め、終戦までを抜いて置こう。

 大正十三年(一九二四)
 四月十三日、父栄助、母阿久利*2の長男として、岡山市桶屋町に生/れる。父は新興芸術派の作家・吉行エイスケ、母は美容家。妹和子/(新劇女優)、妹理恵子(詩人・作家の吉行理恵)がいる。大正十五/年、東京市に移住。昭和五年四月、番町小学校に入学。十一年四月、/麻布中学校に入学。十五年六月、腸チフスに罹り、隔離病室に入れ/られる。七月、父栄助が狭心症のため死去。病状が重かったため、/十月までその死を知らされなかった。十一月、退院後、休学し、十/六年四月に復学。
 昭和十七年(一九四二)             十八歳
 三月、麻布中学校を卒業。四月、静岡高等学校文科丙類に入学。/十八年四月、心臓脚気と偽って休学。この頃から文学に関心を抱く/ようになり、同校教授の岡田弘に習作を読んでもらう。十九年四月、/復学。八月、現役兵として召集令状を受け、陸軍歩兵二等兵として/岡山の連隊に入営。徴兵検査は甲種合格であったが、気管支喘息の/ため四日目に帰郷。以後、今日にいたるまで喘息の発作に悩まされ/ることになる。
 昭和二十年(一九四五)            二十一歳
 三月、静岡高等学校を卒業。四月、東京帝国大学文学部英文科に/入学。五月二十五日の東京大空襲で、東京市麴町区五番町の自宅を【上】焼失。この際、自作の詩約五十編を書いたノートを持ち出す。


 ところが、これはどうもおかしいのである。すなわち、大正13年(1924)4月13日生なのに昭和5年(1930)に小学校に入学していることで、小学1年生はその年度に満7歳になる勘定だのに、これでは満6歳にしかならない。Wikipedia吉行淳之介」項を見ても、特にこの辺りのことに注意を払っていない。どういうことかと引っ掛かっていたのだけれども、『贋食物誌』を眺めて行くと①62~63頁・②95~97頁・③108~111頁7行め「29・鯖(さば)①」に、①62頁上段2~9行め・②95頁2~7行め・③108頁2~8行め、

 早生れと遅生れとあって、私は四月十三日生れなのに、*3/親がなにを考えたのか四月一日生\れと|して届けを出した。*4/つまり、戸籍面ではエープリル・フールの日に生れたこと/になる。
 そのために早生れになってしまい、十三日生れで届けた/場合にくらべて、一年早く小学校\に行|くことになった。世/間では三月三十一日までが早生れとおもっている人が多い/が、それ\は間違い|である。

とあって、実は大正13年度生であるのに、大正12年度生として中学4年生まで過ごし、昭和15年度を休学したことで、昭和16年度から本来の学年に合ったことになる。
 この点、講談社文芸文庫丸谷才一『やわらかい話 吉行淳之介対談集339~351頁、久米勲 編「年譜――吉行淳之介」では、339頁上段~下段4行め、

一九二四年(大正十三年)
四月一三日(戸籍では四月一日の早生れ)、/岡山市桶屋町四三番地に、父・栄助(新興芸/術派の作家・吉行エイスケ)、母・阿久利/(美容家・吉行あぐり)の長男として生まれ/る。昭和一〇年、妹・和子(新劇俳優)、一/四年、妹・理恵子(詩人・作家の吉行理恵)/生まれる。大正一五年、二歳のとき父母とと/もに東京に移住。幼時は部屋で一人遊びをす/る子供だった。昭和五年、番町小学校入学、/一一年同校卒業、麻布中学校入学。
一九四〇年(昭和一五年) 一六歳
六月、腸チフスで隔離病室に入る。七月八/日、父栄助急死(狭心症)。病状が重かった/ので一〇月まで父の死を知らされず、一一/月、退院するが、翌年四月の五年復学まで休/学する。

と、誕生日に注記してある。同じ「年譜」は『やわらかい話2 吉行淳之介対談集331~343頁にも掲載されており、異同は最後の頁、『やわらかい話』351頁上段1~3行め「二〇〇〇年(平成一二年)」条までで、1行分空けて4行めに下寄せでやや小さく「(久米勲編) 」とあったのが、『やわらかい話2』は343頁上段4~6行めに「二〇〇六年(平成一八年)」条が追加されていることである。(以下続稿)

*1:上下2段組で1段26行。

*2:ルビ「あぐり」。

*3:①のみルビ「おそ」。

*4:②③はここで段落を改める。