瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

岩佐嘉親『南海の楽園』(1)

 この本を手にしようと思ったのもやはり、昨日取り上げた『南太平洋の環礁にて』の著者畑中幸子と同じく、著者の岩佐氏が北杜夫『南太平洋ひるね旅』に「I氏」として登場しているからです。11月3日付「赤いマント(296)」に、北氏が「I氏」に初めて会う場面を抜いて置きました。
・『南海の楽園 タヒチからサモアへの旅昭和42年・双葉社
・『南海の楽園ポリネシアの島々をたずねて―昭和56年・大陸書房

 以上2点は未見。Amazon では昭和42年刊双葉社版として上の書影が表示されますが、これは大陸書房版です。
・泰流選書『南太平洋の楽園』1995年10月10日 第1刷・定価1500円・泰流社・315頁・四六判上製本 1頁(頁付なし)扉。
 標題が違っていますが、これについては3~4頁「まえがき」に説明があります。3頁2行め~4頁1行め、

 この書は、第一次(一九五九―六〇年)。第二次(一九六一~六三年)の二回にわたる私たちの/ポリネシア学術調査隊の現地でのこぼれ話を集めたもので、すでに昭和四十二(一九六七)年、双/葉社から「南海の楽園」と題して出版されたものの新装版である。
 その後三十年も経過しており現地事情は変貌し、一般旅行者も自由に渡航できるようになってい/るし、ことにムルロア環礁での水爆実験問題などもあり、このさい補稿してはどうかという意見が/あった。
 だが、私は敢えて四十二年版に固執し、故意に加筆することをしなかった。当時は、まだ一般人/の海外旅行が禁止されていた時代であっただけに、その時点で時計の針を止めて、当時の記録をそ/のままの形で残しておくことは有意義でこそあれ、何ら不都合な取扱いではないと断定したからで/ある。【3】
 読者各位のご賢察にまつ。


 そして2行めに2字下げで「一九九五年八月」3~4行め下寄せ「太平洋文化研究所長     /岩 佐 嘉 親  」。
 昭和42年版と昭和56年版とは頁数が異なっており、覆刻ではないようです。かつ、昭和42年版の図書館OPACのデータには「図版10枚」もしくは「図版20p」とあるのですが、この改題新装版には口絵はありません。或いは、本文中に挿入されている図版が初版ではアート紙の口絵として纏められていたのでしょうか。
 5~8頁(頁付なし)「目    次」。
 9頁(頁付なし)は1章めの扉、左上にゴシック体縦組みで大きく「ポリネシアの女たち」とあって他は余白。
 細目や図版も確認して置きたいところなのだけれども、手間なので今回は章の扉の位置のみを挙げて行くこととします。 
 41頁(頁付なし)は2章めの扉、左上に明朝体縦組みで大きく「タヒチの日本人」――章題がゴシック体になっているのは1章めだけ。
 57頁(頁付なし)3章め「明るく陽気なポリネシア」の扉。
 69頁(頁付なし)4章め「魅力的な南海の味覚」の扉。
 91頁(頁付なし)5章め「ユルフンのタブーの島々」の扉。
 115頁(頁付なし)6章め「サモアの住民と子供たち」の扉。
 135頁(頁付なし)7章め「南海の幽霊奇談」の扉。
 151頁(頁付なし)8章め「割礼と入れ墨の習俗」の扉。
 175頁(頁付なし)9章め「酋長位就任のすすめ」の扉。
 205頁(頁付なし)10章め「日本語と似るポリネシア語」の扉。
 235頁(頁付なし)11章め「ゴーギャンを魅了したタヒチ」の扉。
 259頁(頁付なし)12章め「西サモアのセックス調査」の扉。
 283頁(頁付なし)13章め「南太平洋の美女の条件」の扉。306頁まで。
 308~315頁「ポリネシアのやさしい会話」、横組みだけれども左開きではなく308頁上右に凡例、以下は見開き単位で左頁が主で日本語とタヒチ語)、右頁にはサモア語)
 1頁白紙があって奥付、上部に「著者略歴」。発行日と定価がないが、これはカバー裏表紙折返し下部の奥付に入っている。裏は白紙。
 最後に目録、1頁めは「◆泰流選書◆」6点、裏は「■ひと・歴史■」5点。
 カバー表紙、カバー背表紙、扉、そして「著者略歴」に「太平洋文化研究所所長」とありますが、この研究所は岩佐氏一代で畳んでしまったらしく、ネット上に情報が全くと云って良いほどありません。「史前館電子報」第165期(2009.10.15)に拠ると、太平洋文化研究所の収蔵品は岩佐氏の個人的な蒐集物とともに、岩佐氏の生前に台湾の国立史前文化博物館に寄贈されたようです。
 ついでに次の2点*1を借りて見ましたが、やはりあまり情報を得られませんでした。
・岩佐嘉親『サモア語入門』1989年9月9日 第1刷・定価15000円・泰流社・417頁・A5判上製本

サモア語入門

サモア語入門

・岩佐嘉親『サモア語会話集 日本語(ローマ字)・英語対照1991年7月29日 第1刷・定価2000円・泰流社・181頁・B6判並製本 うち、前者『サモア語入門』3頁(頁付なし)「まえがき」には、12~18行め、

 この書を編纂するに当って,当研究所研究員の菊岡保江さん,そして今は二児/の母,家庭の主婦である村岡(旧姓・麻生)洋子さんに,整理仕事を手伝って貰/った。二人は,1967年,サモア語を学びたいという有志の希望に応えて,私が,/日本で初めてサモア語を教えたときのグループに属し,村岡さんは1968年6月に,/菊岡さんは同年9月に,それぞれ南太平洋周遊に出発し,別々ではあったが,現/地の民家に長期滞在して,実際にサモア語を使って生活した経験の持ち主であり,/共に日本女性によるサモア旅行の草分け的存在である。

と、関係者に言及したところがあるのだけれども。(以下続稿)

*1:ともに横組み。