瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

道了堂(100)

 「日本農業全集月報」に「「絹の道」をゆく――東京・八王子市鑓水にて――」を寄稿している、(主婦・農書を読む会会員)を称する山田桂子が、どうもただの主婦ではないらしいとの疑いから、前回8月24日付(99)にネット検索で判明した著書について述べたのであったが、その後、著書を何冊か借りて見た。
人間選書77『「待ち」の子育て』1986年1月5日 第1刷発行・1996年4月20日 第27刷発行・定価1,400円・農山漁村文化協会・206頁・B6判並製本

 カバー背表紙には「山田桂子」とのみあるが、カバー表紙と扉には「山田桂子橋本紘二写真」、奥付にも「著 者 山 田 桂 子/写 真 橋 本 紘 二」とある。
 本書については別に改めて取り上げることとして、今は、幾つかの本書の成り立ちを述べた箇所を抜いて置くに止める。まづ205~206頁「あとがき」のうち205頁15行目~206頁3行めの1段落、

 なお、本書の前篇は、昭和五十九年九月号から六十年六月号まで一〇回にわたって『現代農業』に/【205】連載した「野に育つ子どもたち」を骨格とし、かなりの部分を改稿、補筆し、さらに数節を新たにつ/け加えた。後篇「手づくりの子育て――管理型教育をこえて」は、連載終了後、再び取材を重ね、今/回書きおろしたものである。


 次に奥付の「著 者 略 歴」に、「山田桂子(やまだ けいこ)」として、3~4行め、

 1932年東京生まれ、農文協『現代農業』編集部員を経て,現/在フリーライター

とごく簡単に紹介する。山田氏が農山漁村文化協会に勤務していたことは8月24日付(99)に取り上げた『農村に生きる主婦たち』の「著 者 略 歴」に見えており、その雑誌「現代農業」との関わりも、「あとがきにかえて」に同書が昭和41年(1966)の「現代農業」での連載を基に纏めた本である旨、記載があったが、ここに「現代農業」編集部員との記載を得て、山田氏の取材・構成・執筆の力量について大いに納得した次第である。――但し「現代農業」は国立国会図書館雑誌記事索引採録誌になっているけれども、78巻6号(通号629号・1999年6月)からなので山田氏の記事はヒットしない。今後過去に遡って採録されることを期待するしかない。
 次いで5~8行め「 主な著書(いづれも共著)‥‥」として性教育関係の本2点と、小学生向けに職業について紹介したシリーズのうち2点を挙げる。性教育関係の本を借りるには私は少々怪し過ぎるので、職業紹介シリーズの2点を(幸い、非対面で借りられる図書館なので)借りて見た。
・やってみたいなこんなしごと(あかね書房B5変型判上製本・40頁
 カバー表紙は子供と触れ合う主人公の女性の大きな写真、カバー裏表紙は勤務中の女性を少し遠くから撮した写真で、共に全頁。
 見返しは見開きのカラー写真で、表紙・裏表紙ともに同じ写真が使われている。1頁(頁付なし)扉から32頁までがカラー頁で全ての頁に写真がある。33~39頁は白黒で「‥‥さんにインタビュー」として、短い質問に主人公が答える形式で、生い立ちや志望動機、仕事の内容、資格取得などが説明されている。そして最後に写真と文の担当者の紹介と、感想が40頁(頁付なし)奥付の上に記されている。
やってみたいな こんなしごと 11『看護婦さん』1989年6月30日 初版発行・定価1,262円

やってみたいな こんなしごと 17『保母さん』1990年11月30日 初版発行・定価1,456円 写真が主の扱いで、まづ前者は「写真 片瀬典子」後者は「写真 橋本紘二」とあって、次に「 山田桂子」とある。橋本氏とは『「待ち」の子育て』以来の共著である。しかし僅か1年で同じ作りのシリーズの、税込定価が200円も上がっていることに、驚いた。
 『看護婦さん』の主人公は佐々木照美(1964生)静岡県下田市生れで聖マリアンナ医科大学看護専門学校を卒業して、聖マリアンナ医科大学病院小児科で勤務していた。
 『保母さん』の主人公は高田久美(1963生)東京生れ、鶴川女子短期大学幼児教育科を卒業して、三鷹市の井の頭保育園に保母として勤務していた。
 見ていて非常に懐かしい感じがした。――私は32歳まで入院したことはなかったが小学生の頃、父が胃潰瘍の投薬治療で1ヶ月ほど付添婦を雇って入院、母が急性盲腸炎で1週間ばかり入院したことがあって、その見舞に何度か出掛けたから私の入院時、32歳の急性細菌性腸炎のときと一昨年の鼻中隔彎曲症の手術のときとは異なる、昭和の病院の雰囲気は多少なりとも知っているつもりだが、それを前者から感じることが出来た。そして、私の幼稚園時代は後者の13~14年前だけれども、然して変わってないように思われる。その後、呼び方などから色々変わってしまったのだけれども。
 そう、今は看護婦ではなく看護師だし、保母ではなく保育士なのだが、当時は普通に女性の職業だと思われていた。そして、そう云った中で過ごして来たので、どうも違和感がある。しかしこれからは看護婦や保母と云う呼称を知らぬ人が増えて行くのであろう。しかし昭和のことまで遡って看護師や保育士などと云われると、そこは違うのではないか、と思うのである。
 ところで、取材されているそれぞれの本の主人公の女性の、名前と年齢は、書籍の内容紹介としてネット上にも出ているので仮名にはしなかった。これも当時のこととて、その後結婚して改姓して旧姓名で検索しても引っ掛からなくなっているだろうと思ったから、でもある。しかし、自民党の女性議員たち、三原とか丸川とか橋本とか、もっといるだろうがそう云った連中が、旧姓で活動しているのに夫婦別姓に反対している理由がよく分からない。そんなに主張するならば現姓名で活動して、よく知られている旧姓を使わなくっても問題ないことを証明してやったら宜しかろうに。まぁ私はと云えば保育士や看護師と同じで、違和感がある方なのだけれども、それは刷り込まれた感覚だから仕方がない。
 それはともかくとして、ここでこの2冊に見える山田氏の写真と略歴・コメントなどを眺めて置きたかったのだが、無駄話で長くなってしまった。遅くなったので次回に回そう。(以下続稿)