瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

道了堂(101)

 昨日取り上げた『やってみたいな こんなしごと』は、40頁(頁付なし)奥付の上に、まづ写真担当、次いで文の担当者の順で、顔写真の左に紹介文、右に「ひとこと・」として取材の感想がある。――山田氏の紹介だが、『看護婦さん』は1行め「文・山田桂子(やまだ・けいこ)」とあったのが、『保母さん』ではゴシック体の6字が大きくなり、続く読みの括弧が半角になっている。2行めの「1932年、東京に生まれる。」は同じ。『看護婦さん』には3~8行め、

社団法人農山漁村文化協会で、農家向/けの雑誌や本の編集にたずさわり、現/在フリーライターとして、いそがしい/毎日を送っている。
主な著書、『待ちの子育て』『お産って楽/しいね』『農村に生きる主婦たち』など。

とある。「農家向けの雑誌」は「現代農業」であるが「いそがしい毎日」の実態が今一つ摑めない。『農村に生きる主婦たち』や『「待ち」の子育て』が「現代農業」連載を元にしていることから察せられるように、フリーになってからも「現代農業」を主な執筆媒体としていたらしいのだが、昨日注意したように、この頃の「現代農業」は国立国会図書館雑誌記事索引採録誌になっていないので、どのような連載を、どの程度続けていたのか、ネット検索では分からないのである。
 『保母さん』の方は、

農文協勤務を経て独立。現在は、農村/婦人、教育問題を中心に取材、執筆活/動をしている。主な著書に『「待ち」の/子育て』『お産って楽しいね』「親子教/師・みんなで取り組む性教育」『看護婦/さん』(いずれも共著)などがある。

と対象を明示して、分かり易いものになっている。
 なお『看護婦さん』33~39頁「佐々木照美さんにインタビュー」の題*1の下に手帳を手に笑顔で佐々木氏と向かい合う山田氏の写真があって、下に「佐々木さん(左)を取材する山田さん。白衣をぬぐ/と佐々木さんもふつうの女の人。*2」とのキャプションがある。――この写真の様子からも、山田氏の、柔和な笑顔で取材対象から多くを引き出す技倆の高さを察することが出来そうだ。しかし若い頃の仕事ぶりをこのような本に記録してもらえるとは、何とも羨ましい。まぁ私なぞは一度も取材対象になりそうな立派な仕事振りを示したことがないので、そこから羨むべきなのだけれども。いや、現在、個人情報保護とやらで、このような紹介がやりづらくなっていることに、例えば30年後になって、30年前を振り返るときに問題が生じやしないかと危惧するのである。いや、既にネット上に30年前の情報が殆どないという形で支障が出ているように思うのだけれども。
 ‥‥「道了堂」と題しながら、レポートを書いた人物の確認で随分長引かせてしまった。まぁだから「瑣事加減」であり「瑣末亭」などと称しているのだけれども、漸く本題に移ろう*3
 8月23日付(98)に細目を見た『日本農業全集』第三十五巻「月報」の、7~14頁に掲載される山田桂子「「絹の道」をゆく/――東京・八王子市鑓水にて――*4」の、まづ2字下げゴシック体の見出しを拾って置こう。序でに図版についても、その下に明朝体横組みで添えてあるキャプションとともに挙げて置こう。
プロローグ」7頁上段4行め~7頁下段15行め
・地図(7頁上段左12行分+下段6字分)※縦長の八王子駅から橋本までの略地図
桑都八王子の郷土資料館」7頁下段16行め~8頁下段3行め
・写真(8頁右上16行分×20字分)キャプション「異人との取引のため英語を学んだ吾郎吉氏の単語ノート」
御殿峠から絹の道」8頁下段4行め~9頁下段5行め
・写真(9頁左上16行分×20字分)キャプション「多摩丘陵のかげの静かな里・鑓水」
道了堂は荒れていた」9頁下段6行め~10頁上段24行め
・写真(9頁左下16行め×20字分)キャプション「絹箱を背負った生糸商人が横浜へ急いだ「絹の道」」
北村透谷や武相困民党にもゆかりの道」10頁下段1行め~11頁下段23行め
・写真(10頁右下16行分×20字分)キャプション「道了堂のある峠から八王子市街を望む。このニュータ/ウンの真中をかつて「絹の道」が貫いていたはずだった」
・写真(11頁上段左11行分)キャプション「慶応元年に立てられた道しるべ   /「此方 はし本 津久井 大山」と読める」
蚕室と蚕具が往時のままに残る小泉家」12頁上段1行め~13頁下段19行め
・写真(12頁右下16行分×20字分)キャプション「小泉家。入母屋造り,茅ぶき,内部は三階建/てで典型的な養蚕農家の構造を残している 」
・写真(13頁左上16行分×21字分)キャプション「三階の蚕室にある糸とり自転車。説明をしてく/ださる小泉栄一氏。向うに破風障子が見える 」
経済政策の犠牲となった養蚕」13頁下段20行め~14頁上段21行め
エピローグ」14頁上段22行め~14頁下段14行め*5
 残念ながら道了堂や境内を写した写真はないが、1段24行、1行29字の、非常に充実したレポートとなっている。次回から、全体について細かく見て行くこととしよう。(以下続稿)

*1:ルビ「さ さ き てる み」。

*2:ルビ「 さ さ き ・ひだり・しゅざい・やま だ ・はく い ・ さ さ き ・おんな・ひと」。

*3:山田氏のことは何か分かったら別に記事にすることとしたい。

*4:ルビ「やりみず」。

*5:【10月8日追記】投稿当初落としていたので補った。