瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

清水成夫『八王子ふるさとのむかし話』(10)

 昨日に続けて清水成夫『八王子ふるさとのむかし話』巻二の内容を眺めて置きたいところでなのですが、本シリーズは都内の公立図書館には揃いで所蔵しているところがなく、都下の公立図書館にも殆ど所蔵されておりません。しかしながら、それでも巻二を所蔵しているところは若干多く、国立国会図書館(東京本館)にも巻二のみ所蔵されております。この国立国会図書館の蔵書は現在「作業中 デジタル化のため」とのことですから、遠からず国立国会図書館デジタルコレクションでも閲覧可能になるでしょう。しかし巻一はゆっくり閲覧する機会を作るのが今後も難しそうなので、先に巻一について、気になった点を確認して置きたいのです。
 気になるのは東京都立多摩図書館に所蔵されている巻一が、昭和55年(1980)7月刊で202頁とあることです。私の手許にある昭和52年(1977)4月刊本は扉や目次を足しても188頁しかありませんから、どうも、ただの増刷ではなく、組み直し、もしくは増補が為されているらしいのです。――以前の私であれば見に行ったと思うのですが、コロナ以後、いえ、コロナ以前から鼻中隔彎曲症の影響で出勤日を減らしておったのですが、いよいよ出勤日以外は外出が億劫になってしまって、出勤日には職場近くの図書館に寄るくらいしか出来ませんし、ゆっくりしている時間もありません。かつ、出掛けなくてそういう疲れがないせいか、中々寝付かれない。しかし朝は早く目が覚める。中々、思い立ってさぁ出掛けようと云う気分にならぬのです。都内に勤めていた頃は定期券を買っていましたので出勤日以外にも出掛けたものでしたが、今は乗る分だけ払いますので、いよいよそういう気分になりません。国立国会図書館デジタルコレクションも公開範囲が広がって、例えば大和田刑場跡にあった工場についても、中々短時日に処理しきれないくらいの情報に、居ながらにしてアクセスすることが可能となりましたし。
 そんな訳で、巻一の内容についても、昭和52年版と昭和55年版の比較など、色々と検討課題が残っておるのですが、色々やっておる余裕もありませんし、かつ、私の手許にある昭和52年版は化粧裁ちが為されていなくて、どうも素人臭い製本なのですが、読んでいる内に頁が外れて来るような按配で、複写なども躊躇される状態です。或いは巻二のみ所蔵している図書館が若干多い理由は、製本がしっかりしている巻二に比して、巻一は落丁で修復不能になって、除籍処分にされてしまったのかも知れません。昭和55年版は巻二と同様のしっかりした製本かも知れませんが、既に昭和52年版を所蔵している館が改めて買うようなことはないでしょうから、利用者の手に(多くはなかったでしょうけれども)触れるうち、結果、不揃いになってしまった、と云う筋を想像して見るのです。
 ネットの古本屋やオークションにも出ておりません。大学図書館や研究機関にも所蔵されておりません。八王子市内には刊行当時に本書を購入し仕舞い込んだままにしている家が少なからずあると思うのですけれども。――巻二のみ所蔵している館は寄贈を受付けて揃いにしてもらえないでしょうか。
 以下、個別の箇条若干を検討して行きますが、全体的な検討を一旦切り上げるに際して、細目作成のために通覧(通読する余裕はなかったので)した際に気付いた誤植その他の疑問箇所を指摘して置きましょう。
 八王子地区 
《2》丹前勝山 14~16頁
・15頁上段12~13行め「‥‥、庄司/道怒斎はその著「異本洞房梧園」の中で/‥‥」とありますが書名は『洞房語園』ですなわち「異本洞房語園」とすべきで、かつ庄司勝富(1668~1745)の号は「道恕斎」です。
・16頁上段9行め「洞房梧園」も同じく「洞房語園」。
《24》大善寺で死んだ稚子(八王子市大横町大善寺)46頁
・46頁下段4行め「安土」の「土」の上の横棒がかすれており、私の見た本では手書きで補ってあります。
<小宮地区>
《5》代官渕(八王子市中野町)75頁9行め~76頁7行め
・76頁上段4~6行め「‥‥、嫡子雲十郎が未だ幼年で/大和田刑場で死罪が旋行せられし折、皆知り/合ものにて施行出来兼ね逃がしたが、/‥‥」5行め「旋行」は6行めの如く「施行」でしょう。
《16》石川七名字七氏子(八王子市石川町日向)89頁
・89頁下段2~3行め「 享保五年(一八〇五)台風で全部つぶ/れた由。」この「七名字七氏子」の神社についての説明は、原典(?)の『八王子周辺の民話』には存しません。西暦換算は誤り、享保五年(1720)が正しい。享和年間(1801~1804)は享和元年(1801)から享和四年(1804)まで、五年があったとすれば1805年なのですけれども。
<横山地区>
《3》さいかちの木(八王子市長房町)104頁7行め~105頁
・105頁上段4行め「天平年間」は「天正年間」。
 「大和田刑場跡」「首なし地蔵」「笛継観音」は独立した記事として取り上げる予定です。(以下続稿)