瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

清水成夫『八王子ふるさとのむかし話』(1)

 清水成夫の伝説蒐集に関しては、11月18日付「清水成夫 編『八王子周辺の民話』(3)」及び11月19日付「清水成夫 編『八王子周辺の民話』(4)」に、昭和43年(1968)8月刊『八王子周辺の民話』の橋本義夫「跋」にある、清水氏が「前々から長年蒐集につとめていた」また「この資料の数倍にわたるものがすでに集録されてある」との記述に注意して置いたのですが、清水氏はこれを10年程後に刊行しております。
・清水成夫『八王子ふるさとのむかし話(巻一)』昭和五二年四月一日発行・清水成夫・184頁・新書判並製本
・清水成夫『八王子ふるさとのむかし話(巻二)』昭和五五年七月発行・清水成夫・191頁・新書判並製本
 巻一は淡い緑色地のカバー、巻二は淡い黄色地のカバーが掛かっている。
 カバー表紙上部に墨書の枠(約7.5×約6.5cm)があって、右から 2.2cm 程のところに縦線を引いて仕切っている。その右の狭い枠に「八王子ふるさとの」と墨書、左の広い枠に大きく「むかし話/  (巻一)」とある。これは巻二にも使い回しているが「巻一」の「一」の下に横棒を足して「巻二」にしている。下部にゴシック体横組みで「清 水 成 夫 著」とほぼ同じ辺りにあるがこれは使い回しではない。
 カバー背表紙、細いゴシック体で上部に「八王子ふるさとのむかし話(巻一)」下部に「清 水 成 夫  編 著」とある。今、私の手許には巻二が2冊あるが少々異なる。仮に〔A〕〔B〕として置こう。〔A〕は巻一と全く同じ字体・字配りで(巻二)になっているだけが違う。〔B〕は丸ゴシック体で字間も詰めて「八王子ふるさとの民話 (巻二)」そして下部に「清 水 成 夫 編 著」とある。
 別に間違いがある訳でもなさそうで、何故2種類あるのかはよく分からない。
 カバー裏表紙、中央に牡丹の花らしきカットがあるのは私の見た3冊とも同じ。
 見返しは巻一は桃色の模造紙、巻二の〔A〕は淡い青緑色の模造紙、〔B〕は黄色の模造紙、但しカバーの裏に貼り付けられておらず、本体表紙の養子が濃い橙色の皮革風のエンボスであることが良く分かる。巻一と巻二〔A〕はカバーと見返し、そしてブックコートフィルムでほぼ完全に覆われているので見づらいが、巻一の本体表紙はクリーム色の厚紙、巻二〔A〕は橙色の目の粗い麻布風のエンボスである。本体背表紙には3冊ともカバー背表紙と同じ文字が入っているようだ。本体の表紙・背表紙は流石に確認出来ない。
 扉は3冊とも、上部にカバー表紙と同じ墨書の枠と標題があって、下に横組みで、巻一はやや縦長のワープロで打ち出したような明朝体で「清 水 成 夫 編著」とある。巻二は〔A〕〔B〕同版でゴシック体で「清 水 成 夫 著」とあるが、字体は〔A〕のカバー表紙に一致するようだ。してみるとカバー表紙と扉が一致する巻二〔A〕が早い(或いは当初の)刷で、〔B〕は増刷らしい。元より断定は出来ないが。実は、巻二の〔A〕〔B〕は、奥付の発行年月は一致していて書誌データを取る上では違いが表面化しないのだが、著者/発行者の清水氏の住所、そして印刷所が異なっているのである。――内容に変更がないのであれば、発行年月を改めなくても(本書を使用する上では)構わぬのかも知れぬが。
 それはともかく、1冊だけではなく、念のためもう1冊、利用資格のない他市の図書館から取り寄せて置いたことの効用(?)を改めて思うのである。巻一は1冊しか手許にないが、実は増刷されているかも知れない*1。しかしこちらは複数の館で借り出すのは困難で、今は出来るだけ細かくメモを取って、閲覧の機会にある程度のことが分かるようにして置くより仕様がない。
 次回は、巻一も含めた3冊の奥付を比較して見ることとしよう。(以下続稿)

*1:【12月2日追記】私の手許にある巻一には、カバー表紙に「52,11,25」の「受 付」印がある。