瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

『稲川淳二のすご~く恐い話』(1)

 私は体験談に余り興味がない。それなのに取り上げる理由は、場所や時代、それから登場人物に対する興味からである。
 稲川氏の話の場合、後で引用するが、どうも話を盛っているところが目に付いて、そのまま考証に使えない。しかも稲川氏は同じ話を繰り返し語っていて、当ブログで取り上げた「赤いはんてん」のように、少しずつ違っている。DVDや録音なども含めた全てを集めるのは、金が掛かって厄介だと云うより、ついでに色々と確かめたくなってどちらかと云うと否定的な評価をしているのに稲川淳二研究家みたいになりそうで、しかし今から長年のファンに追い付くことも出来ないだろうから、やってもやっても中途半端なまま、もやもやし続けることになってしまう訳で、それでこれまでは、必要に応じて極々一部分に触れるにとどめてきたのである。
 しかし、昨日も述べたように道了堂に絡んで来るので、その辺りの怪談集をここらで纏めて見て置こうと思ったのである。
・リイド文庫『稲川淳二のすご~く怖い話』(1)装幀・奥付
 リイド文庫のこのシリーズは、現在でも「新」や「真説」などと冠して1年1冊ペースで続刊されている。その最初の3冊を借りて見た。Variation を全て揃える訳に行かぬから、せめて尾鰭が付く前の、初期の形だけでも確認して置きたいのである。しかし借りるのに苦労したからいっそ中古品を買った方が良いかも知れない。送料の方が高くなりそうだが。――しかし買ってしまうと忽ちやる気が失せてしまうのである。
 それはともかく、以下、初期の3点を比較しつつメモして置こう。仮に①②③の番号を附して置く。標題は奥付に拠る。
①『稲川淳二すご~く恐い話』平成7年7月7日 1刷発行・平成7年8月5日 2刷発行・定価447円・191頁

②『稲川淳二すご~く恐い話 PARTⅡ』平成7年7月7日 1刷発行・定価447円・191頁③『稲川淳二すご~く恐い話 PARTⅢ』平成9年7月16日 1刷発行・定価457円・191頁 今、3冊並べているのでカバーから確認して置こう。 
 カバー背表紙、①と③は黒地で②は白地。最上部に円◯を上下に2つずつ合計4つ並べた上に筆記体の「L」をデザインしたロゴの下にゴシック体横並びで「ETシリーズ」とあるのは共通。
 ①は左上と右下の●は紺色で周りを白く縁取る。右上と左下は○白丸で黒い正方形■の上に重ねてあり上下左右は■から僅かにはみ出して細い線で輪郭を描いている。■の周囲は白く縁取り。筆記体「L」は黄色でやや立体感のある黒い縁取り。シリーズ名は白抜き。
 ②は①の黒及び紺だったところが青になっている他は白。シリーズ名は黒。
 ③はロゴ全体を白い□の中に収めている。左上と右下の●は紫色、右上と左下は○白丸で黒い正方形■の上に重ねてあり上下左右は■から僅かにはみ出して細い線で輪郭を描いている。シリーズ名は白抜きで①②は「E」が少しカバー表紙にはみ出していたのを収めている。
 その下に明朝体太字の割書「思わずゾ~ッとする/ 実体験恐怖話  」があって①は黄色、②は赤、③は明るい青。
 中央に標題、カバー表紙と同じ楷書体斜体で大きく「恐 い 話」、その上に「すご~く」と小さく横並びで、右肩上がりの「恐」に合わせて斜めに入っている。但し「~」はカバー表紙と違って二瘤の波線である。
 ①は白く縁取った赤字で、中央を白く輪郭を暈かした縦長の紡錘形にしている。
 ②はごく淡く赤い紡錘形の上に黒字、その下に紺色で大きく「Ⅱ」の中央に赤で「PART」と横並びで重ねる(ここは斜体ではない)。
 ③は明るい青の紡錘形の上に白抜き、その下に黄色で「Ⅲ」に赤の「PART」を重ねるのは②に同じ。
 下部、1字分空けて明朝体で著者名。①③は白抜き、②は黒。
 最下部、分類票に隠れているがゴシック体横並びで「リイド文庫」と①③は白抜き、②は黒で入っているらしい。
 なお、本体表紙と背表紙は、①③は明るい青地に白抜き、②は白地に明るい青でカバーのデザインを再現しているようだが、背表紙最下部の「リイド文庫」の下には①②は「460」③は「☆」がある。
 カバー裏表紙は白地で左上にバーコード2つ、右上にISBNコード等、中央やや下にゴシック体縦組みの紹介文がある。
 ①バーコード「9784845811793/1910176004605」右上「ISBN4-8458-1179-0/C0716 P460E」ここまでOCR-B、2つめのバーコードの右、下寄りにゴシック体で「リイド社/定価460円(本体447円)」。
 ②バーコード「9784845811809/1910176004605」右上「ISBN4-8458-1180-4/C0716 P460E」ここまでOCR-B、2つめのバーコードの右、下寄りにゴシック体で①より若干太く大きく「リイド社/定価460円(本体447円)」。
 ③バーコード「9784845815715/1920176004574」右上「ISBN4-8458-1571-0/C0716 ¥457E/定価480円[本体457円]」3行めは2つめのバーコードの右上、本体価格は囲う。
 紹介文の字体は①が横幅があって細く、②③は縦長でやや太い。なお、本体裏表紙は紹介文のみ、明るい青で入っている。 ①の紹介文は以下の通り。

 玄関の外から「助けて/…」という声が聞こえて/くる。開けようとすると/「開けちゃいけない」と/という声が心の中に響い/てくる……「風の音が誘/う声」。
 友達がサムライに襲わ/れる「釣人を襲う鎧武者」/など、稲川淳二のホラー/ワールド !!


 ②の紹介文は以下の通り。

 ……海で行方不明にな/った友人の死体を確認し/に地元の警察に。ところ/が不思議なことに、その/死体には3メートル近い/シートが被せてあるんで/す。死体の足元に何かが/うずくまってるみたいな/んです……最新の稲川淳/二の〝恐い話〟PART/Ⅱ !!


 ③の紹介文は以下の通り。

 ……私、毎年、夏にな/ると恐い話の独演会ツア/ーをやってるんです。昨/年、ある所でのことなん/ですけど、会場に来てい/たオバちゃんが私の左の/方を見ながら、ガタガタ/と震えてるんですよね。
 そのうち、オバちゃん/が「ああ、いやだ」って/叫んだんです……最新の/〝恐い話〟PARTⅢ !!


 カバー表紙折返しは白地で、下部に細いゴシック体横組みで「cover photo――おびつ亘弘/design――星野真也」とあるのは共通。上部に楷書体太字縦組みでさらに紹介文、
 ①には、

 霊感が強く、日本全国で数々のおそろしい/出来事二遭遇している稲川淳二が語る恐い話/は、思わずゾ~ッとしてしまう。
 恐い話をつめ込んだ稲川ホラーワールドは、/ひとりで眠れなくなる―――

とあって「~」は左側に二瘤ある波線。②には、

 また眠れない夜が続く………本当に起きた/数々のおそろしい出来事を、稲川淳二がアナ/タに、そっと語りかける。
 世にも不思議な最新稲川ホラーワールド/PARTⅡ―――

とあり、③には、

 実際に起きた恐い出来事……恐怖の語り手/稲川淳二が、ひとりでは眠れない夜をアナタ/にそっとプレゼント。
 最新の恐い話がいっぱいの不思議な稲川ホ/ラーワールドPARTⅢ―――

とある。
 カバー裏表紙折返しも白地で下部に、横組み丸ゴシック体の奥付がある。①と②の異同は標題の「恐い話」の下に②は「PARTⅡ」と追加していることで、後は住所と電話番号が一回り大きく見えるくらいである。最下部には明朝体で2行断り書き。③はこれが「PARTⅢ」になり、その下に発行日の1行が挿入されていることである(本体の奥付には発行日が表示されていない)。
 なお、このカバー裏表紙折返しの奥付と向かい合う形で本体のゴシック体横組みの奥付がある。①と②の異同は、住所と電話番号が大きくなっていること、①は「印刷所 凸版印刷株式会社」のみだったのが②はもう1行「印刷所 安藤製本株式会社」がある。尤も、私の見た①は2刷なので、2刷の発行日の1行増えた分の調整であって、①1刷は同日発行の②1刷と同じだったかも知れない。③は②とほぼ同じ配置で、異同は「Ⅱ」が「Ⅲ」になり、発行日の1行がなくなっていること、活字が若干細くなっていることくらいである。
 本体、1頁(頁付なし)は稲川氏の写真。若い。裏は白紙。3頁(頁付なし)扉は黒字で、①は上から何か水気の物が白く尾を引いたように抜いて楷書体太字の縦組み斜体の標題「稲川淳二 」その左やや下に「 すご~く」この2行の下に大きく「恐い話」。この白く抜いているところは、以下各話の題にも使われている。②は単なる黒字ではなく少し靄の掛かったような黒地の中央、縦に木目のある板塔婆風に、標題と少し空けて下部に「PARTⅡ」。③は人魂風に白く抜いて標題は②にほぼ同じで「Ⅲ」になっている。4頁(頁付なし)は「もくじ」で2段組。本文は5~191頁、①191頁の左下隅にゴシック体で小さく「この本に掲載された写真は本文と/直接関係はありません。〈編集部〉」とある。②はこれが下詰めでやや大きく、1行になり、③も1行だが太字になって最後は半角の普通の括弧を使用している。
 この話の内容に即した建物などの写真を掲載した頁があるのは続刊された「新」や「真説」でも変わりない。下に細いゴシック体横組みの、内容に即した1行の効果的なキャプションが添えられている*1。出来れば写真とキャプションも拾って置きたかったのだがその余裕がない。(以下続稿)

*1:投稿当初、ここに「なお①には頁付がないが、②③は写真の頁にも頁付がある。」との一文を添えていたが、①には頁付がある。そうすると①②③ともに頁付があったのを見誤ったのかも知れないし、①とカバーが黒地である辺りが似ている③と見間違えたのかも知れない。しかし②③はもう手許にないので俄に確認のしようがない。よって削除して註記することにした。