細かいところを見て行くと際限がなくなる上に、私はそもそも稲川淳二のことをそんなに知らぬので、このまま続けても勘違いをしては後でそのことに気付いて訂正また訂正と云うことになりそうだ。そんな訳で、この辺りで本題である稲川氏が取り上げて有名になった話や場所についての検討に移りたいのだが、その前に若干気になった点をメモして置くこととしたい。
「出典・初出一覧」に見える「ユニJオフィース」は、12月25日付(5)に見たように、稲川氏の個人事務所である。しかし、設立時期やら従業員が何人いるのかなど、具体的な情報はネットには上がっていないようだ*1。それよりも「ユニJオフィース」で検索すると、ハッシュタグ「#稲川淳二盗作問題」関連の Tweet が少なからずヒットしたのだった。これも、稲川氏の怪談に余り興味のない私は、知っているような、知らないようなことなのだが、これは2018年6月から11月までの、極限られた時期に Tweet されていて、ラジオ関西の番組「怪談ラヂオ~怖い水曜日」パーソナリティー木原浩勝(1960.5.31生)が2018年5月30日放送分の最後に、2002年5月28日に中山市朗(1959.4.1生*2)と木原氏、すなわち『新耳袋』の著者が稲川氏の事務所と交わした合意書の複写を同封した、当時出版社の社員だったと云う人からの封書を、以前から木原氏と稲川氏の間に何があったのか気になっていたらしい佐々木孝昌ディレクターから示され、これは電波では語れないとて翌日から、有料配信の「別冊・怪談ラヂオ」でほぼ毎週、20回ほど取り上げていたのである*3。私は『新耳袋』の読者でもないので、有料配信を聞こうとまでは思わないし、現在はもう視聴出来なくなっているらしい。但しこの「別冊・怪談ラヂオ」の内容は、ミドルエッジ編集部「ミドルエッジ」2018年11月6日 更新「稲川淳二の怪談盗作問題は平成のうちに解決するのだろうか。」に転載されているサマリー等により、ある程度察することが出来る。
さらに参考までに、テレビ番組専用のイラストレーター森本レオリオのブログ「似顔絵プロ(テレビ番組のイラストレーター)」の2020-03-21「稲川淳二と木原浩勝 [稲川淳二盗作問題]」を挙げて置こう。森本氏によると木原氏の記憶違いも少なくないようだ。確かに16年間沈黙していたのを思い出しながら喋ったとしたら、思い込みが強くなったり、逆に記憶から消えてしまったところなども出て来るのだろう。それは仕方がない。
中山市朗の方は、森本氏が触れているように、2002年8月18日放送のABCラジオ「誠のサイキック青年団」にゲスト出演して語っている(ようだ)。聞こうと思ったのだがその余裕がなかった。なお、2002年8月4日放送でも怪談パクリ疑惑を取り上げていたようだ(がやはり聞いていないので、中山氏が出演していたのか、分からない。時期的に稲川氏の問題を取り上げていてもおかしくないが)。
「中山市朗ブログ」には、北野誠(1959.1.25生)が「誠のサイキック青年団」での不適切発言が問題になり番組終了、無期限謹慎となった頃に2009年04月15日「マスコミについて」を書いていて、ゲストとして出演した「誠のサイキック青年団」に招ばれなくなった理由や、北野氏処分の不可解さを述べてから「私も、マスコミによってえらい悔しい思いをしたことがあ」るとして稲川氏との一件を回想するのである。要するに「怪談ラヂオ~怖い水曜日」に複写が送り付けられ木原氏の感情を昂ぶらせた例の合意書で決着するはずが、稲川氏側がその条件を履行せず、剰えワイドショーで中山氏側を悪者に仕立てるかのような、一方的な取り上げ方をされたと云うのである。上記「ミドルエッジ」の記事は2002年8月26日放送のテレビ朝日「ワイドスクランブル」を挙げているけれども、司会者が稲川氏を擁護するコメントを述べたのは、2ch(5ch)のスレッド「中山市郎VS稲川淳二スレ PART1」に拠ると2002年8月29日放送のフジテレビ「情報プレゼンター とくダネ!」である。
私は『新耳袋』は、映像化されたものを見て笑っていたくらいで、書籍の方は何度か借りて、ちょいちょい拾い読みはしているのだが、どうも私は怪異よりも背景に興味があるので、どうしても背景がボカされた実話怪談と云うものに興味が持てない。時代や場所がある程度明らかになっているとそこから突っ込めるから俄然やる気(?)が湧くのだけれども。
しかしこうなって来ると、稲川氏の怪談のうち幾つかは『新耳袋』により原型に近いものが載っていることになる。扶桑社版『新耳袋』を確認する必要があろうか。(以下続稿)
*1:まぁ、稲川氏の個人事務所なのだから、前回述べたように、稲川氏の公式サイトが充実しておればそれで十分なのだけれども。
*2:「中山市朗ブログ」2019年04月04日「中山市朗生誕日! か、か、還暦!?」に「いろいろ事情がありまして、本当の生誕日4月1日を、‥‥、戸籍上の生誕日である3日を、‥‥」とある。
*3:後述、森本氏のブログに拠ると本放送でもしばしば取り上げていたらしい。しかし私はそれ以外の話題を聞きたいと思っていないので、そちらの確認はしていない。