瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

祖母の蔵書(120)與謝野晶子

・『與謝野晶子集』大正四年三月十三日印刷・大正四年三月十七日發行・大正十年八月三十日廿版・定價金壹圓貳拾錢・新潮社・302頁・文庫判
 上製本だったらしいが背表紙しか残っていない。「日本の古書店」には同じ20版の「函付」が1900円で出ている。
 函はもちろん、表紙・裏表紙は失われ、残存する最初の頁と最後の頁に青鉛筆で滅茶苦茶に線を引いてある。どうも子供が破壊し、悪戯書きをしてしまったらしい。伯母の訳書や蔵書が纏めてあった、客間のクローゼット右側4段めにあったところからすると、伯母の悪戯だったのだろうか。302頁左下に鉛筆でごく薄く、行書体で丁寧に「婦美江」と認めてある。祖母の蔵書だった訳だが、祖母の生れた年に初版、そして廿版は祖母がまだ小学校に上がる前である。――しかし、女学生だった頃には愛読書にしていたらしく見える。
・『與謝野晶子全集』第一卷 昭和八年九月 八 日印刷・昭和八年九月十二日發行・豫約定價金貳圓・改造社・480頁・四六判上製本函入
 扉に白文方印(朱)で「橘/臧書」とあるから、古本屋で購入したか譲られたものだったらしい。他の巻は見当らない。内容だが1頁(頁付なし)に「第一卷歌集目次」とあるように歌集を纏めてある。
・『新新譯源氏物語』第一巻 昭和十三年十月 十 七 日 印 刷・昭和十三年十月二十一日 發 行・定 價 金貳圓貳拾錢・金尾文淵堂・519頁・四六判上製本
 函等はなく本体のみ。これも第一巻しかない。
河出文庫1『みだれ髪』昭和三十一年二月十日   九版発行・定價 四 拾 圓・河出書房・104頁
 カバー表紙の最下部左詰めに明朝体横組みで小さく「河出文庫特装版」とある。並製本にカバーが掛かっているだけであるが、当時としてはカバーを掛けることが「特装版」だったのである。さらにセロファンのカバーが掛かるがこのセロファンは背表紙部分が欠失している。カバー表紙折返しの右下「カバーのカットは各/れも初版本の表紙お/よび挿絵の複製です」とあるようにカバー表紙に『みだれ髪』初版の表紙のカット、カバー裏表紙右側に目隠しをしたキューピッドのカットが桃色で刷られている。
 以上3冊は寝間の本棚にあった。次の本は仏間の硝子棚にあった。
・ポケット版・日本の詩人4『与謝野晶子歌集』昭和43年1月10日初版印刷・昭和43年1月10日初版発行・定価260円・河出書房。227頁・小B6判並製本

 
 以下、娘や嫁、夫の前妻の後夫が書いた本を纏めて置く。
・森藤子『みだれ髪』初 版 発 行 昭和四十二年九月十四日・第五版発行 昭和四十三年十一月十日・三八〇円・ルック社・254頁・B6判上製本

 祖母の蔵書はこれら書影と異なり、カバーや帯がなく茶色の角背の表紙にビニルカバーが掛かっているだけのものである。その角背の背表紙にのみ、黒の明朝体の標題と著者名の間に銀のゴシック体の割書で「母・与謝野晶子の/全生涯を追想して」との副題がある。背表紙には他に最下部に金のゴシック体でごく小さく「ルック社」と横組み。これは客間のクローゼット右側3段めにあった。
・与謝野道子『どっきり花嫁の記』昭和四十二年三月十五日 発行・定価 三四〇円・主婦の友社・252頁・B6判並製本 これもカバー表紙にのみ「―はは与謝野晶子―」の副題がある。これは寝間の本棚にあった。
・正富汪洋『晶子の恋と詩』昭和四十二年十月十日発行・定価 三九〇円・山王書房218頁・B6判上製本※ 帯あり、書影に同じ
 正富汪洋(1881.2.20~1967.8.14)は晶子に奪われる恰好で與謝野鐵幹(1873.2.26~1935.3.26)と離婚した林滝野(1878~1966.4.3)*1と結婚した人物。これも客間のクローゼット右側3段めにあった。

*1:8月1日追記Wikipedia「林滝野」項は「没年月日不明」としているが、本書215~218頁、安部宙之介「後記」に明記されているので加筆して置いた。