瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Henry Schliemann “La Chine et le Japon au temps présent”(07)

 3月29日付(01)に「邦訳は、2種類ある」と書いた。そのもう1種類の方を、ここで確認して置こう。
 「異国叢書」というシリーズがある。昭和2年(1927)から6年(1931)にかけて全13巻が刊行され、昭和41年(1966)に雄松堂出版から復刻、今でも雄松堂書店のオンデマンド版で入手可能。その後、「新異国叢書」として昭和43年(1968)から44年にかけて(第I輯)全15巻、昭和57年(1982)から60年(1985)にかけて第II輯全10巻、平成14年(2002)から16年にかけて第III輯全10巻の全35巻が刊行されている。別に「新異国叢書」の総索引も刊行されている。

新異国叢書 総索引

新異国叢書 総索引

 さて、「新異国叢書」の第II輯は「6」から刊行が始まっている。
 見返しは波が白く砕ける岩礁が見え隠れする海岸の写真で、ついで簡略な扉があり左上に「新異国叢書/第II輯 6」とある。これをめくると口絵として見開きに収録される2作品の「原著の扉」のモノクロ写真がある。それから改めて手書きの双郭に囲われた扉があり、中央に大きく「シュリーマン 日本中国旅行記パンペリー 日本踏査紀行」、その右に「藤川 徹・伊藤尚武 訳」左下に「雄松堂書店」とある。2つの作品が抱き合せたもので、前者が藤川徹訳、後者は伊藤尚武訳である。次にカラー口絵1葉、共通の前付(凡例・目次)6頁があり、中扉「シュリーマン日本中国旅行記  藤川 徹 訳」モノクロの口絵が4頁分あり、「昭和五十七年十一月」付の藤川徹「訳者のことば」2頁、ついで本文(1〜132頁)と藤川徹「解説」(133〜145頁)索引(9頁)がある。ついでに「パンペリー日本踏査紀行」も述べて置こう。中扉「パンペリー日本踏査紀行   伊藤尚武 訳」モノクロの口絵が4頁分あり、「昭和五十七年十一月」付の藤川徹「訳者のことば」4頁、ついで本文(1〜174頁)と藤川徹「解説」(175〜181頁)索引(13頁)がある。索引はそれぞれ「人名索引」と「件名索引」から成っている。
 背表紙では叢書名は下部にあり、収録作品名がメインの位置に銀文字で入っている。すなわち2行で「シュリーマン日本中国旅行記パンペリー日本踏査紀行」とある。
 函は、書影に挙げた『新異国叢書総索引』の函とは色違いで、全体は淡い小豆色で、上部に「新異国叢書/第II輯 6」と横書き2行、その右を縦線で区切り、右に「藤川 徹・伊藤尚武 訳/シュリーマン日本中国旅行記/パンペリー日本踏査紀行」とある。中央のフリーハンドで書かれた円の中に、正円の窓があってそこに絵が嵌め込まれているのは『新異国叢書総索引』と同じだが、3艘の蒸気フリゲートが岸近くで白波に翻弄されるような情景が描かれている。近景は海に迫る低山で、遠景は雪を頂く丸みを帯びた山並みである。天・背・地は濃い小豆色で、背に白抜きで上部から「シュリーマン日本中国旅行記/パンペリー日本踏査紀行」「〈藤川 徹/伊藤尚武〉 訳」「新異国叢書/第II輯 6」そして最下部に横書きで「雄松堂」とある。裏は表と同じ淡い小豆色で、中央部に2つの円、左の円には経緯度線が入り、濃い小豆色に塗り潰された右の円に筆記体の「y」が白抜きで入る。右下に「新異国叢書/第II輯 全10巻」この右に縦線がある。これは「新異国叢書第II輯」の函に共通する装幀である。(以下続稿)