瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

岩本由輝『もう一つの遠野物語』(1)

 初版と追補版がある。版元のHPを見るに、「定価: 本体2200円+税/2010年9月刊/ISBN978-4-88708-130-7/四六判 275頁//在庫あり 10月1日復刊!」とあって、追補版は昨年10月1日に復刊されている。ところがAmazonの詳細ページにも書影がない。
 この昨年の復刊は見ていないが、初版と追補版は見ている。まず、昭和58年に初版、岩本由輝『もう一つの遠野物語(刀水歴史全書15)』(1983年5月20日発行・定価1800円・刀水書房・261頁)が刊行された。その後、平成6年に追補版、岩本由輝『もう一つの遠野物語 〔追補版〕(刀水歴史全書15)』(1983年5月20日初版・1994年2月21日追補版発行・刀水書房・275頁)が刊行された。頁数が違うし、カバーも違う。追補版のカバーは2種見ている。さらに平成22年(2010)10月1日の復刊には、定価が2200円になっているカバーが附されているはずである。これは見る機会があれば補うことにして、差し当たり私の見ているカバー3種と、初版と追補版の異同について、確認しておきたい。
 表紙は一見あまり違いはない。共通する点を挙げると、まず右上に横書きで「刀水歴史全書15」と、横長の短冊状に小豆色に塗り潰した中に白抜きゴシック体で入っていること、それから左下に小豆色で「山神」と刻んだ自然石の石碑が3つ映った写真を版画風にした図が入る。右下に横書き明朝体で「刀水書房」とある。この文字の色が、実は同じではない。初版ではヤケているが紺色である。追補版の古いカバー(以下「追補版1」とする)では濃緑色に見える。追補版の新しいカバー(以下「追補版2」とする)では黒である。これは上部に横書き明朝体で入っている標題の文字とその下の著者名も同じである。
 カバーの地色は初版はクリーム色、追補版1は少し黄みがかった白、追補版2は白である。
 初版と追補版では表紙の「もう一つの遠野物語」という標題も、1.1×8.6cmだったのが1.3×9.2cmと若干大きく変更されている。著者名の大きさは同じだが、追補版では標題の左下に「〔追補版〕」の小豆色の文字を割り込ませたためか、初版に比べ若干下に移動している。
 背表紙は上部に横書きゴシック体で小さく「刀水歴史全書/15」とある。初版は淡い茶色、追補版1は標題の文字と同じ色(数字は淡い濃緑色)、追補版2は小豆色である。その下に標題と著者名があり、これは3種とも同じに見える。 文字の色は追補版では表紙の標題の文字色と同じだが、初版では濃緑色に見える。なお、追補版では標題と著者名の間に「〔追補版〕」と、追補版1では淡い濃緑色、追補版2では小豆色で入っている。従って初版に比して著者名の位置が低い。最下部、それぞれ背表紙の標題と同じ色の横書き明朝体で「刀水書房」とある。追補版ではその上に「水刀」と白文印があるが(分類票の下のため色は特定できず)、初版にはこの印はない。
 背表紙、いずれも横書きで文字が入る。初版は左下に紺色で「定価1800円 1339-201644-5381」とあるのみ。
 追補版1では紺色で、右上に「ISBN4−88708−130−8 C1339 P2200E」左下に「定価2200円(本体2136円)」とある。上半分に淡い小豆色で「第一部 遠野と民話―目前の出来事/第二部 もう一つの遠野物語/  一、『遠野物語』をめぐる若干の問題/    (3)感じたる―柳田の遠野物語/  二、聞きたるまま―水野葉舟の「遠野物語」/  三、小説「北国の人」の存在―「遠野物語」の初発/  四、胸に浮かびしまま―佐々木喜善の「遠野物語」/  五、柳田における「事実の意味」/第三部 遠野物語の舞台裏/第四部 遠野物語と柳田学」と目次が示されている。
 追補版2では、左上にバーコードが2つ縦に並び、その下に「ISBN4−88708−130−8/C1339 P2136E/定価 本体2136円+税」とある。
 折返しは追補版には何も印刷されていない。初版の表紙折返しには「'83.5月 刀水歴史全書―歴史・民族・文明」として、①〜⑦の7種が1行の説明文を添えて紹介されている。