瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

塩嘗地蔵(024)

 神谷道倫『深く歩く 鎌倉史跡散策 上』(平成十八年七月二十七日第一刷発行・平成十九年七月三十一日第二刷発行・定価1429円・かまくら春秋社・269頁)四六判、縦書き。
 貼り付けたAmazonの書影は増補版のもの。ただ、初版のカバー表紙も「増補版」という文字がないだけで、同一である。

深く歩く鎌倉史跡散策〈上〉

深く歩く鎌倉史跡散策〈上〉

 カラーなのは表紙だけで、「深く歩く」を冠しているように、『吾妻鏡』などの史書、『平家物語』などの軍記、江戸時代の地誌なども引用し、しかも実際に歩いての石碑や標柱なども細かく挙げており、本文も2段組、1頁22行、1行24字でぎっしり組まれている。まだ『下』は未見、増補版も未見なので全体的なことはそれらを見る機会があればその後に果たしたい。
 『上』『下』それぞれ11コース、合計22コースが紹介されているが、光触寺は『上』195〜215頁「九 光触寺・朝比奈切通し・鼻欠地蔵コース」に見えている。この章はさらに「1 明王院など/2 光触寺・十二所神社/3 太刀洗水など/4 朝比奈切通しなど/5 上総介塔・鼻欠地蔵など」の節に分かれている。200頁〜203頁上段18行め「2」のうち202頁上段20行めまでが光触寺である。頬焼阿弥陀の縁起をメインに紹介しており、塩嘗地蔵の記述は201頁下段21行めから202頁上段14行めまで。但し202頁上段1〜13行めまでの上15字分は「塩売り商人が塩を供えた塩嘗地蔵」の写真である。この節には他に写真はない。以下に本文を引用する。

 本堂の前の小さな地蔵堂には塩嘗地蔵*1と呼ばれる石/の地蔵坐像が安置されている。もとは金沢街道の傍ら【201頁】/にあり、六浦(横浜/市金沢区)の塩売り/の商人が、鎌倉に商/いに行く時に朝のう/ちにここを通り、こ/の地蔵に初穂として/ひとつまみの塩を供/えて行くのが習いで/あった。帰りに塩は/なくなっているので、/この地蔵が塩を嘗め/てしまうのだろうと/いわれて、このよう/に名づけられたという伝説を持っている。……

*1:ルビ「しおなめじぞう」。