瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

美内すずえ『ガラスの仮面』(09)

 9月12日付(07)に「文庫版で指摘した点について、単行本の頁を示してみたい」と言いながら別の話にかまけてしまったのを、元に戻したい。
 まず単行本第1巻に当たる部分だが、8月27日付(02)に指摘した文庫版第1巻「161頁の1コマめ」のところ、単行本も同じ頁で同じ内容である。58〜61頁も同じだが、文庫版「189頁」は単行本第2巻9頁で、同じ台詞である。
 それからやはり9月12日付(07)に

 8月27日付(2)に、「台詞・心内語(吹き出し)で原本では活字(明朝体・丸ゴシック体)で区別」と文庫版での処理について述べたが、単行本では心内語は丸ゴシック体ではなく普通のゴシック体である。……

と述べたのだが、初めの方の何巻かを読んでみるに、どうもこの辺りの処置はまちまちのようだ。ここは持っている人で暇な人にお願いするしかない。いや、そんなことする必要はどこにもないのだが。
 第1巻の異同は36頁6コマめについて、9月12日付(07)に触れたが、今回単行本の方を通読してみて、さらにいくつかの疑問点に気が付いた。しょーもない指摘だが、一応示して置く。
・63頁3コマめ、1年B組担任の男性教師の台詞に「ビビはしい娘だからな」とある。文庫版では「ビビはしい娘だからな」と訂正されている。
・102頁、劇団オンディーヌの研究生募集の広告を見て渋谷に向かうマヤの経路が、おかしい。4コマめ「東京〜!/東京〜!」と構内放送がかかっていて東京駅に着いたことが分かる。東京が終点だとすれば東海道本線(か横須賀線)だろう。そして5コマめ、山手線に乗って6コマめ「渋谷」に到着しているが、中華街から渋谷に向かうのであれば、国鉄(当時)根岸線石川町駅から横浜駅東海道本線に乗り換えて東京、ではなく、桜木町駅東急東横線に乗り換えるのが普通だろう。石川町から2駅、ほぼ地元と言っていい桜木町で乗り換えて、そのまま乗って行けば終点が渋谷である*1。運賃も国鉄に比してかなり安かった。尤も、そういう経路にも気付かないくらい猛進して行くマヤの性格をよく表している、とも言えそうだ。102頁2コマめでインプットされた「東京都渋谷区」へ、とにかく「東京」に行って、それから「渋谷」という、単純さというか、純粋さ、と見るべきか。しかし、103頁3コマめの「横浜からここまでずいぶん電車賃やバス賃かかっちゃったな/帰りの電車賃使ったらもう今月のおこづかいパアだわ」というマヤの台詞を読むと、考えろよ、と突っ込みたくなってしまうのである。
・154頁「横浜」適当過ぎる。
・156頁3コマめ、マヤの母の台詞に「始るってのに」とあるが、文庫版では「始るってのに」と直されている。送り仮名はそもそも活用語尾だけ送れば良かったのだから「始る」も間違いではない。年輩の編集者だったのだろうか。
・166頁5コマめ、月影先生の台詞「ちょっとした動作ももおろそかにしてはなりません」衍字、文庫版では「」に訂正。
・183頁4コマめの月影先生の台詞「かぞえきれぬほどの仮面を役者はかぶらねばならいのです!」、文庫版では「……ならいのです!」と訂正。

*1:国鉄なら石川町からそのまま京浜東北線に入って1本で東京まで行けるのだが。