2011年11月12日付(1)・2011年11月13日付(2)・2011年11月14日付(3)に続けて書き殴った駄文(2011年11月14日)。当時は恥じらいがあったが今になって上げても良いか、という気分になった。妄言多謝。
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増補新版で増補された「解説⑤」を執筆したのは石川氏らしいが、まず「事件数と死者数の低減化」が指摘されている。もうあちこちで指摘されていることと思うが、重要犯罪の件数が多かったのは昭和30年代で、近年は特に減少傾向にある。ところが、「解説⑤」でも、数は減っているが「一件あたりの被害者数が多い」と言う。しかし、一家皆殺しなどは昔の方が多かったのではないか。そういうと「無差別殺傷事件の多発」だ、と反論されそうだが。
しかし、私が特に違和感を覚えるのは「あとがき」が平成11年(1999)の初版から平成23年(2011)の増補新版までそのままになっていることである。2頁分の「あとがき」の2頁めの一節を引用してみよう。
……。世紀末の昨今、抑圧、停滞、閉塞などの暗い言葉とともに、犯罪はますます多発し、凶悪化している。とくに、幼児、女性、老人などを狙った犯罪が目立つ。こんな倫理喪失、弱肉強食の世界を浄化し、人間の愛と尊厳を取り戻すにはどうすればいいのか? ……
どうも福田氏は、「人間の愛と尊厳」が尊重された時代が実現していたのに、それが失われつつある、と思っているようである。そうでないと「取り戻す」という表現にはならない。しかし、いつそんな時代があったと言うのか。
事件の記録を読めば、昔の事件だって凶悪だと思う。しかし普通の人はわざわざ好んで事件の記録など読まないから、最近の事件のニュースをセンセーショナルに報道するのを見て、最近の事件が凶悪なのだと思う。
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こんなことを書くと、セクハラとかパワハラとか、今でこそ問題になっているが昔はそう問題でもなかったのだから、今の基準(倫理)を昔に当てはめるのは間違いだと言う人も出て来るかも知れない。が、それなら、違う基準から弾き出された数値を安易に比較して増えたとか減ったとか、良くなったとか悪くなったとか言わないことだろう。もちろん、セクハラやパワハラが出て来るから落語や古典文学を読むのを止めようなんてことも、思わない。いや、広く古典文学を読んでこれを現代の風潮と比較すれば、過去の不都合な事実の忘却に基づく尚古思想は、持ちようがないと思うのだが。