瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

中島敦の文庫本(08)

旺文社文庫(1)
『李陵・弟子・山月記 他二編
(昭和42年1月10日初版発行・昭和44年5月10日重版発行・130円・200頁)
 書名は奥付と背表紙による。表紙と扉には横組みで2行に「李陵・弟子・山月記(他)名人伝狐憑*1」とある。表紙は淡い緑地に、ヒエログリフをあしらった緑の飾り枠があり、その中の上部にゴシック体で「旺文社文庫」その下に明朝体で標題、その下に「中島敦 著」とある。下部はバーコードが貼付されていて見えない。裏表紙には緑の飾り枠があるがこちらは土星やら♪やら現代(?)風である。中央に古代ギリシア風の男神と女神が「Obunsha/Library」の銘板を2人で捧げ持つマークがある。
 背表紙は標題の下、中央部に「中島 敦著」、下部に「旺文社A41」とある。
 本書はその後、旺文社文庫をもとにした上製本(17.0×11.7cm)「愛と青春の名作集《全30巻》」に収録されている。
『李陵・山月記(愛と青春の名作集)(1997年4月10日初版発行・定価930円・旺文社・229頁)
 全30巻同時刊行らしい。何冊か見たが同じ装幀である。
 背表紙は上部に「李陵・山月記」、下部に「中  島  敦」と昭和52年(1977)制定の、旺文社のシンボルマークがある。
 参考までにAmazon詳細ページに書影のある『坊っちゃん』を示して置く。カバーはない。

坊っちゃん (愛と青春の名作集)

坊っちゃん (愛と青春の名作集)

 表紙には標題とシリーズ名と作者名がある。裏表紙は上部左寄りを白く抜いてバーコード2つとISBNコードと定価が入る。
 収録作品は同じ。本文は基本的に組み直されている。以下、比較しつつ記述してみよう。
 以下、前者を文庫版、後者を上製本とする。
 文庫版の扉(1頁、頁付なし)は上部に表紙と同じ文字が入り、下部に「旺文社」とある。
 上製本の扉(1頁、頁付なし)は表紙と同じ唐草風模様の灰色でルーズな枠を作り、その中に横組みで上部に小さくシリーズ名、次に標題、その下にやや小さく「弟子、名人伝狐憑」その下に作者名が、教科書体で入る。その下、唐草(風)に止まる鶺鴒が1羽、下に版元名が明朝体の太字で入る。
 文庫版3頁「目次」、最後の行に「挿絵 山崎百々雄*2」とある。4頁(頁付なし)には編集方針が示されている。

原文は新かなづかいに改めたほか、原文の表現をそこな/わない範囲で現代表記法にもとづいて漢字を削減した。/また、難解な語句や事項には、小活字で傍注を加えた。/(編 集 部)


 上製本の「目次」(3頁、頁付なし)、最後に「挿絵 カワセミ企画/表紙デザイン 滝村訓子」とある。作品名のうち「りりよう」と「こひよう」にルビがあるのは同じ。その裏の編集方針は同文。
 文庫版・上製本とも5頁(頁付なし)が「李陵*3」の中扉、中扉裏(6頁、頁付なし)は「前漢の辺塞地方」の地図(文庫版10.5×7.9cm、上製本11.5×8.7cm)で全く同じもの。「弟子」の中扉裏にも「春秋戦国要図」がある(文庫版10.5×7.9cm、上製本12.6×8.7cm)が、他の3作品の中扉裏は白紙である。7頁から本文。文庫版は1頁18行、1行44字。上製本は1頁16行、1行38字。
 目次にもある通り、挿絵がある。以下、収録作品と挿絵の位置を示す。
 「李陵」文庫版5〜61頁(挿絵13・51頁)上製本5〜77頁(挿絵15・63頁)
 「弟子」文庫版63〜108頁(挿絵75・107頁)上製本79〜138頁(挿絵93・135頁)
 「山月記」文庫版109〜121頁(挿絵115頁)上製本139〜155頁(挿絵145頁)
 「名人伝」文庫版123〜135頁(挿絵131頁)上製本157〜171頁(挿絵167頁)
 「狐憑*4」文庫版137〜145頁(挿絵なし)上製本173〜184頁(挿絵なし)
 挿絵は大体同じ場面を描いている。文庫版の墨画の挿絵は味わい深すぎてペン画に差し替えたものか。(以下続稿)

*1:ルビ「こひよう」。

*2:ルビ「ももお」。

*3:ルビ「りりょう」。

*4:扉にルビ「こひよう」。