瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

中島敦の文庫本(10)

 文庫判ということで済ませて、大きさを記述していなかった。
 角川文庫とランダムハウス講談社文庫が14.8×10.5cm、旺文社文庫新潮文庫が15.0×10.5cm。

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ランダムハウス講談社

中島敦『中国小説集』(2007年6月1日第1刷発行・定価900円・ランダムハウス講談社・316頁)
 現物にはどこにも文庫名が入っていないのだがAmazon詳細ページにあるように「ランダムハウス講談社文庫」で良いらしい。それからAmazon詳細ページでは出版社が「武田ランダムハウスジャパン」になっているが、これは平成22年(2010)4月1日に社名変更したためで、それまではランダムハウス講談社だった。平成15年(2003)5月27日設立。以上Wikipediaより。してみると、恐らくこのまま絶版になってしまいそうで*1、ここに取り上げても良いように思ったのである。
 カバー表紙折返し下部に横組みで「カバーイラスト 北見 隆/カバーデザイン 坂川事務所」とある。
 扉(1頁、頁付なし)には横組みで左上に書名と著者名、下部に版元名。
 中扉(3頁、頁付なし)には縦組みで書名のみ。中扉裏(4頁、頁付なし)の下部に1行で「カバーデザイン 坂川事務所/挿絵 北見隆」とある。しかし挿絵はないので、カバー装画のことらしい。
 「目次」(5頁、頁付なし)には8作品が並ぶのみ。扉と目次の裏は白紙。7頁から本文で、1頁14行、1行30字。上から11.5cm下から3.3cmのところに横線(長さ8.0cm)があり、その下が脚注になっている(1頁17行、1行6字)。
 7〜94頁「李陵」95〜110頁「山月記」111〜178頁「弟子」179〜230頁「悟浄出世」231〜263頁「悟浄歎異」265〜285頁「盈虚」287〜299頁「牛人」301〜316頁「名人伝」。解説等はない。次の頁は白紙で、その裏に「■ 本書は『中島敦全集』(筑摩書房刊)を底本とし、適宜ルビ/を付し、注釈を小社で加えました。」それからもう1項「差別的表現」についての断り書き(6行)がある。その次の頁も白紙で、裏が奥付。
 注釈は、辞書を引く手間が省けるという程度のものだが、その手間も惜しむ人もある訳だからこれはこれで良いと思う。ただ234頁「狐狸」ルビ「こり」に「*2 キツネとタヌキ」という注は、要るのかという気がするし、265頁、春秋時代の衛(国)の「太子」に「*3 皇子」という注があるのは間違いである。皇帝や天皇の子だから「皇子」なので、王の子は「王子」で、それ以下の公侯伯子男の子は区別せず『春秋』を見ても「公子」と呼んでいる。
 「太子」は君主の後嗣である。秋篠宮は「皇子」だが「太子」ではない。皇帝や天皇の太子が「皇太子」で、王の太子は「王太子」である。マスコミは北欧の王家の太子を「皇太子」と呼んでいるが、誤りである。この注釈は、二重に間違っている。

*1:2017年3月23日追記平成24年(2012)12月に倒産した。ここに「このまま絶版になってしまいそう」と書いたのは、社名変更に伴い、旧名時代の出版物はよほどのことがない限り再刊されなくなるだろう、と云う見通しを述べただけで、別に倒産を予測したのではない。