瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

中島敦の文庫本(13)

新潮文庫1895(3)
 五十刷のカバー表紙折返しに広告の出ていた「新潮カセットブック/中島敦のカセット」は、現在CDになっている。

山月記[CD]

山月記[CD]

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 続き。
 六十五刷・六十六刷・六十七刷・六十九刷のカバー裏表紙折返しには「新潮文庫 日本の近代文学」として、27人が1人1つで27題が列挙されている。50音順で本書も21番めに出ている。これが七十七刷のカバー裏表紙折返しでは少し出入りがあって、29人29題になっている。
 まず3番め「内田百輭  百鬼園随筆 続百鬼園随筆」の2つの標題の間の空白が全角だったのが半角になっているという小さいな違いはともかくも、六十九刷までは4番めが「岡本かの子  老妓抄」だったのが「梅崎春生  桜島・日の果て」が割り込んでいる。六十九刷までは15番め「高橋和巳  悲の器」が七十七刷にはない。本書が21番めに出るのは同じだが、23番め「橋本 治  「三島由紀夫」とはなにものだったのか」24番め「林 房雄  息子の青春」の2つが七十七刷では間に割り込んで、3つ増えて1つ減ったことで合計29題となっているのである*1
 近代文学を余り読まなかった上に、長い作品を読むだけの持続力がないので、『悲の器』は高校の国語教師が何か語っていたような記憶もうっすらあるのだが、読んでいない。在庫切れになっている。

悲の器 (新潮文庫 (た-13-1))

悲の器 (新潮文庫 (た-13-1))

悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)

悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)

 河出文庫の方は新本が入手可能。中学から高校にかけて、新潮文庫というと所謂「名作」が揃っているという印象で、それで何だが読みもしないのに安心していたのだが、いざなくなってしまうと寂しいような気もする。
 それはともかく、カバーの確認はこのくらいにして、奥付の前の目録に目を転じると、五十刷・五十八刷は「新潮文庫最新刊」3頁が違うだけで、その前に近代文学の名作を挙げた6頁があるのは共通、1頁6冊で1頁めが芥川龍之介、2頁めが谷崎潤一郎、3頁めが志賀直哉(1冊だけ有島武郎)、4頁めが太宰治、5頁めが井伏鱒二、6頁めが川端康成。これが六十五刷以降では「新潮文庫最新刊」に3頁取っているのは同じだが、その前は1頁に圧縮(?)されている。芥川龍之介羅生門・鼻』『戯作三昧・一塊の土』井伏鱒二『黒い雨』『山椒魚志賀直哉『清兵衛と瓢簞・網走まで』『暗夜行路』の6冊で、いずれも6頁あった中に含まれていた。(以下続稿)

*1:2月13日追記】七十刷と七十一刷を見た。この2つ、カバーは同じもののようである。裏表紙は七十七刷に同じ。「新潮文庫 日本の近代文学」は六十九刷・七十七刷に比して文字が一回り大きくぎっしり詰まっており、橋本治が増えて28人。内田百輭のところは半角。その後、29人に増やした際に文字のサイズを元に戻したらしい。【2月14日追記】六十五刷の「新潮文庫 日本の近代文学」は28人で、六十六刷〜六十九刷よりも1人多かった。中島敦はやっぱり21番め。これについては後日、別の本について触れる際に言及することとしたい。【2月16日追記】2月16日付「新潮文庫『小泉八雲集』(1)」に記述した。【2013年3月7日追記】七十三刷も28人28題。【2018年9月8日追記】七十六刷も29人29題。それから七十四刷では2種、28人28題と、30人30題を見た。後者には16番めに「高橋和巳  悲の器」がある。なお、これら3冊のカバーは、裏表紙折返し以外一致している。