瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(01)

 『坊っちゃん』は、中学に入って間もない頃か、或いは小学校を卒業する前に読んだ。
 人気は不動らしく、直筆原稿が手軽に読めるまでになっている。

直筆で読む「坊っちやん」 (集英社新書 ヴィジュアル版 6V)

直筆で読む「坊っちやん」 (集英社新書 ヴィジュアル版 6V)

 だから、いろいろと変わった文庫が出ている。
 まず、タレントが表紙モデルをやっている文庫本。
ぶんか社文庫
坊っちゃん (ぶんか社文庫)

坊っちゃん (ぶんか社文庫)

坊っちゃん2009年7月1日初版第一刷発行・定価467円・ぶんか社・224頁。
 カバー表紙折返しの枠内に、夏目漱石大島優子が上下だけど並べて(!)横組みで紹介されている。恐るべしAKB。モーニング娘。も結局全員は覚えられなかった(今のメンバーは殆ど知らぬ)し、AKBもやっぱり分からんが、流石に大島氏は知っている。
 口絵があり、扉(1頁)は横組みで標題と著者名と文庫名、中扉(3頁)は縦組みで標題のみ、2・4頁は白紙、5頁から本文で頁付がある。1頁14行、1行33字。大きさは14.8×10.5cmで、本文は10.7×8.1cmに組まれており、余白が多く圧迫感は覚えない。本文は213頁までで214〜224頁「語注」は1頁21行で、稀に2行に及ぶ(9項)が殆ど1行で、行頭に頁数を算用数字で示し、次にゴシック体で注の対象となった語、その下に説明がある。全部で216項。頁付があるのはここまでで、次の頁は下部に小さく2行で

漢字・仮名・フリガナ等の表記は、弊社にて改訂しております。
本文中に、現代では不適切な表現がありますが、原文のまま掲載しております。

とある。その裏に同じように「初出 「坊っちゃん」一九〇六年(明治三十九年)「ホトトギス」」とある。
 次の頁の下部には横組みで「■モデル■撮影■撮影アシスタント■スタイリスト■ヘアメイク■撮影協力」が列挙される。撮影者の名前はカバー表紙折返しの右下にも横組みで小さく「カバー写真撮影:川島昭樹」と見えていた。
 ここに挙がっている人たちもその道では有名なのかも知れないが、袖口や裾の擦り切れた20年前に誂えたスーツを華麗に、いや加齢臭を漂わせながら着こなしている私には縁のない人たちで、私のポイントは最後の項目である。
 すなわち、「■撮影協力」として大島氏の所属事務所と「北区立中央図書館/北区立中央公園文化センター/株式会社アトリエ・ド・リーブ」が挙がっているのだが、北区といっても現在、大阪市・東京都・名古屋市京都市・札幌市・神戸市・さいたま市堺市新潟市浜松市岡山市熊本市(発足順)に存在するが、東京都以外には区立図書館はないので、東京都北区立中央図書館である。しかし、年のせいか新しい地名には付いて行けない。それに「北区」などという味気ない地名が増殖しているとは、合併やら何やらで新しい地名をでっち上げなきゃ行けない方式をなんとか止められないものか。もう無理か。横浜市には海に接していないのに港北区港南区という珍地名があるが。さいたま市北区住民投票では「大宮北区」が1位になったところだな。旧与野市も「与野区」が1位だったのに中央区になったという、何のためにやったんだ住民投票
 それはともかく、カバー表紙写真では大島氏が何だか真っ白な本を手に、白のワンピースで写っているが、カバー表紙の陽光の差し入る窓際に並ぶ閲覧席が、北区立中央図書館である、たぶん。たぶん、というのは「アトリエ・ド・リーブ」で検索すると「赤煉瓦Cafe」という、この図書館に併設の喫茶室がヒットするので、閲覧席ではなく喫茶室の方かも知れない。確かめる機会があれば追記する。
 大島氏の写真は他にも口絵(カラー表裏2頁)とカバー裏表紙に載るが、こちらでは麦藁帽子をかぶって白堊の建物の外に立っているが、これが北区立中央公園文化センターである。
 この辺りは終戦まで東京第一陸軍造兵廠で、戦後GHQを経て今も一部が陸上自衛隊十条駐屯地になっているが、北区立中央公園文化センターはその本部だった建物で昭和5年(1930)建設。平成20年(2008)開館の北区立中央図書館は、赤煉瓦の東京砲兵工廠銃砲製造所275号棟を一部利用して建てられている。
 で、はっきり言って、写真の内容は、作品の内容と関連していない。
 その裏が奥付で、最後に4頁、1頁に4題、合計16題のぶんか社文庫(とは書いていないが)の目録がある。解説類は全くない。
 なお、カバー裏表紙折返しに「ぶんか社文庫/好評既刊」として『坊っちゃん』と『人間失格』『風立ちぬ』の3点だけが挙がるが、これは先の16冊に一致しておらず、もちろんもっと刊行されているので、この3点は何かというに、AKBの写真入りで出たものらしい。そういう利用価値のある作品だということなのですな、たぶん。そういえば『人間失格』も、直筆原稿が新書になっていた。他の2点はまだ見ていないが、てか、今はもっと出ているようだが、もし手にする機会でもあれば、借りるのは小っ恥ずかしいが『ガラスの仮面』をまとめ借りして厚かましくなったので、撮影場所の確認でもしてみたい。
【2月14日追記】Amazon詳細ページのなか見!検索で、背表紙を除くカバーと本文の若干の頁、それから「2009年7月1日初版第一刷発行/2011年7月1日   第二刷発行」などとある奥付を見ることが出来る。口絵は出ていない。