瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張『聞かなかった場所』(1)

・角川文庫3335
【初版】昭和五十年一月十日初版発行・平成八年八月三十日四十五版発行・定価420円・233頁
・角川文庫13545

聞かなかった場所 (角川文庫)

聞かなかった場所 (角川文庫)

【改版】昭和五十年一月十日初版発行・平成十六年十月二十五日改版初版発行・平成二十一年四月二十日改版八版発行・定価514円・245頁*1

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 こないだの日曜(8月12日)、14時からテレビ東京「日曜ミステリー」を、例によって「開運!なんでも鑑定団」再放送からの流れで、なんとなく付けていたら、見入ってしまった。名取裕子主演で、昨年11月16日にテレビ東京水曜ミステリー9」で「3週連続松本清張特別企画」の第3弾「聞かなかった場所」。最初の方を少し見逃したので、清張原作とは知らずに見ていたのだが、ドラマでは名取裕子の役浅井恒子は厚福省(厚生福祉省)初の女性局長、キャリアなので、原作の、男性の農林省ノンキャリア浅井恒雄と違って、出張先でキャリアの局長に夜のお相手を斡旋するような、そんな仕事はしなくて良いので、こういった辺りは清張ぽくなくなっているのだが、夫の死んだ「場所」に疑問を持って、取り憑かれたように正直要らぬ調査にのめり込み、知らなくても良い真相に辿り着いて、ほっときゃいいのに不倫の相手に謝罪させようとして開き直られて(この居直りの方が筋が通っている)剰え逆襲の構えまで示されたので殺してしまう、――やっぱり清張なのであった。
 さて、原作の文庫本だが、【初版】と【改版】で内容は全く同じ。1頁(頁付なし)扉、3頁から本文で【初版】は1頁17行、1行43字で227頁まで、【改版】は1頁17行、1行40字で238頁まで。小松伸六「解説」は【初版】は228〜233頁まで、最後に「小松伸六」とある。【改版】は239〜245頁で最後に(昭和五十年一月)とある。

 来日したギリシャ国立劇場公演、ソポクレスの悲劇「オイディプス王」をNHKテレビ(昭和四十九年十一月四日夜)でみた。……

との書き出しである。ちなみにNHKが過去に放送した番組で保存されているものは、NHKアーカイブスの「NHKクロニクル」で検索出来るが、この番組はヒットしない。
 さて、最初の2頁半が「オイディプス王」との比較でこの作品を捉え、そして残り、

「聞かなかった場所」は「黒の図説」シリーズの第七話にあたる。「週刊朝日」に昭和45年12月18日号より、昭和46年4月30日号まで連載された作品である。……

と、初出をきちんと示して、粗筋を紹介(ネタバレ)しつつ解説を加えている。
 【初版】は奥付の前に1頁白紙、【改版】は白紙ではなく「本書は昭和五十年一月に小社より文庫本として/刊行したものを復刊いたしました。」とある。奥付の裏は「角川文庫発刊に際して」、それから【初版】は1頁に6点ずつの「角川文庫ベストセラー」が4頁、【改版】は7点ずつの「角川文庫ベストセラー」で8頁、1頁めの1つめが松本清張で、2つめから6頁めまで内田康夫、最後の2頁は赤川次郎。(以下続稿)

*1:2013年2月17日追記】改版初版を見た。定価同じ。