・映画
昭和53年(1978)10月7日公開。野村芳太郎(1919.4.23〜2005.4.8)監督、脚本は井手雅人(1920.1.1〜1989.7.17)。
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・パンフレット
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別の版には「抱きしめたい! この感動」とある。人形などが散乱する磯辺に長男と妹が立っている写真になっているが、映画本編には長男と北陸の海に行く場面はあるが、妹は海に連れて行ってもらっていない。このチラシでしか見られないシーンである。
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ところで予告篇02:04〜02:13では本編の、緒形拳が会田医院(院長役は加藤嘉)に弟を抱いて駆け込む場面(47:50〜48:05)と、弟が埋葬された墓地に兄妹がお参りする場面(51:37〜52:28)に、妹の独白「庄ちゃんは死んじゃったの〜。死んでお空のお星様になっちゃったの〜」を被せているが、本編にはこのような独白はない。また予告編の続く場面(02:14〜02:28)は本編の、東京のデパートを緒形拳と妹が見て回る場面(54:32〜55:22)と、岩下志麻が妹の人形など玩具類を捨てている場面(53:35〜54:09)だが、ここに「よっこ(妹)はね、父ちゃんと東京に行って帰って来ないんだ。きっと、迷子になって、誰かに拾われたんだよ」との長男の独白(02:14〜02:26)が入る*3。これも本編にはない。
チラシと同じような文言は、予告篇の最後、緒形拳と長男が北陸の海辺を旅行して歩く場面(03:01〜03:41)にも、画面中央に横書きの白い文字で「父と子の愛と哀しみの旅は…」「切っても切れぬ/親子の絆を描いて」「胸にせまるこの感動! 」と被さっている。
どうも、本編と少し離れたところで発想された予告篇やキャッチコピーの文言が、印象的なフレーズだったりするだけに、その後の作品の解釈に強く影響してしまうことが、少なくないような気がするのである。(以下続稿)
*1:2行めも「拾われ」と漢字になっているが。
*2:【2016年4月30日追記】2016年4月29日付(3)以来、西村雄一郎『清張映画にかけた男たち』の記述を手懸りに考察を再開した機会に、ポスターと指定して画像検索するに、古書店及びオークションサイトに上がっていた、同じ写真のB2判ポスターの画像がヒットした。文字は左上に縦組みで、まず桃色のゴシック体で「抱きしめてやりたい! この感動―」とあり、続いて白の明朝体で「弟は、きっと星になったんだ/妹は、きっとお金持ちに拾われたんだ/でも僕だけは、父ちゃんから離れない」とある。
*3:愛人役の小川真由美の第一声は(本編00:57/予告篇00:21)「りいちりょうこ支度しな、出掛けるよ」である。してみると「よっこ」は「よしこ」ではなく「りょうこ」が舌足らずで「よっこ」になったものらしい。【2015年8月13日追記】某動画サイトにてこの続きの小川真由美の台詞を聞くと「よーここのお洋服着て」と聞こえる。投稿時に注記した台詞も改めて聞くと「よーこ」のようである。岩下志麻は利一の始末を緒形拳に勧める場面で「よしこのような訳には行かないよ、歳だって6つだし」「あんた、彼奴の目、まともに見れる? 彼奴の目はなにもかも知ってる目だよ、しょーじのこともよしこのことも」「でもね、よしこのことはあたしはこれっぽっちも知りゃしないよ」と言っており、明らかに「よしこ」である。