瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張「西郷札」(5)

新潮文庫1662(2)
 5月8日付(4)の続きで、本体の比較。
 1頁(頁付なし)扉は組み直されているが同内容、3〜4頁(頁付なし)「目次」は3頁に8篇、4頁に4篇と下寄せの「解説 平野 謙」でやはり組み直されているが同内容。5頁(頁付なし)中扉「西郷札」、7頁(頁付なし)は「西郷札」の扉、これも同じ。8頁から本文、①は1頁18行、1行43字。②は1頁16行、1行38字。8頁は最初①は3行分、②は5行分空白になっている。
 「西郷札」①7〜57頁②7〜69頁、「くるま宿」①59〜83頁②71〜100頁、「梟示抄」①85〜116頁②101〜139頁、「啾々吟」①117〜157頁②141〜190頁、「戦国権謀」①159〜190頁②191〜229頁、「権妻」①191〜218頁②231〜264頁、「酒井の刃傷」①219〜247頁②265〜299頁、「二代の殉死」①249〜272頁②301〜329頁、「面貌」①273〜299頁②331〜362頁、「恋情」①301〜348頁②363〜420頁、「噂始末」①349〜370頁②421〜446頁、「白梅の香」①371〜391頁②447〜471頁。
 平野謙「解説」①392〜397頁②472〜479頁、①は末尾に「平野謙」、②は末尾に(昭和四十年十一月、文芸評論家)とある。
 ①は奥付の前に「新潮文庫最新刊」が2頁、②には目録類はない。
 奥付、①三十八刷を②四十三刷改版と比較するに、レイアウトは同じ、異同はそれぞれの発行日、発行者、郵便番号が3桁から7桁に、「電話〈営業部/編集部〉」から「電話〈編集部/読者係〉」へ、編集部の番号は同じ、営業部と読者係の番号同じで10桁。「振替 東京四―八〇八番」がHPアドレスに「印刷・二光印刷株式会社 製本・株式会社植木製本所」が「印刷・錦明印刷株式会社 製本・錦明印刷株式会社」。
 ②の本体の異同は奥付の、四十三刷改版の発行日に加えて以下の諸刷はそれぞれの発行日を追加していること、それからISBNコードが四十五刷まで10桁、四十七刷から13桁になっていることくらいである。
 さて、4月9日付(3)で見た「四」章の冒頭であるが、②は次のようになっている。24頁10〜12行め、

 東京に出た雄吾はしばらく何をする気力もなく、毎日を怠惰に暮らした。
 明治十一年の東京はこの二十二歳の若者をもっとも刺激するものがあったはずであ/る。……


 『松本清張全集35』に同じ。しかるに①を見ると、次のようであった。20頁15〜16行め、

 東京に出た雄吾はしばらく何をする気力もなく、毎日を怠惰に暮らした。
 明治十一年の東京はこの二十三歳の若者をもっとも刺激するものがあったはずである。……


 4月7日付(2)で見た、光文社文庫に同じである。さらに遡って確認する必要があるが、やはりもともとは「二十三歳」であり、恐らく『松本清張全集』収録に当たって編集部からチェックが入り「二十二歳」に改めた、という見当で良さそうだ。私は4月9日付(3)に書いたように考えるので、辻褄が合わなければ合わせれば良いというものではない、と思っている。
 今後も継続して、なおも早い時期のものを見たいと思う。国会図書館で初出誌や、現存していれば原稿が見られれば早いのだが、まずはそこら辺の図書館で確かめられるものから済ませて置く。(以下続稿)