瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

佐多稲子『素足の娘』(1)

新潮文庫1499(1)

素足の娘 (1961年) (新潮文庫)

素足の娘 (1961年) (新潮文庫)

素足の娘 (新潮文庫 さ 4-2)

素足の娘 (新潮文庫 さ 4-2)

・昭和三十六年七月三十日発行
・昭和六十一年四月二十五日三十三刷(217頁)定価280円*1
・昭和六十三年七月三十日三十四刷 定価272円
 私の見た三十四刷は消費税導入後のカバーに掛け替えられている。
 カバー表紙折返しは白地、右下に縦組み明朝体で「カバー 妣田圭子」とあるのみ。
 このカバーは2012年10月25日付「佐多稲子『くれなゐ』(1)」で見た新潮文庫360『くれない』三十四刷に掛かっていたものと同じレイアウトである。Amazon詳細ページでも書影は表示されない。画像検索しても文庫専門ネット古書店【文庫シェルフ】に示されているものがヒットするのみである*2
 カバー裏表紙折返し、最下部左寄りに明朝体横組みで小さく「カバー印刷 錦明印刷」とある。上部にゴシック体横組みで「〜〜新潮文庫〜〜/佐多稲子の作品/く  れ  な  い/素  足  の  娘/夏    の    栞」とある。新潮文庫360『くれない』三十四刷にあったものに比して、1〜2行めの間が空き、もとから空いていた2〜3行めの間は1行分弱空いている。書目も「く  れ  な  い/素  足  の  娘/体の中を風が吹く」と幅が狭く、また3点めが違っていた。すなわち3点め、新潮文庫4278『夏の栞』(平成元年六月十五日印刷・平成元年六月二十五日発行・定価311円・198頁)よりも後のものである。なお、私の見た『夏の栞』はカバー裏表紙折返しが切除されているが、私の見た『素足の娘』三十四刷と同じものであったろう。
 カバー背表紙、現在、新潮文庫360『くれない』三十四刷と新潮文庫1499『素足の娘』三十四刷と新潮文庫4278『夏の栞』を並べているが、中央やや下の著者名は同じ位置、標題も『くれない』と『素足の娘』は同じ字配り。下部は消費税導入後の『素足の娘』と『夏の栞』が同じで、ごく淡い灰色地を角切長方形に白く抜いて『素足の娘』は[さ 4 2]、『夏の栞』は[さ 4 4]とある。『くれない』のカバーにあった『体の中を風が吹く』が[さ 4 3]なのであろう。その下にゴシック体で「新潮文庫」最下部に『素足の娘』は「280」に太い下線、『夏の栞』は「320」に太い下線。
 カバー裏表紙、右上に紹介文があってその上下に横線、

冬だというのに足袋が嫌いで、素足/で駆けてゆく娘を見て、村の若い衆/が囁きかわす――。外見には野放し/のお転婆娘と見える少女にも、性の/めざめと人間的なめざめが訪れてい/た。昭和14、5年の瀬戸内の港町を舞/台に、激しい意欲をみなぎらせて人/生に体当りしてゆく14歳の少女の姿/は、作者の天賦の才とぎりぎりの生/活体験、そして時代に対する必死の/抵抗から生れたものである。


 少々違和感があるが、はっきり問題だと言えるのは「舞台」を「昭和14、5年」としていることで、明白な誤りである。中央の横線の下に「ISBN4-10-108202-2 C0193 P280E 定価280円」定価のすぐ下に「(本体272円)」とある。
 本体、217頁と奥付の間に目録が6頁、後半3頁は「新潮文庫最新刊」、前半の3頁は往年の女流作家の代表作がずらりと並んでいる。物心付いた頃の私が、読んではいないのだけれども何となく馴染んだような気のする作家のものも少なくないので、ここに書名のみ挙げて見る。1頁めは佐多稲子著『くれない』、円地文子著『女坂』野間文芸賞受賞、宇野千代著『色ざんげ』『おはん』、宮本百合子著『伸子』、岡本かの子著『老妓抄』。2頁め、平林たい子著『うつむく女』、野上弥生子『真知子』『秀吉と利休』、幸田文著『父・こんなこと』、林芙美子著『新版 放浪記』『浮雲』。3頁め、大原富枝著『婉という女』毎日出版文化賞・女流文学賞野間文芸賞受賞、有吉佐和子著『華岡青洲の妻』女流文学賞受賞、『一の糸』、瀬戸内晴美著『夏の終り』女流文学賞受賞、『女徳』、三浦綾子著『塩狩峠』。
 奥付は『夏の栞』が写真植字らしいのに比してこちらは活版か。レイアウトはほぼ同じで、異同のある下部横組みの、上下を横線で挟まれたところのみを抜いて置く。「印刷・株式会社三秀舎 製本・株式会社植木製本所/© Ineko Sata 1940 Printed in Japan」、最下部のISBNコードとCコードはカバー裏表紙にあるものに同じ。
4月19日追記三十三刷について、三十四刷と並べることが出来なかったので、ここのメモと比較してつつ異同のみ挙げて置く。
 カバー裏表紙折返しの上部、「く  れ  な  い/素  足  の  娘」の2種のみで「夏の栞」がない。
 カバー背表紙、下部[さ 4 2]のすぐ下に黒線で横長の長方形を描きその中にゴシック体横組みで「新潮/文庫」その下は分類票貼付のため見えないが上部には「82」とあるようである。背表紙の最下部「280」のみで下線はない。
 カバー裏表紙、説明文の辺りは同じ。中央の横線の下、ISBNコードとCコードは一致、その続きが「\280E 定価280円」。
 本体、目録まで同じ。奥付は下部の横組みの2行が「○ 印刷・株式会社三秀舎 製本・憲専堂製本株式会社/© Ineko Sata 1961 Printed in Japan」○の中に「金」、となっている。

*1:3月22日追加。三十四刷のところに入れていた頁数をこちらに移した。詳細は追って記す予定。

*2:2017年4月14日追記】2つめの書影を補った。なお、ここの書き方だと投稿当初、書影を貼付していなかったように思われる。――1つめの書影はいつ貼付したのであろうか?