瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(124)

・廣井脩の「口裂け女」(1)
 平成11年(1999)4月設立の日本災害情報学会の初代会長だった廣井脩(1946.9.7〜2006.4.15)は群馬県沼田市生、昭和44年(1969)東京大学文学部卒業、昭和50年(1975)東京大学新聞研究所助手、昭和55年(1980)同助教授、平成4年(1992)東京大学社会情報研究所教授、平成11年(1999)同所長、死去時には東京大学大学院情報学環教授でした。
 廣井氏は口裂け女の先例という扱いで赤マントに幾度か触れています。まずはそのうちの2つを取り上げて見ましょう。
・NHKブックス562『うわさと誤報の社会心理』昭和63年11月20日第1刷発行・定価750円・日本放送出版協会・220頁・B6判並製本*1

うわさと誤報の社会心理 (NHKブックス)

うわさと誤報の社会心理 (NHKブックス)

 この頃の廣井氏の肩書は「東京大学新聞研究所助教授」です。
 まずは本書の成立ちについて確認のため、218〜220頁「あとがき」は「一九八八年一一月」付、218頁14行め〜219頁3行めまでを抜いて置きましょう。

 本書の各章は、わたしがここ数年のあいだ、さまざまなところに執筆した論文を加筆・修正した/ものである。なかには論文をほぼそのまま転載したものもあり、なかにはほとんど原型をとどめな/【218頁】いまでに修正したものもあるが、その初出は以下の通りである。

 第一章 情報化時代のうわさ
     「噂の社会学」竹内啓編『意味と情報』東京大学出版会 昭和六三年


 以下第六章まで続きますが省略。この第一章、6つの節に分かれていますがその4つめ、16頁8行め〜22頁7行め「うわさは感情の投射である」はさらに16頁9行め〜18頁8行め「恐怖・不安とうわさ」と18頁9行め〜22頁7行め「口裂け女」のうわさ」に分かれますが、後者の導入に赤マントが利用されています。ちなみに初出とされている『意味と情報』も見ましたが口裂け女や赤マントの件はありませんでした。詳しい比較は別に挙げようと思っています。
・文春新書189『流言とデマの社会学平成13年8月20日第1刷発行・定価700円・文藝春秋・225頁
 やはり成立ちにつき見て置くべく、221〜225頁「おわりに」は「平成一三年五月」付、221頁2〜6行めを抜いて置きます。

 ここ十数年、依頼を受けていろいろなところに流言やうわさについての原稿を書いてきた。
 そのほとんどが、地震や噴火など自然災害に関係しているが、本書は、それらをシャッフル/し、あらためて整理しなおした上で、大幅に加筆修正したものである。とくに、平成七年の阪/神・淡路大震災以降に発生したいくつかの出来事を書き加えたほか、第3章では、流言のもた/らす経済的影響ともいうべき「風評被害」について、新しい稿をたてた。


 73〜174頁「第2章 流言の構造と内容」は5節に分かれており、116頁9行め〜125頁5行め「4 浸透流言」はさらに3つに分かれるのですがその2つめ、118頁1行め〜123頁4行め「口裂け女」体験記」が『うわさと誤報の社会心理』の上記の箇所を書き改めたところです。ちなみに1つめは、116頁10行め〜117頁15行め「浸透流言とは何か」という説明で、そして新たに123頁5行め〜125頁5行め「口裂け女、海外へ」が追加されています。
 差当り赤マント関連箇所のみ、引用して検討したいと思うのです。(以下続稿)

*1:下に示した書影の脇に「•メディア: ハードカバー」とありますが誤りです。