瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

柳田國男・尾佐竹猛「銷夏奇談」(1)

 5月9日付「芥川龍之介「河童」(2)」に引用した「河童」についての発言を含む座談会は、学研M文庫から刊行されていた東雅夫編の「伝奇ノ匣series」の「3」754〜772頁にも収録されていた。
・『芥川龍之介 妖怪文学館』平成14年 2002年7月15日 初版発行・定価1,500円・学習研究社・785頁

 標題はカバー表紙・背表紙「芥川龍之介 妖怪文学館」、9頁(頁付なし)扉・11頁(頁付なし)「目次」の扉は「芥川龍之介 妖怪文学館」と題しているのだが、奥付の上部には明朝体太字で「学研M文庫|伝奇ノ匣芥川龍之介/妖術伝奇集/東 雅夫|」*1とあって、うまく再現出来なかったがシリーズ名がやや小さくなっている。――それはともかく「妖術伝奇集」とは、カバー裏表紙折返し「伝奇ノ匣とは?」の【既刊】2点めに挙がる『岡本綺堂 妖術伝奇集』なのである。これは、2013年6月30日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(19)」に書影を貼って置いた。すなわち、同じシリーズの既刊書の奥付を流用して修正し忘れたのである。
 それはともかくとして学研M文庫版では623〜772頁「怪談実話の部」に、754頁1行めに3字下げでやや大きく「柳田國男尾佐竹猛座談会」とあり、3行分空けて2〜5行めに「柳田國男尾佐竹猛芥川龍之介菊池寛」と出席者が並び、以下余白。755頁から本文なのだけれども、筑摩叢書26『柳田國男対談集』との異同は、筑摩叢書版の方は章分けがなされていて、2行取り3字下げで、248頁上段1行め「怪談の型と時代」、251頁上段1行め「お札の降る話」、253頁上段13行め「本所の馬鹿囃子」、255頁上段17行め「日本人と想像力」、258頁上段5行め「天狗と神隠」、261頁上段6行め「憑霊と発狂」、263頁上段5行め「河童・狢・狸」、265頁下段3行め「宝探しと文化」、269頁上段15行め「奇習・蕃習さまざま」、271頁上段4行め「島を買う話」、272頁上段8行め「殺された人に会う」、274頁下段9行め「役立った探偵小説」、277頁上段13行め「因果はめぐる五十年」、281頁下段7行め「事実は小説より奇」とあったのが、学研M文庫版にはこれらの見出しが全くない。ちなみに学研M文庫版11〜14頁(頁付なし)「目次」では14頁11行めに「柳田國男座談会」とあって尾佐竹氏の名がない。623頁(頁付なし)の「【怪談実話の部】」の扉には「柳田國男尾佐竹猛座談会」とある。すなわち「銷夏奇談」との題は学研M文庫版にはどこにも出ていない。
 頁数を比較するに、四六判で2段組、1段21行、1行26字の筑摩叢書版よりも、A6判(1頁17行、1行40字)の学研M文庫の方が少ない。つまり、内容もかなり端折られているのである。
 以下、筑摩叢書版の見出しごとに、どう変わっているかを確認して見よう。
・「怪談の型と時代」筑摩叢書版248頁上段1行め〜250頁下段21行め→学研M文庫版755頁1行め〜756頁3行め
 755頁15〜16行め、

柳田 イヤ、遠州の矢奈姫明神です。
尾佐竹 それとは少し違うですけれども、‥‥

と連続しているところ、筑摩叢書版では248頁上段19行めと250頁下段15行めで、すなわち、248頁上段19〜20行め、

 柳田 イヤ、遠州の矢奈姫明神です。(話題を換えて)/それより、僕は一昨日だったか、新聞を読んでいて‥‥


 以下に展開される会話が、ごっそり省略されているのである。(以下続稿)

*1:ルビ「でんき はこ/あくたがわりゅうのすけ/ようじゅつでんきしゅう/ひがし まさお」。