瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

田山花袋『東京震災記』(2)

 なお、現代教養文庫版が刊行された平成3年(1991)の、12月に博文館新社から復刻版『東京震災記』が刊行されている。この復刻版には東京大学新聞研究所の廣井脩が解説を書いており、2月26日付「赤いマント(126)にて触れた「廣井アーカイブス」にて、4頁の解説全文(頁付なし)と復刻された初版の扉(?)と1〜11頁「目  次」、奥付が閲覧出来る
 1頁(頁付なし)はそれぞれの文庫の扉で、裏は白紙。
 次いで口絵写真が8図掲載されるが、3頁(頁付なし)の「上野から浅草方面を望む」を例に比較すると、現代教養文庫版は横長の写真を右を上にして横転させて、大きく掲出(11.8×7.0cm)するが、河出文庫版は横転させずに縮小して(4.7×8.0cm)示す。なお、現代教養文庫版には枠線があり、キャプションは下に右詰めでゴシック体。河出文庫版は下に中央揃えで明朝体。そして現代教養文庫版は裏が白紙で、どうも博文館版の口絵の形態を踏襲しているらしいのに対し、河出文庫版は裏に次の写真を収めている。従って、現代教養文庫版の口絵は3〜17頁(頁付なし)であるのに対し、河出文庫版の口絵は3〜10頁(頁付なし)に収まっている。
「頭の落ちた上野公園の大仏」現代教養文庫版5頁(7.2×12.0cm)→河出文庫版4頁(4.7×8.0cm)
「災後の日本橋大通」現代教養文庫版7頁(7.2×12.0cm)→河出文庫版5頁(4.7×8.0cm)
日本橋通三丁目建物の崩壊」現代教養文庫版9頁(7.2×12.1cm)→河出文庫版6頁(4.7×8.0cm)
「災後の須田町角」現代教養文庫版11頁(7.0×11.9cm)→河出文庫版7頁(4.7×8.0cm)
「火に逐われた避難民」現代教養文庫版13頁(7.2×12.0cm)→河出文庫版8頁(4.7×8.0cm)
駿河ニコライ堂」現代教養文庫版15頁(7.4×12.0cm)枠線なし→河出文庫版9頁(4.9×8.0cm)
「大通りの乗合馬車」現代教養文庫版17頁(6.5×12.0cm)枠線なし→河出文庫版10頁(4.7×8.0cm)
 現代教養文庫版の方は左辺と右辺、上辺と下辺で長さが異なったりしているが、大体のところを示した。
 次に現代教養文庫版19頁、河出文庫版11頁(頁付なし)に「著者」による序文に当たる無題の文章があって「大正十三年三月三日」付。
 現代教養文庫版21〜25頁、河出文庫版13〜17頁(頁付なし)に「目  次」は。もに2段組で、もちろん組み直されているけれども行数は同じ。異同は冒頭と最後の2段抜きになっているところ、1頁めの1行め、現代教養文庫版は[目  次]長方形の枠があり、3行取り2字下げ。河出文庫版は枠が無く3行取り3字下げ。5頁めの4行め、前を1行分空けて1字下げ、現代教養文庫版では上部に「解  説」下部に執筆者の「小林一郎」と半角漢数字で頁が示され「……」でその間を繋いでいるのだが、河出文庫版では「解説  大震災における作家のあり方  石井光太   二四六」頁は半角漢数字。(以下続稿)