瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

織田作之助「續夫婦善哉」(2)

 5月20日付(1)の続き。
・完全版雄松堂出版)四六判上製本

夫婦善哉 完全版

夫婦善哉 完全版

夫婦善哉 完全版
【初版】二〇〇七年一〇月一九日初版発行©・定価1,800円・217頁
【第二刷】二〇〇七年一〇月一九日初版発行©・二〇〇七年一一月二〇日第二刷発行*1
【第三刷】二〇〇七年一〇月一九日初版発行©・二〇〇七年一二月一〇日第三刷発行
【第四刷】二〇〇七年一〇月一九日初版発行©・二〇〇八年一月一〇日第四刷発行
【第五刷】二〇〇七年一〇月一九日初版発行©・二〇〇八年二月一四日第五刷発行
 カバーは初版から第五刷に至るまで同じ。僅か4ヶ月の間に毎月増刷を重ねたことになる。
 内容の詳細については並製本と比較しつつ記述するつもりだが、ここでは2点だけ、201〜217頁、日高昭二「解説 『夫婦善哉 完全版』について」のうちで気になる箇所を、挙げて置くこととする。
 まず「四」章の2段落め(二一一頁11行め〜)、第二刷・第三刷・第四刷・第五刷は

 柳吉・蝶子が乗ったのも、その別府・阪神間の航路である。関西圏の人々にとっては、奥座/敷のような感があったともいわれる。しかし、「続夫婦善哉」の舞台に別府が選ばれたのは、/ほかでもない。柳吉が大阪・淀の競馬場ですってしまった賭け金を、九州の小倉で取り戻そう【二一一】として、その帰り途に「立ち寄った」場所が別府なのである。いわば二つの競馬場を結ぶ線の/途中に出現したというわけなのである。

となっているが、初版では、

 柳吉・蝶子が乗ったのも、その別府・阪神間の航路である。当時夕刻大阪をたてば、朝には着いたという便利さもあってか、関西圏の人々にとっては、奥座敷のような感があったとも/いわれる。しかし、「続夫婦善哉」の舞台に別府が選ばれたのは、ほかでもない。柳吉が大【二一一】阪・淀の競馬場ですってしまった賭け金を、九州の小倉で取り戻そうとして、その帰り途に/「立ち寄った」場所が別府なのである。いわば二つの競馬場を結ぶ線の途中に出現したという/わけなのである。

となっていた。すなわち太字にした部分を削除したので、そのため第二刷・第三刷・第四刷・第五刷では以下、1行ずつ詰まっている。
 また、「解説」の最後にやや小さな字で、初版二一七頁7行め(近代文学者、神奈川大学教授)とあったが、第二刷・第三刷・第四刷・第五刷では二一七頁6行め(神奈川大学教授)だけになっている。*2
 奥付は第二刷(第三刷・第四刷・第五刷)の発行日が1行増えているのみ。(以下続稿)

*1:7月30日追加。以下の記述にも第二刷を追記。

*2:7月30日追記】投稿当初は次に「 これら異同については第二刷も見た上で、すなわちどの段階での修正であるか確認した上で、挙げるつもりであったが、なかなか見る機会を得ないので、見次第追記することとしたい。」という段落があったが、第二刷を見て、第三刷〜第五刷に同じであることを確認し追記したので、削除した。