瑣事加減

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尾崎翠『第七官界彷徨』(3)

 こういう有名な作品は、他の人もいろいろ書いていて、後から他人と同じようなことを書いても仕方がないので、うっかり手を出さないようにしようと思っていたのに、うっかり手を出して、回想らしきことと、ちょっとした突っ込みを入れてお茶を濁している。
 そもそもは、次の2冊の文庫本が同じ図書館の棚に並んでいるのを見て、何の気なしに手にしたのがきっかけだった。
河出文庫第七官界彷徨

第七官界彷徨 (河出文庫)

第七官界彷徨 (河出文庫)

・二〇〇九年七月一〇日印刷・二〇〇九年七月二〇日発行・定価620円・河出書房新社・189頁
 1頁(頁付なし)扉、3頁(頁付なし)「目 次」、5頁(頁付なし)は中扉で小さく「第七官界彷徨」、7頁(頁付なし)は「第七官界彷徨」の扉で本文と同じ大きさの文字。9頁から本文で、冒頭5行分空白。1頁13行、1行35字。167頁8行めまで。169頁(頁付なし)は「「第七官界彷徨」の構図その他」の扉で、組み方は「第七官界彷徨」に同じ。179頁13行めまで。180〜189頁に菅聡子「解説」。180頁1行めに3字下げで「解   説」、2行めは下詰めで「菅 聡子 」3行分空白があって本文、189頁4行めまでで5行めは下詰めで「(平成二十一年四月、お茶の水女子大学教授)」とある。
岩波文庫31-196-1『第七官界彷徨・琉璃玉の耳輪 他四篇
・2014年6月17日第1刷発行・定価760円・347頁
 カバー表紙折返しの右下に「カバー = 中野達彦/カバー図版 = 「琉璃玉の耳輪」手稿より」とあって、白で縁取られた群青色の長方形に、青緑色で手書き文字と原稿用紙の枠線が示される。原稿用紙の10行めまでが示され、対応する本文は212頁1行めから7行め「 平民的な、櫻小路伯爵一家の、テーブルを」までである。なお「櫻」と翻刻しているが太い万年筆の崩れた文字なので、「桜」として良いのではないか。
 1頁(頁付なし)扉、3頁「目 次」、5〜122頁13行め「第七官界彷徨」の本文、扉はなく題は3字下げ5行取り、1頁16行、1行39字。続いて123〜141頁5行め「歩行」、142〜163頁13行め「こおろぎ嬢」、164〜185頁11行め「地下室アントンの一夜」の小説3篇と、186〜204頁8行め「アップルパイの午後」の戯曲1篇の計4篇が標題の「他四篇」である。
 205〜211頁9行め「「琉璃玉の耳輪」」の内訳は205頁2行め〜209頁1行め「梗 概」210〜211頁9行め「登場主要人物」。続いて212〜317頁2行め「琉璃玉の耳輪」。3頁「目次」にはこの2つの前・7行めに「【映画脚本草稿】」とあるが、本文中にはない。
 319〜347頁9行め、川崎賢子「解 説」。
 次に本文の依拠関係などに及ぼうと思うのだけれども、それは稿を改める。(以下続稿)