・①並製本と②上製本(太田出版・B6判)
②は「愛蔵版」と銘打っているように、①をハードカバーにしたものである。しかしそのままではない。以下、2月28日付(51)にメモしたカバーに続いて、本体の異同をメモして置く。
見返し(遊紙)の用紙は①淡い灰色、②茶色。
次いで②にのみ和紙風の扉、表は濃い桃色で石畳と云うかタイル風の模様が刷ってある。すなわち、継ぎ目が濃い。20~23頁「送って当るパラシュートロケット」の21頁挿絵をその上に白で刷って、上部のパラシュートのついたロケットと、下部のパチンコを持って見上げる男児の間に、楷書体縦組みで2行弱ずつ行間を空けてやや大きく「たけしくん、/ハイ!/北野武」と、やはり白で刷る。最下部中央に明朝体横組みでごく小さく版元名がやはり白。裏は何も刷られていないが、表の模様が裏写りして、継ぎ目のところが白く、模様が左右対称であることが良く分かる。私は印刷技法には全く詳しくないが、全面に桃色を刷る前に継ぎ目のところに白を置いて、それで継ぎ目が盛り上がって色が濃く見えるようにしたのであろう。タイル風のところは色が染み、さらに標題・著者名・版元名の白も少し染みているのが分かる。
1頁(頁付なし)扉から本文共紙。①は縦組みで中央に大きく1行「たけしくん、 ハイ! 北野 武」標題は明朝体、著者名はゴシック体。②は上部中央に明朝体の標題のみ、縮小して入れている。
なお、本の厚さは表紙(カバー)込みで①1.2cm、②1.5cm だが、②は表紙の厚みが 0.3cm あるので本文の厚みは 0.9cm 弱である。①は表紙の厚みは 0.1cm くらいで本文の厚みは 1.0cm 強、①の方が本文は 0.2cm ほど厚い。そのためか、私の手許にある①七四版は本文用紙に黄ばみが認められず白いままであるのに対し、②第一刷は全体的に黄ばみ、天地と小口から 1.0cm ほどが特に甚だしいように見える。
2~3頁(頁付なし)目次はそれぞれ13項ずつ、楷書体の題と算用数字の頁の間を「……」で繋いでいる。内容は同じだが①は11.3×9.8cm(2頁の印刷面の寸法)と大きく刷られていたのが、②は10.1×8.7cmに縮小され 、①には殆どなかった小口の余白が広くなっている(①1.4cm→②2.7cm)。そして3頁の小口側の余白に明朝体で濃く「絵と文・北野武」とあるのは同じ(②は縮小)だが、①は「あとがき」の頁「104」の左上にあったのが、②は頁の左上隅にある。
4~106頁は同じ。1頁18行、1行35字、活版印刷に風にかすれたり濃くなったり潰れたりしている楷書体。
全部で25篇、体裁は全て同じで4頁、2頁めが挿絵(頁付あり)3~4頁めは本文で4頁は18行め、最後まで文字が詰まっている。それでは25篇全て同じ行数で書かれているのかと云うとそうではなく、1頁め、1行めに字下げなしで入っている題から2行め(本文1行め)までの間で調整しているのである。1篇め(4頁)は6行分だが2篇め(8頁)は3行分、4篇め(16頁)と18篇め(72頁)は8行分、8篇め(32頁)は1行分しか空いていない。これについては諸本対照で一覧にして示す際に註記して置こう。
どうも、雑誌の連載だったように見えるのだが、ネットを検索した限りではそのような情報に行き当たらなかった。
104頁は1行め「あとがき」2行分空けて「――いつまでもガキの感性をもって――」2行分空けて本文。106頁5行めまでで以下余白。
奥付、①は明朝体、②は本文と同じ楷書体で、下部中央に縦組み。①は、
たけしくん、ハイ!
定価―――――――八八〇円
初版発行―――――一九八四年五月一日
七四版発行――――一九八五年九月二七日
絵・文――――――北野 武
発行者――――――宮本 純男
発行所――――――太田出版
〒一六〇 東京都新宿区四谷三-一三*1
☎三五九―六二六二
印刷 ――――――株式会社サンニチ印刷
乱丁・落丁本はおとりかえします*2
ISBN4-900416-01-0 C-0076 ¥880E
1985 Printed in Japan © TAKESHI KITANO*3
とあった。②は、
愛蔵版 たけしくん、ハイ!
一九九一年十一月二十五日印刷
一九九一年十二月一日第一刷発行
著者(絵・文) 北野武
発行者 高瀬幸途
発行所 株式会社太田出版
東京都新宿区新宿二-十五-二十四
電話〇三-三三五九-六二六二
振賛東京二-一六二一六六
印刷製本 株式会社サンニチ印刷
乱丁・落丁本はお取り替えいたします。
本書の無断複写・複製・転載・引用を禁じます。
©1991. Takeshi Kitano Printed in Japan
ISBN4-87233-048-X C0095*4
とあって、電話番号は同じだが所在地は移転している。
裏は白。(以下続稿)